2014年2月12日水曜日

憲法解釈 閣議決定で変更

 安倍首相は、集団的自衛権の行使を可能にするための憲法解釈変更、閣議決定行う方針を固めました。
 多数の議席を背景にして、一内閣の閣議決定で憲法の解釈を変更しようとするもので、許されることではありません。とりわけ平和憲法の最重要の柱であり、戦後70年近くも日本を支えてきた憲法9条の解釈改憲であればなおさらです。
 
 この閣議決定は集団的自衛権行使に向けての第一歩で、次には「国家安全保障基本法」などの関連法を成立させることになります。
 通常であればそこで内閣法制局のストップが掛かるのですが、安倍首相がその時のために任命した小松長官は、「法制局がそれを認める」という言い方はさすがにまだしていませんが、「最終的には内閣が決めること」だと発言しています。 
 
 集団的自衛権の行使は、憲法9条の精神に最も反するものです。
 もともと集団的自衛権の行使とは、海外で戦闘に加わるということです。それはこれまで大国が侵略や軍事介入する際の口実に使ってきたものであって、「自衛」とは無関係の概念です。
 
 安倍首相がダボス会議の記者会見で話題にした第一次世界大戦も、本来であればオーストリアとセルビアの戦いで済んだはずのものが、オーストリアはドイツ・イタリアとの三国軍事同盟を結んでいたため、ドイツが参戦してロシアとフランスに宣戦布告をしたのに対して、英露通商協定・英仏通商協定を結んでいたイギリスも応戦したために、ついに世界大戦に発展したのでした。
 
 内閣の「法の番人」である内閣法制局も、これまで一貫して集団的自衛権の行使は違憲であるとしてきました。昨年首相が法制局長官を「行使容認派」の小松氏に差し替えたときにも、危機と判断した歴代の長官が新聞紙上で、「集団的自衛権行使は違憲」、「憲法を改正しなければ行使はできない」と明言しています
  ※ 2013年8月14日集団的自衛権で憲法解釈の見直しを示唆
 2013年8月21日集団的自衛権の行使は改憲しなければ難しい と最高裁判事
 
 国家の大本である憲法に係わることであれば、そうした経緯を踏まえなければならないのはいうまでもないことなのに、閣内に誰一人として、そうした首相の行動を制止しようとする人がいないというのも、まことに異様なことです。
 良識派の全くいない「安倍氏のお友だち内閣」、それはすなわち「暴走内閣」ということです。
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憲法解釈、閣議決定で変更=集団自衛権容認へ首相方針
時事通信 2014年2月12日
 安倍晋三首相は11日、集団的自衛権の行使を可能にするための憲法解釈変更について、閣議決定により行う方針を固めた。政府の安全保障政策に関わる重要な意思決定で、これに伴い法改正も予定しているため、拘束力の強い形で政府見解を確立する狙いからだ。ただ、閣議決定には全閣僚の署名が必要で、行使容認に反対する公明党の太田昭宏国土交通相の対応が焦点になりそうだ。
 
 首相は5日の参院予算委員会で、集団的自衛権の行使容認に向け想定する手順について、(1) 憲法の解釈変更 (2) 行使のための根拠法の整備 (3) 行使するかどうかの政策的判断-の3段階と説明した。具体的には、政府の有識者会議が4月にまとめる提言を踏まえ、与党内調整を経て6月22日までの今国会中に解釈変更を閣議決定。秋の臨時国会で自衛隊法など関連法の改正を目指すとみられる。
 
 これに対し、公明党は「現状の憲法解釈を今直ちに変えなければいけないという認識は持っていない」(井上義久幹事長)などとして解釈変更に反対する構えを崩していない。太田国交相は5日の参院予算委で、与党内や国会での与野党間の論議を見守る考えを示すにとどめている。
 内閣法制局によると、政府が過去に憲法解釈を変更したのは、当初は文民としていた自衛官を、1965年に文民ではないと変えた1例のみ。その際は、当時の高辻正己内閣法制局長官が衆院予算委員会で「自衛官は文民にあらずと解すべきだ」と答弁し、続けて佐藤栄作首相が「法制局長官の答弁した通り」と答弁、これを追認した。