2019年8月17日土曜日

韓国の「日本ボイコット」で日本企業が悲鳴

 トランプ氏の言動が起爆剤となった世界株安の結果、16日の平均株価は20324円~20406円で推移し、円は1ドル106円台になりました。
 株価は2万円で留まるかが勝負、円は1ドル105円が輸出メーカーの許容限度と言われていますが、勿論そこで止まる保証はなく、10月には天下の愚策、消費税増税が待っています。
 そんな中、政府は16日、無用で有害な戦闘爆撃機F35B 42機の購入を決めました。1機140億円なので購入価格は5880億円と超高額なうえに、寿命は通常の戦闘機の3分の1で年々莫大な維持管理費が掛かります。トータルでどれだけの出費になるのか防衛省は分かっているのでしょうか。
 機種は米国の事実上の指定で、防衛省は必要性能を満たしているか確認したとしていますが、本国が欠陥機と判定しているものがなぜ「合格」になるのでしょうか。
 いずれにしてもそんな莫大な無駄遣いをする状況ではないのに、米国のいうことには何でも従うのが安倍政権です。
 
 嫌韓で知られる安倍首相が仕掛けた対韓国輸出規制に韓国が反発するのは当然で、日本製品の不買運動や日本観光の規制などが行われています。韓国の官僚が使用していた50数台の日本製高級車も他社製に切り替えられるということです。
 結果として日本の観光地や観光客移動の中継地点あるいは不買対象品のメーカー等の経済損失は大きく、悲鳴が上がっています。一つひとつは必ずしも巨額ではないにしても、トータルすれば影響は巨大で、それがボデーブロウになって効いてきます。
 
 相手を困らせてやろうという小学生的な発想で始めたこの不毛の闘いに政府は一体どんな見通しを持っているのでしょうか。
 日刊ゲンダイの二つの記事を紹介します。
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アベ“断韓”外交で早くも始まった経済損失に日本企業が悲鳴
日刊ゲンダイ 2019/08/16
 とばっちりを受けるのは国民だ――。世耕弘成経産相は15日の会見で、韓国が輸出管理上の優遇対象国から日本を外すと発表したことについて「日本が韓国から輸入している品目を見る限り、経済影響は少ないのではないか」と強弁したが、とんでもない。日本企業や地方自治体はすでに悲鳴を上げている。
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 安倍政権は参院選後の今月2日、韓国をいわゆる「ホワイト国」から除外することを閣議決定。韓国サイドも12日、報復として日本を「ホワイト国」から除外すると公表した。
 日本政府は日本国内の経済損失を過小評価しているが、発表から2週間足らずで韓国に進出している日本企業の売り上げに暗い影を落とし始めている。予想以上に、日本製品の不買運動、いわゆる“ボイコット・ジャパン”が効いているのだ。
 
 韓国の「聯合ニュース」は15日、韓国国内で人気の日本の衣料品やビールなどの販売が急減していると報じた。日本ブランドが加盟する韓国のクレジット会社8社の集計によると、衣料品大手の「ユニクロ」「無印良品」、靴小売店「ABCマート」、化粧品の「DHC」のカード決済による売上額は、6月最終週の約88億9300万円から7月第4週には半減したという。
 ブランド別で見ると、ユニクロの売り上げの下げ幅が最大。6月最終週から7月第4週までの間に、7割も落ち込んだというから驚きだ。ソウル市内の1店舗は契約満了を理由に閉店に追い込まれてしまった。
 
 コリア・レポート編集長の辺真一氏がこう言う。
「衣料品や飲食料品の他に、日本車も不買の対象になっています。韓国政府高官五十数人が日本車を愛用していたことが判明し、買い替えする事態になっています。韓国国内で『戦犯企業』と言われるメーカーのコピー機やカメラも不買の対象です」
 
