4日の衆院予算委で、安倍首相は改憲意欲満々の答弁を行いました。
一つは、憲法96条=憲法改正の発議要件で、「2/3以上の賛成」を「過半数の賛成」に緩和する改憲であり、もう一つは、海外での武力行使を伴う集団安全保障措置への参加を認めるという解釈改憲です。
憲法第10章 最高法規 第99条には 「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とする国務大臣に対する義務規定が定められていますが、安倍首相はちゃんと認識しているのでしょうか。首相が憲法違反を犯すなどということはあってはならないことですし、「知らなかった」で済まされることでもありません。
安倍首相は「維新」の議員の質問に対して、「(憲法改正の発議に対し)たった3分の1の国会議員が反対することで国民投票の機会を奪っている」と答えました。この「たった3分の1の国会議員が反対することで・・・」という言い方は、安倍氏が96条の改定に言及するときには必ず用いるもので、よほど気に入っているようです。
しかし本当に正しい改憲案であるならば、多くの人たちが賛成する筈です。「大多数とまでは行かなくても3分の2の人たちは賛成する」乃至は「残る3分の1の国会議員の一部でも説得出来ない改憲案であれば発議に値しない」というのが、改憲発議要件の考え方の筈です。
一旦、大多数の国民の賛成で制定された憲法は、時の内閣の意向などで軽々しく変えられてはいけない、というのが「硬性憲法」の考え方であり、世界の成文憲法の殆どがそうなっています。
丁度安倍政権のようにたまたま多数を握った政権によって、「51対49でも発議可能にする」という改憲が行われてしまうことを防止する措置といえます。
違憲である集団的自衛権の行使はいうまでもないことですが、1990年の湾岸戦争において多国籍軍に加われなかったことを残念がる安倍首相の気持ちも全く理解できません。平和憲法下で参戦できないと断れば済むことです。
戦争と聞く度に、いつも前面に飛び出していないと我慢も何も出来ない、というDNAの発現なのでしょうか。
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憲法96条改正は必要=安倍首相
時事通信 2014年2月4日
安倍晋三首相は4日午前の衆院予算委員会で、憲法改正の発議要件を緩和するための96条見直しについて、「たった3分の1の国会議員が反対することで国民投票の機会を奪っている。世論調査で十分な賛成を得ていないが、(改正の)必要性を訴えていきたい」と語った。日本維新の会の小沢鋭仁氏への答弁。
首相は、憲法が戦後改正されなかった理由について「指一本触れてはならないという気分が醸成されていた」と指摘。「現行憲法の原案は事実上占領軍が作った。私たちの憲法は私たち自身で書く精神が未来を切り開く」と強調した。
多国籍軍援護の武力行使 首相、解釈改憲に意欲 衆院予算委
東京新聞2014年2月4日
安倍晋三首相は四日午前の衆院予算委員会で、憲法解釈で禁じられている海外での武力行使を伴う集団安全保障措置への参加について、一九九〇年にクウェート侵攻したイラクに武力行使した湾岸戦争を例に挙げて「国連安全保障理事会で決議が採択された場合でも、わが国は(多国籍軍の)艦船の防護はできない。果たしてそれでいいのか」と、参加を可能とする解釈改憲に意欲を示した。
首相は「一国では安全を維持できない」と指摘し、集団的自衛権の行使容認と併せて、政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」で議論を進めていると強調した。
首相は集団安全保障への参加の例として、湾岸戦争のほか、国連平和維持活動(PKO)で攻撃を受けている他国の軍隊を援護し反撃することも挙げた。
首相は、改憲の発議要件を衆参両院議員の三分の二以上の賛成と定めた九六条について「国民の六、七割が望んでいたとしても、国会議員のたった三分の一の反対で拒否してしまうのはおかしい。改正するべきだ」と、あらためて改憲に意欲を示した。