2014年2月9日日曜日

実教教科書不採択議決は不当 市民団体が提訴

 都教育委員会が来年度の教科書採択で、国旗掲揚、国歌斉唱をめぐり「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記した実教出版の高校日本史教科書について、「不適切」と議決を出したのは不当だとして、市民団体が日、議決などの取り消しを求める訴えを東京地裁に起しました。
 
 実教出版の教科書「高校日本史A」「高校日本史B」では、「国旗・国歌法」について次のように解説(脚注)しています。
 
 国旗・国歌法をめぐっては、日の丸・君が代がアジアに対する侵略戦争ではたした役割とともに、思想・良心の自由、とりわけ内心の自由をどう保障するかが議論となった。政府は、この法律によって国民に国旗掲揚、国歌斉唱などを強制するものではないことを国会審議で明らかにした。しかし一部の自治体で公務員への強制の動きがある。
 
 この記述のどこに誤りがあるというのでしょうか。とかく政権寄りとして批判の絶えない教科書検定ですが、その検定も勿論パスした教科書です。それを「都教委の考え方と異なり適切でない」と議決して、都教委は6月27日に都立高の各校長に通知したのでした。
 大阪府教委神奈川県教育委も同様な見解を示しました。しかし大阪府では8校が採択を希望したので、その後若干の条件をつけて認めることに修正しました。
 
 訴状に述べられている通り、実教出版の高校日本史教科書に対する教育委の態度・対応は、まさに「教育現場への違法な不当介入であり、学問の自由を保障した憲法や、教育が不当な支配に服することがないよう定めた教育基本法に反する」ものです。
 
 日本での訴訟は、結論が出るまでにあきれるほど時間が掛かって困りますが、どう決着するのか注目されます。 
 安倍首相は教育『改革』にも大変な執念を持っているようなので、都・府をはじめとする各地の教育委が、いま以上に政権に迎合することがないように、そのことにも注目していく必要があります。
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実教教科書問題 市民団体が提訴 「都の議決不当」
東京新聞 2014年2月8日 
 国旗掲揚、国歌斉唱をめぐり「一部の自治体で公務員への強制の動きがある」と記した実教出版(東京)の高校日本史教科書について、東京都教育委員会が来年度の教科書採択前に「不適切」との議決を出したのは不当だとして、市民団体「都教委を訴える会」の六十七人が七日、都に議決などの取り消しを求め、東京地裁に提訴した。
 
 訴えによると、都教委は昨年六月、実教出版の教科書「高校日本史A」「高校日本史B」について「国旗掲揚と国歌斉唱の指導は教員の責務。都教委の考え方と異なり使用は適切ではない」とする見解を議決、都立高の各校長に通知した。
 
 議決や通知は「教育現場への違法な不当介入。学問の自由を保障した憲法や、教育が不当な支配に服することがないよう定めた教育基本法に反する」と主張。議決や通知の取り消しのほか、議決した教育委員六人の同月分の報酬計約二百七十万円の返還や、原告の精神的苦痛に対する慰謝料などを求めた。
 
 比留間英人都教育長は、「訴えの内容を検討し、対応してまいりたい」とのコメントを出した。