2019年8月1日木曜日

九条の会「声明」 参議院選挙後の新たな改憲情勢を迎えて 

 九条の会が29日、「参議院選挙後の新たな改憲情勢を迎えて」とする声明を発表しました。
 
 関連してLITERAが いわゆる改憲勢力として自公及び維新の会以外にも、事実上の改憲賛成議員がいるという問題を取り上げていますので、紹介します。
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参議院選挙後の新たな改憲情勢を迎えて
             2019.7.29
   
 参院選を経て、安倍改憲をめぐる情勢は新たな局面に入りました。2017年5月3日の改憲提言以来、自民党は衆参両院における改憲勢力3分の2という状況に乗じて改憲を強行しようとさまざまな策動を繰り返してきましたが、その後2年にわたり市民の運動とそれを背にした野党の頑張りによって改憲発議はおろか改憲案の憲法審査会への提示すらできませんでした。そして迎えた参院選において、改憲勢力は発議に必要な3分の2を維持することに失敗したのです。
 
 3分の2を阻止した直接の要因は、市民と野党の共闘が、「安倍政権による改憲」反対、安保法制廃止をはじめ13の共通政策を掲げて32の一人区全てで共闘し、奮闘したことです。また、安倍9条改憲NO! 全国市民アクション、九条の会が、3000万署名を掲げ戸別訪問や駅頭、大学門前でのスタンディングなど草の根からの運動を粘り強く続けることで、安倍改憲に反対する国民世論を形成・拡大する上で大きな役割を果たしたことも明らかです。
 
 しかし、安倍首相は任期中の改憲をあきらめていません。それどころか首相は、直後の記者会見において「(改憲論議については)少なくとも議論すべきだという国民の審判は下った」と述べて改憲発議に邁進する意欲を公言しています。これは、安倍首相一流のウソを本当のように言うもので、参院選の期間中もその後も、「安倍政権下での改憲」に反対の世論は多数を占め、改憲勢力が3分の2をとれなかったことこそが真実です。
 ところが、安倍首相は、自民党案にこだわらないと強調することで、野党の取り込みをはかり3分の2の回復を目指すなど、あらゆる形で改憲強行をはかろうとしています
 
 安倍9条改憲を急がせる圧力も増大しています。アメリカは、イランとの核合意から一方的に離脱し挑発を繰り返した結果、中東地域での戦争の危険が高まっています。トランプ政権はイランとの軍事対決をはかるべく有志連合をよびかけ、日本に対しても参加の圧力を加えています。こうしたアメリカの戦争への武力による加担こそ、安倍政権が安保法制を強行した目的であり、そして安倍9条改憲のねらいにほかなりません。辺野古新基地建設への固執、常軌を逸したイージスアショア配備強行の動きも9条破壊の先取りです。
 
 6年半を越える安倍政治への不信とあきらめから、投票率が50%を割る事態が生まれています。この民主主義の危機を克服し再生するためにも、市民一人一人の草の根からの決起が求められています。参院選で3分の2を阻んだ市民の運動に確信をもち、安倍9条改憲NO! の3000万署名をさらに推進し、広範な人々と共同して草の根から、9条改憲の危険性を訴える宣伝と対話の活動を強めましょう。
 同時に、どんな口実であろうと自衛隊の有志連合への参加・自衛隊の海外派兵、さらなる軍事力の増強を許さない闘いを、安保法制の全面発動、実質的な9条破壊を許さない闘いとして取り組みましょう
 
 
安倍首相の“ワイルド改憲”がいよいよ本格化! 安倍側近・萩生田光一が「改憲のため衆院議長交代」と民主主義無視の暴論ぶち上げ
LITERA 2019.07.30
 (前半部省略)
 
国民民主、N国…改憲勢力の拡大をはかり、憲法審査会を動かそうと企む安倍政権
 自分では謝罪や釈明をしたくないから側近に代弁させるって、どこまで無責任で恥知らずなんだという話だが、今回の「改憲シフトのために議長交代」も、結局は安倍首相の願望を代わりにぶち上げて、世間の反応を見ているのだろう。
 というのも、参院選では「改憲勢力」は非改選合わせて3分の2議席を割ったものの、「改憲勢力」の掘り起こしは着々と進行。さっそく国民民主党の玉木雄一郎代表が「私、生まれ変わりました!」「憲法改正の議論を進めていく」などと宣言して問題になったが、すでに国民民主党からは選挙で菅義偉官房長官のバックアップを受けたと言われる榛葉賀津也氏などが「改憲勢力」に加わるとみられている。
 また、「戦争発言」で日本維新の会を除名された丸山穂高議員の入党が決まった「NHKから国民を守る党」の立花孝志代表も「自民党がNHKのスクランブル化に賛成するのであれば改憲に賛成する」と発言しており、改憲勢力に回ることはまず間違いない。
 
 つまり、安倍首相は憲法発議に必要な3分の2以上は確保できることを踏んだ上で、憲法審査会を強引に動かすための国会運営を可能にする方法に目を向けているのだ。
 実際、すでに安倍自民党は、参院議長に麻生派で「9条改正賛成」「自衛隊を国防軍にすべき」などと主張してきた改憲強行派の山東昭子氏を据えることで調整。さらに、大島衆院議長の“後釜”としては、二階俊博幹事長の名前まで挙がっているのだ。
  
 片山さつき氏や桜田義孝氏をはじめとして問題議員ばかりを抱える二階幹事長が、よりにもよって衆院議長って……。選挙後すぐさま安倍首相の総裁4選について「全然おかしくない」と発言して安倍首相に媚びたばかりだが、恩を売ることで派閥勢力の拡大と利権を漁ってきた二階幹事長に公正中立が求められる議長など務まるはずもなく、国会は安倍首相の好き勝手に暴挙が繰り返されることになるだろう。
 
 憲法審査会は、その名のとおり憲法という国の基礎となる最高法規を議論する場であるため、他の委員会とは違い与野党協調を重視し、与党と野党の合意の上で開催してきた。その原則は「改憲勢力」が3分の2以上を占めたとしても守られなければならないものだ。
 いや、そもそもの大前提として、参院選後におこなわれた共同通信、朝日新聞、読売新聞による世論調査では、それぞれ「今後、安倍内閣に、優先的に取り組んでほしい政策」「安倍首相に一番力を入れてほしい政策」といった質問で「憲法改正」と挙げた人の割合は共同が69%、朝日と読売がともに3%で、すべての社で最下位となった。ようするに、ほとんどの国民は憲法改正の議論などまったく求めてなどいないのだ。
 
 そうした事実を無視して、国会までをも我が物顔で私物化しようと目論む安倍首相。──そうさせないためにも、今回の萩生田幹事長代行の発言は言語道断だと強く言っておかなければならないだろう。(編集部)