「九条の会」の小森陽一事務局長らは14日、国会内で会見し、全国各地の「九条の会」に「集団的自衛権行使による『戦争する国』づくりに反対するさらに大きな運動を盛りあげていこう」と呼びかける「訴え」を発表しました。
「訴え」は、集団的自衛権の行使について、安倍首相が国会答弁で、選挙で勝てば自由に解釈を変更できるかのように語っていることにふれ、「憲法は権力行使のあり方を規制するものとする立憲主義の原則を根本から否定するもの」と厳しく批判しています。
会見で渡辺治・一橋大学名誉教授は、「9条を根本的に変えることを閣議決定で行うという手続き的な問題は極めて大きい。国の基本的なあり方を時の政治的多数派が決めてはならないというのが憲法だ」と批判しました。
憲法研究者の小澤隆一氏は「インド洋やイラクへの自衛隊の派兵でも自衛隊の行動は縛られてきたが、この憲法の縛りを取り払うこと自体が、立憲主義に対する破壊行為だ」と強調しました。
会見では、「九条の会」が昨年10月に発表したアピール「集団的自衛権行使による『戦争する国』づくりに反対する国民の声を」に対し、各界の著名人ら829人から賛同(14日現在)が寄せられたことが報告されました。
(10月7日のアピールを末尾に再掲します)
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集団的自衛権容認に抗議 著名829氏がアピール賛同
「九条の会」 安倍首相を批判
しんぶん赤旗2014年2月15日
「九条の会」の小森陽一事務局長(東京大学教授)らは14日、国会内で会見し、安倍内閣が憲法解釈変更による集団的自衛権行使の容認に暴走を強めていることを批判し、全国各地の「九条の会」に「集団的自衛権行使による『戦争する国』づくりに反対するさらに大きな運動を盛りあげていこう」と呼びかける「訴え」を発表しました。
「訴え」は、現在、政府が憲法上認められないとしている集団的自衛権の行使について、安倍首相が国会答弁で、選挙で勝てば自由に解釈を変更できるかのように語っていることにふれ、「憲法は権力行使のあり方を規制するものとする立憲主義の原則を根本から否定するもの」と厳しく批判しています。
会見で渡辺治・一橋大学名誉教授は、安倍首相の発言について「集団的自衛権を容認するという 9条のあり方を根本的に否定する中身もさることながら、9条を根本的に変えることを閣議決定で行うという手続き的な問題は極めて大きい」「国の基本的なあり方を時の政治的多数派が決めてはならないというのが憲法だ」と批判しました。
憲法研究者の小澤隆一氏は「集団的自衛権の行使は違憲だという解釈で、インド洋やイラクへの自衛隊の派兵でも(自衛隊の行動は)縛られてきたが、この憲法の縛りを取り払うこと自体が、立憲主義に対するとんでもない破壊行為だ」と強調しました。
会見ではまた、「九条の会」が昨年10月に発表したアピール「集団的自衛権行使による『戦争する国』づくりに反対する国民の声を」に対し、憲法研究者や宗教関係者、俳優など、各界の著名人ら829人から賛同(14日現在)が寄せられたことを報告。
賛同人には、有馬頼底(臨済宗相国寺派管長)、岡野俊一郎(国際オリンピック委員会名誉委員)、沢田研二(歌手)、田中優子(法政大学教授)、山田洋次(映画監督)の各氏ら多彩な顔ぶれが名を連ねました。
集団的自衛権行使による「戦争する国」づくりに反対する国民の声を
日本国憲法はいま、大きな試練の時を迎えています。安倍首相は、「憲法改正は私の歴史的使命」と憲法の明文を変えることに強い執念をもやす一方で、歴代内閣のもとでは「許されない」とされてきた集団的自衛権行使に関する憲法解釈を転換し、「戦争する国」をめざして暴走を開始しているからです。
日本が武力攻撃を受けていなくともアメリカといっしょに海外で戦争するという集団的自衛権の行使が、「必要最小限度の範囲」という政府の従来の「自衛権」解釈から大きく逸脱することは明白です。それどころか、日本やアメリカの「防衛」ではなく、日米同盟を「世界全体の安定と繁栄のための『公共財』」(防衛省「防衛力の在り方検討に関する中間報告」)とみなし、世界中のあらゆる地域・国への武力介入をめざす体制づくりです。
この企ては、本来なら衆参両院の三分の二以上と国民投票における過半数の賛成という憲法「改正」の手続きを経なければ許されない内容を、閣議決定だけで実現してしまうものです。そのため、長年にわたり集団的自衛権行使を違憲とする政府の憲法解釈を支えてきた内閣法制局長官の入れ替えまでおこないました。麻生副総理が学ぶべきと称賛したナチスがワイマール憲法を停止した手口そのものです。これは立憲主義を根本からつき崩すものであり、とうてい容認することはできません。
それだけではありません。安倍内閣は、自衛隊を戦争する軍隊にするために、海外での武力行使に関する制約をすべて取り払い、「防衛計画の大綱」の再改定により、「海兵隊的機能」や「敵基地攻撃能力」など攻撃的性格をいちだんと強めようとしています。
「戦争する国」づくりにも足を踏み入れようとしています。すでに安倍内閣は、防衛、外交に関する情報を国民から覆い隠し首相に強大な権限を集中する「特定秘密保護法案」や日本版NSC(国家安全保障会議)設置関連法案などを臨時国会に提出しようとしています。自民党が作成した「国家安全保障基本法案」では、「教育、科学技術、運輸、通信その他内政の各分野」でこれらの「安全保障」政策を優先させ、軍需産業の「保持・育成」をはかるとしているばかりでなく、こうした政策への協力を「国民の責務」と規定しています。これを許せば、憲法の条文には手をふれないまま自民党が昨年四月に発表した「日本国憲法改正草案」における第九条改憲の内容をほとんど実現してしまいます。
さらには福島原発事故の無責任と棄民、原発技術輸出の問題、その他問題山積の現状があります。
戦前、日本国民はすべての抵抗手段を奪われ、ズルズルと侵略戦争の泥沼に巻き込まれていった苦い経験をもっています。しかし、いま日本国民は国政の最高決定権をもつ主権者であり、さらに侵略戦争の教訓を活かした世界にも誇るべき九条を含む日本国憲法をもっています。いまこそ日本国憲法を守るという一点で手をつなぎ、歴史の教訓に背を向ける安倍内閣を草の根からの世論で包囲し、この暴走を阻むための行動にたちあがりましょう。
2013年10月7日
九条の会