2019年8月18日日曜日

単なる数合わせなら主権者支持を得られない

 立憲民主党と国民民主党が統一会派を結成する協議を進めていることに関連し、政治経済学者の植草一秀氏が、まず先の参院選での得票数と得票率の動向を確認しました。
 参院選・比例での自公の得票は全有権者の229で、直近の16年参院選での得票率270%から4%ポイント下げ自民党得票は同じく240万票減らし、公明党得票も104万票減らしました。
 同様に、立憲民主党も直近の17年衆院総選挙での得票よりも317万票減らしました。
 これは、れいわ新選組やNHKから国民を守る党などの新興勢力が政党要件を獲得する投票を得たことも影響しているわけで、立憲民主、国民民主はこのことに危機感を抱き、統一会派結成の動きを見せているとしていますが、その対応もまた、党利党略優先のご都合主義に見えるとして、統一会派なるものが本来どうあらねばならないかについて考察しました。
 それは野党共闘にも通じるものです。
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単なる数合わせなら主権者支持を得られない
  植草一秀の『知られざる真実』 2019年8月17日
立憲民主党と国民民主党が統一会派を結成する協議を進めている。
立憲民主党が基本政策についての共有を求めたが国民民主党が明確な方針を示さなかったため、合意には至っていない。
政策を明確にせずに単に「数合わせ」で統一会派を結成するなら、これまでの分離、分裂騒ぎは何だったのかということになる。
両党所属議員の多くがそれぞれの個利個略を優先して、主権者の意思に寄り添うとの原点を見失っているように見える。
 
7月21日の参院選比例代表戦での自公の得票は全有権者の22.9%にとどまった。
2016年参院選での得票率27.0%から4%ポイントも得票率を下げた。
比例代表選の自民党得票は1771万票で2016年選挙の2011万票から240万票も少なかった。公明党得票も104万票減少した
主権者の5人に1人強しか自公には投票していない。安倍自公政権の基盤は極めて脆弱である。
 
それにもかかわらず、自公の与党は衆参両院で絶対多数の議席を確保している。
安倍内閣は「数の力」ですべての問題を押し通し、刑事犯罪を闇に葬り、重大な悪法を次から次へと成立させてきた。
主権者の多数が安倍政治の暴走に反対しており、安倍内閣退場と主権者の意思に沿う政権の樹立を求めている。
しかし、その道筋がはっきりと見えてこない。最大の要因は野党の側の対応にある。
 
立憲民主党の参院選比例代表選得票は、2017年衆院総選挙での得票よりも317万票も少なかった。自民党得票減をはるかに上回る得票減になった
この選挙結果を受けて立憲民主党がスタンスを変えている。れいわ新選組やNHKから国民を守る党などの新興勢力が政党要件を獲得する投票を得たことも影響している。
立憲民主、国民民主はこのことに危機感を抱き、統一会派結成の動きを示しているのだろうが、この対応もまた、党利党略優先のご都合主義に見える。
 
主権者の多数は安倍自公内閣を支持していない。しかし、その主権者が積極的に支持し、政権を担わせたいと考える政治勢力が不在になっている。
この主権者の意思に寄り添う政治勢力の登場が望まれている。
その際に、何よりも重要なことは基本政策路線の明確化だ。政策明確化をないがしろにして、「数合わせ」だけを優先しても、主権者の共感は得られない
 
政治家の自己都合、自分たちの利害得失だけを優先していることを主権者は鋭敏に見抜いてしまう。
野党勢力の再編、結集を図る際に重要なことは、基本政策路線の明示だ。これが欠けているなら統一会派の創設は主権者支持の喪失という最悪の結果をもたらすことになるだろう。
自公政治を貫いている三つの柱がある。この三つの基本路線に明確に対峙することが自公対峙勢力に求められている。
自公政治を貫いている三つの柱は、
1.米国への隷属
2.大資本利益の追求
3.官僚支配の温存
である。
この基本を断ち切る基本路線を明示することが何よりも重要である。
 
米国への隷属を断ち切ること。これが「日本の独立」の条件だ。
日本は真の意味での独立を果たしていない。これを明確に示すことができるか。
経済政策では大資本の利益だけが優先されている。これが「新自由主義経済政策」であり、「民営化」の名称が用いられる「営利化」推進の政策対応である。
そして、自公政治は官僚支配構造を温存している。
この三つの基本路線を否定し、明確な新基軸を打ち出すこと。これが野党勢力結集の基軸になる。
基本政策路線明確化を伴わない単なる「数合わせ」の統一会派創設は主権者の支持をまったく獲得できないものになるだろう。
(以下は有料ブログのため非公開)