2014年2月18日火曜日

極右化する維新の会 首相の歴史認識をあと押し

 「憲法が国家権力を縛るというのは、王権が絶対権力を持っていた時代の考え方だ」とか「(解釈改憲の)最高責任者は私だ」などという安倍首相の、立憲主義や憲法についての誤った認識は多くの人々の顰蹙を買っています。
 有志で組織している「明日の自由を守る若手弁護士の会」はバレンタインデーに故 芦部信喜東大名誉教授(憲法学の権威)の著書「憲法」をチョコレートとともに安倍首相に贈ったということです。
 
 そうした安倍首相に憲法改正集団的自衛権の行使を迫り、後押ししているのが日本維新の会です。
 維新の会の共同代表石原慎太郎氏は、「あんな醜い日本語で始まる憲法は世界中にない」と日本国憲法の文章を酷評し、大日本帝国憲法75条(要旨:憲法及び皇室典範は、摂政を置いている間は、之を変更する事は出来ない)を根拠にして、日本国憲法無効論を最近(2012年3月)も述べています。
 
 そして昨日本維新の会結党大会で決定された綱領において、体制維新の基本的な考え方の第1項に、
 「日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる」
という文を掲げて世間を驚かせました。執筆は石原氏であるといわれていますが、とても文学者とも思えないような生硬な文章です。
 
 もう一人の代表である橋下氏の憲法観は明らかではありませんが、もともと安部首相とはとても馬が合うようですし、タレント時代には核武装論をぶち上げた人なので当然右翼系です。
 
 しんぶん赤旗が、安倍政権をあと押しする維新の会の主要メンバーの発言を紹介してます。
 維新の会の綱領を批判した天木直人氏のブログ(2013年4月2日付)とともに紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
維新、極右化にひた走る 歴史認識 首相をあと押し
しんぶん赤旗 2014年2月17日
 日本維新の会が、“極右化”路線をひた走っています。通常国会冒頭から、安倍政権に対し「憲法改正、集団的自衛権について大いに議論しよう」(松野頼久国会議員団幹事長)と迫り、安倍晋三首相の改憲路線をけん引しています。とくに歴史認識問題では首相をあと押しする役割を担い、言いたい放題です。
 
 首相の靖国神社参拝問題では、「失望した」と表明した米政府に「同盟国に対する言葉遣いではないと申し上げた」(山田宏衆院議員、3日)と抗議。諸外国の反発も「内政干渉だ」(同)などと批判し、断固とした参拝継続を求めています。
 旧日本軍「慰安婦」問題に関する韓国の非難にたいしても、「福沢諭吉さんはえらかった。『もう朝鮮半島を相手にするな、脱亜入欧』ということを明治のはじめに言っている」(中山成彬衆院議員、12日)などといい、国交断絶をあおる始末です。旧日本軍の関与を認めた河野洋平官房長官談話(1993年)にも矛先を向け、河野氏を国会に呼んで作成の経緯を聞くなどして、「日本人の汚名を晴らしてもらいたい」(中山氏)と主張しています。
 こうした維新議員の言動についてメディア関係者も、「右翼というより、まともな政治家ではない。『責任野党』は補完勢力の言い換えにすぎない」とあきれはてます。「体制維新」(綱領)を掲げる同党の“改革”姿勢はすっかり色あせ、復古政党としての姿が全面に出ています。
 
日本維新の会語録
 
■安倍首相の靖国参拝
 一部の白痴的な、売国的なメディアが、どこかの国の威光をかりてキャンキャン言っているが、まったく気にする必要はない(石原慎太郎共同代表、12日)
■「慰安婦」問題
 いま、対峙(たいじ)しないといけないのは、「ウソも100回叫べば真実になる」といっている中国や韓国の報道活動、政治宣伝だ。河野談話が反日の格好の情報発信源になっている(杉田水脈衆院議員、3日)
■自衛隊
 交戦規定のない軍隊というのは世界にありえない。きちっと構えることが「寄らば切るぞ」という強い姿勢になる(石原共同代表、12日)
■憲法96条改定
 世界で最も厳しい改正手続きを変えて、(憲法を)国民の手に取り戻すのは「邪道」ではない。時代にあわせた憲法改正のために必要不可欠だ(小沢鋭仁国対委員長、4日)
■NHK
 中国の密命を帯びた工作員も(職員に)一部いるのではないか。「反日的思想」であろう人間が番組の制作、編集の実権を握っているように思えて仕方がない(三宅博衆院議員、14日)
■東京裁判
 えたいのしれない東京裁判の結果、日本に押し付けられたあの戦争に対する価値判断、戦争史観のトラウマから脱出するべき時期にきている(石原共同代表、12日)
 
 
憲法に関する政策綱領発表で自滅した日本維新の会
天木 直人 2013年4月2日
 4月1日、民主党が日本維新の会との協力関係を明確に否定する発表をした。「維新の憲法観は、民主党と全く異なる」(細野豪志幹事長)というのがその理由だ。政治評論家の中には、民主党が生き残るためにはもはや護憲・リベラルにしがみつくしかない、だから協力できないのだ、などと解説する者もいるがそれは違う。
 こんな憲法観を掲げる日本維新の会と協力するようでは、それこそ民主党は完全に終ることになる。民主党は最後のところで踏みとどまったというべきだろう。民主党を褒めるのではない。それほど日本維新の会が公表した憲法観がひどいのだ。今一度読み直してみる。
 日本を孤立と軽蔑の対象におとしめ、絶対平和という非現実的な共同幻想を押しつけた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる
 これだ。こんな粗雑な言葉の並ぶ文章を党の政策綱領に掲げ続けるのである。そのことだけで恥をさらし続けるようなものだ。
 この政策綱領は歴史と事実を無視した妄言だ。自民党の石破茂幹事長でさえ、「絶対平和主義かどうかは知らない。『憲法が悪かった』と言うべきだと思っていない」と複雑な反応を見せた(4月2日東京新聞)ほどだ。
 
 無知、不勉強で、歴史や真実に謙虚でない者はやがて滅ぶ。それでも選挙で日本維新の会に投票する国民はまだ多くいるかもしれない。いいだろう。しかし、あの政策綱領を掲げ続ける限り、日本維新の会は何を言っても、何をしても、まともな政党にはなれない。なによりも世界の笑いものなる。いまどき世界に通用しない政党など長続きするはずはない。悪い事は言わない。あれは4月馬鹿の冗談だったと撤回したほうが愛嬌が出る(了)