2014年2月1日土曜日

9年間続けてきた駅頭での辺野古基地化反対行動が突如禁止に

 過去9年間420回にわたって行われてきた、JR大阪駅南口の駅前の広場及び歩道における宣伝活動(チラシ配布・署名集め・カンパの呼びかけ等)が、昨年末、突如JR駅員や警官から中止するように強要されました。
 そのことに対して、宣伝活動を行ってきた市民団体「辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動」が、抗議の声明を出しました。
 
 声明の内容は、中止を強要する理由としてJR職員が挙げている主な2点について、理路整然と反駁するものとなっています。
 例えば「JR大阪駅前の広場および歩道がJR西日本という私企業の私有地であり、管理地である」という拒否理由に対しては、「このように公道との区別が判然とせず、誰もが自由に通行できるきわめて公共性が高い空間は、典型的なパブリック・フォーラム(歴史的に表現活動の場として利用されてきた場所)に該当すると考えられ、公道と同様に、通行人等の交通の秩序を著しく阻害する等の特段の事情がないかぎり、表現行為の規制は原則的に許されない」とし、更にその理由を具体的に敷衍しています。
 
 JR西日本が実際にそのように自覚していたかどうかはともかくとして、過去9年間、420回にわたりその宣伝活動に干渉しなかったのは、規制すべきではないという意識があったからであることは間違いありません。
 それがなぜ昨年末から突然180度考えを変えたのでしょうか。しかも官憲を交えて・・・
 安倍政権の政策が反映されている、としか考えられません。
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JR大阪駅前広場・歩道における表現活動に対する妨害行為の中止を求める憲法研究者声明
2014年1月31日
2013年末以来、JR大阪駅前の広場および歩道における市民の平穏な表現活動に対し、JR西日本職員および大阪府警警察官らから不当な妨害行為が加えられています。私たちは、憲法の研究者として、本妨害行為が憲法21条1項が保障する表現の自由を著しく不当に侵害するものであることに鑑み、JR西日本と大阪府警に対し強く抗議するとともに、このような行為を直ちに中止するよう、強く要請します。
 
本件においてそのチラシ配布・署名集め・カンパの呼びかけ等の表現活動を妨害されているのは「辺野古に基地を絶対つくらせない大阪行動(以下、「大阪行動」と表記する)」という市民団体です。9年ほど前から毎週土曜日の午後に、JR大阪駅南口の駅前の広場および歩道において、なんらトラブルを起こすことなく、420回以上、平穏に宣伝活動を行ってきましたが、2013年末以来、突如としてその活動を妨害されるようになりました。
 
妨害は、ビラ配布にとどまらず、ゼッケンの着用や旗によるメッセージの伝達に及んでおり、他者に意見を伝えるという表現活動そのものが事実上禁じられていると判断せざるをえません。このような妨害は、憲法によって厳しく禁じられている、表現に対する「事前抑制」(表現がなされる前に規制すること)にあたる強い疑いがあります。
 
妨害行為の理由として、JR西日本は、主に、①「大阪行動」と「在日特権を許さない市民の会(以下、「在特会」と表記する)」との間に不測の事態が起こる恐れがあること、②「大阪行動」が宣伝活動を行ってきた場所はJR西日本の「管理地」であることの2点を挙げています。
 
しかし、①に関しては、在特会が暴力を含む物理的介入をしてくる可能性があることを理由に、「大阪行動」の平穏な宣伝活動を規制することはできません。なぜなら、「敵対的聴衆」の存在を理由として表現の自由を規制することは、憲法上許されないからです。そのことは、最高裁も(「公の施設」の使用許可に関してではあるものの)「主催者が集会を平穏に行おうとしているのに、その集会の目的や主催者の思想、信条に反対する他のグループ等がこれを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことは、憲法21条の趣旨に反するところである」(最判平成7年3月7日、民集49巻3号687頁/泉佐野市民会館事件)と確言しています。少なくとも、「大阪行動」の過去年間の活動実績に照らしても実質的な害悪の発生がまったく予想されない以上、そのような恐れは、現在「大阪行動」の表現活動に対してなされている妨害の理由には到底なりえないと考えます。
 
また、②に関しても、JR大阪駅前の広場および歩道がJR西日本という私企業の私有地であり、「管理地」であっても、このように公道との区別が判然とせず、誰もが自由に通行できるきわめて公共性が高い空間は、典型的な「パブリック・フォーラム」(歴史的に表現活動の場として利用されてきた場所)に該当すると考えられ、公道と同様に、通行人等の交通の秩序を著しく阻害する等の特段の事情がないかぎり、表現行為の規制は原則的に許されません。なぜならば、駅前の広場や歩道での表現活動が管理者の意思次第で規制されるのであれば、多くの一般市民は不特定多数の者が集まる場所でのビラ配布等により見知らぬ他者に自己の見解を伝達する機会をおよそ失うことになるからです。
 
自由民主主義社会における政治的決定は、自由な意見の交換の結果でなければなりません。私たちは、「大阪行動」が通行人に意見を伝達することを妨害するJR西日本と大阪府警の行為は、自由民主主義社会としての日本社会のあり方を深刻に傷つけるものであり、本妨害行為が継続されるならば「人権・自由・民主主義」といった「普遍的」(日本国憲法前文)価値を共有する自由主義世界において日本国が嘲笑と侮蔑の対象となりかねないと考えます。私たちは、JR西日本と大阪府警に対し、このような妨害活動を直ちに中止するよう、強く要請します。
 
<呼びかけ人>
石川裕一郎(聖学院大学)、石埼学(龍谷大学)、岡田健一郎(高知大学)、笹沼弘志(静岡大学)、中川律(宮崎大学)、成澤孝人(信州大学)
 
<賛同者/2014年1月31日午後5時現在>
青井未帆(学習院大学)、植松健一(立命館大学)、内野正幸(中央大学)、浦田賢治(早稲田大学名誉教授)、大野友也(鹿児島大学)、小林武(沖縄大学)、清水雅彦(日本体育大学)、高作正博(関西大学)、塚田哲之(神戸学院大学)、永山茂樹(東海大学)、船木正文(大東文化大学)、森英樹(名古屋大学名誉教授)、金澤孝(早稲田大学)、寺川史朗(龍谷大学)、松原幸恵(山口大学)、上脇博之(神戸学院大学)、植村勝慶(國學院大學)、成嶋隆(獨協大学)、前原清隆(日本福祉大学)、渡邊弘(活水女子大学)、福嶋敏明(神戸学院大学)
以上21名(「呼びかけ人」含めて27名)