籾井NHK会長を参考人として招致した5日の参院予算委で、NHKのFM番組にレギュラー出演している音楽評論家のピーター・バラカン氏に対しても、都知事選が終わるまでは原発問題に触れないよう要請していたことが分かりました。
籾井氏はバラカン氏について「放送法は政治的に公平であること、意見が対立している問題にはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを定めている。都知事選では原発問題が争点の一つとなっており、期間中の番組はより公平性を期する必要性があり、いろいろ検討した結果、出演が取りやめられた」と説明していますが、『常にあらゆる場面で、全てのあり得る見解を揃える』などということが、一体可能だと思っているのでしょうか。『絶対的な中立』とか『絶対的な公平』が報道の中で実現できると思っているのでしょうか。
放送法の「不偏不党や公平」は極く当然の『基本的な姿勢』を述べたものであって、NHKが述べているようなことを、個々の場面に求めているとはとても思えません。NHKの今回の対応は、放送法を口実にして政権に批判的なコメントを言わせないようにした『基本的な姿勢』を示しています。
それではNHK自身はどうだったのでしょうか。
先の秘密保護法案の審議では、国民の批判的な世論があれだけ盛り上がっていたなかで、NHKだけは極端に国会審議の報道を避けました。国会周辺や全国で行われていた反対運動の報道も避けました。
その一方で、安倍首相の「秘密保護法必要論」だけはいつも丁寧に報じました。まず国会に置ける首相の発言をビデオで紹介した後に、アナウンサーがわざわざもう一度まったく同じ言葉を読み上げるという報道の仕方が、繰り返し繰り返し行われました。それは政府の見解を国民に浸透させようという意図によるもので、政府の広報機関化を自認したものでした。
放送法を重視するというのであれば、まずそういう姿勢をこそ反省し修正すべきです。
「ニュースウォッチ9」などで見られるキャスターによる政府肯定のコメントも全く同様で、あれこそは早急に止めさせて、放送法のいう公平の立場に修復すべきです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
FM番組でも「脱原発」回避要請 NHK会長、参院委で発言
東京新聞 2014年2月5日
NHKの籾井勝人(もみいかつと)会長は五日午前、参院予算委員会に参考人として出席し、NHKのFM番組にレギュラー出演している音楽評論家のピーター・バラカン氏に対し、東京都知事選が終わるまでは原発問題に触れないよう要請していたことを明らかにした。
籾井氏はバラカン氏について「放送法は政治的に公平であること、意見が対立している問題にはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすることを定めている。都知事選では原発問題が争点の一つとなっており、期間中の番組はより公平性を期する必要性があり、いろいろ検討した結果、出演が取りやめられた」と述べた。
バラカン氏は先月下旬、都知事選が終わるまで原発の問題に触れないよう複数の放送局から求められていたと明らかにしていた。
NHKラジオ第一放送で先月末、経済学の観点から脱原発について語ろうとした中北徹東洋大教授に発言をやめるよう求めたことについても籾井氏は、「選挙期間中でもあり、テーマの変更を求めた」と認めた。