■九州地方で韓国への直行便運休が続出
 日本の地方自治体も、韓国からのインバウンドの減少に頭を悩ませている。
 ホテル予約サイト「ホテルズコンバインド」によると、昨年、日本は韓国人の人気旅行先ベスト3を独占。1位大阪、2位福岡、3位東京ったが、今年は1位ダナン(ベトナム)、2位グアム(アメリカ)、3位バンコク(タイ)に取って代わられた。
 すでにインバウンドによる経済効果が大きく落ち込んでいる。前出の聯合ニュースによると、韓国国内のクレジットカード会社8社の売上額は、東京、大阪、沖縄、福岡の4都市で減少。6月最終週から7月第4週までに18・8%落ち込んだという。
 
 とりわけ、打撃を受けているのが九州だ。九州では昨年のインバウンド(511万人)のうちおよそ半分を韓国人旅行者(241万人)が占めていた。ところが、佐賀や大分、熊本などで韓国への直行便の運休・減便が相次いでいるのだ。
 九州運輸局国際観光課の担当者がこう言う。
「九州は韓国と日本をつなぐ路線が多いので、全国に比べても訪日韓国人旅行者が多い。団体旅行の中止やホテル予約のキャンセルが出ています。これからどれだけ経済的な損失が出るか見通せない状況です」
 
 航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏は13日のテレビ朝日系「モーニングショー」で、韓国人の訪日客数減少によって「全国で1450億円の経済損失が考えられる」と指摘している。
 いったい、誰のための“断韓外交”なのか。
 
 
安倍政権 戦略なき対韓外交  
「韓国を破滅させる陰謀」対日ボイコットはスポーツ界にも
 太刀川正樹 日刊ゲンダイ 2019/08/16
 文在寅政権は安倍政権による対韓輸出規制の強化を「韓国を破滅させる陰謀」ととらえ、全国民に結束を呼び掛けている。韓国経済は1997年のIMF危機以来の金融危機に直面。ウォン安が日ごとに進み、韓国総合株価指数(KOSPI)が30%も急落するなど、危機感が広がっている。
 
  韓国世論が「嫌アベ」に染まっていく一方、韓国マスコミの中には「安倍は悪い野郎(イノム・ジャシク)だが、良い日本人もいる」との論調が出てきた。代表的な人物とされているのが、65年の国交正常化後、2代目駐韓大使を務めた金山政英氏である。
  金山は68~72年の在任中、現在のポスコが運営する浦項総合製鉄所を設立するため、経団連会長だった新日鉄の稲山嘉寛会長を説得し、技術提供に貢献した。熱心なクリスチャンとしても日韓交流に励み、「死後も日韓交流を見続けたい」と遺骨の韓国埋葬を望み、ソウル郊外の墓地に葬られている。今月17日には追悼式が行われる予定だ。
 
 この追悼式を主催する韓国憲政会事務総長の黄鶴朱氏は言う。
 「金山元大使は〈日本が米英中ロの4大国とうまく外交をすすめたとしても、韓国との関係がうまくいかなければ、日本外交は失敗したと同様だ〉と遺言を残しています。日本のテレビで連日のように韓国を見下す発言を繰り返す元大使とは正反対です。われわれは天皇訪韓を歓迎する計画も進めています」
 
  善意の韓国人は少なくないが、対日ボイコットはスポーツ界まで波及している。韓国KBOリーグにはプロ野球チーム10球団が参加。例年、春季キャンプを沖縄や宮崎などで実施する8チームが中止に向けて動いている。オーナーはサムスングループ、起亜自動車、SKグループ、LGグループ、KTなど、財閥系大企業ばかり。文在寅政権の挙国一致政策に同調することを決めたためだ。
  春季キャンプでは1チームあたり約40日、およそ60人が現地入り。宿泊費、食費、日本人スタッフ採用など、10億ウオン(約1億円)を落としてきたキャンプで潤ってきた地元への影響は深刻だ。こうした日本外しの動きはカーリングやバスケットボールにも広がる。文在寅政権は対日報復カードを次々に増やしている。 
 
 太刀川正樹 ジャーナリスト
1946年、東京生まれ。国際ジャーナリスト。早稲田大学教育学部英文科在学中、韓国国立ソウル大学語学研究所へ留学、韓国語を学ぶ。講談社の日本語版「ペントハウス」ニューヨーク特派員などを経験。著書・訳書に「政権交代」「平壌十五号官邸の抜け穴」「オリンピック30年」など。