2019年8月28日水曜日

米余剰トウモロコシ輸入決定で “危険食品”大流入の危機

 中国が購入を拒否したために余った米国産の飼料用トウモロコシ250万トンを日本が購入することに安倍首相が合意しました。トランプ大統領が「安倍首相が全て買ってくれる」と大喜びして、特別の記者会見を開いたのは昨日紹介した通りです。
 国内で消費し切れない量をなぜ日本が購入するのかは誰も納得しませんが、もう一つの大問題はそれが遺伝子組み換えのトウモロコシだということです。米国産トウモロコシの約9割が遺伝子組み換え品なので、飼料用がそうでない筈はありません。
 日刊ゲンダイがその危険性を取り上げました。
 
遺伝子組み換え」は、例えばトウモロコシのDNAを人工的に変えるに当たり昆虫や魚などのDNAの一部をつなぎ込む方法で(それに対してゲノム編集は同一の個体の中でDNAのパーツの配置変更などを行うため、編集したのかどうかの判別が困難)、アメリカ・カナダ・ブラジルはこの手法で遺伝子組み換え作物を大量に生産してます。
 それに対して日本やEUは安全性に疑いがあるとして、販売時に遺伝子組み換え品であることの表示を義務付けています。中国は一時期輸入することに傾いた時期があったようですが、最終的に輸入を拒否しました。
 
 その危険性に関してですが、仏大学教授の実験では遺伝子組み換えエサを2年間食べ続けたマウスの50~80%ががんを発症しました。米国環境医学会09年、「アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康」に悪影響を及ぼすと発表しています。
 そうした飼料で養われた豚や牛などを人間が食べ続けるとどうなるかについてのデータはまだないということですが、安全であることの確認が出来ない以上、「予防の原則」(国際基準)に従って家畜にそれを与えるのは避けるべきです。
 
 以前、米国がTPPの締結に熱心であった時期には、「遺伝子組み換え品表示」は販売の公平性を害するという身勝手な理由で表示を禁止する方向で動いていました。
 いずれ日米FTAを締結しますが、どのようになるのか注目点です。
 
 日刊ゲンダイの警告の記事を紹介します。
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米余剰トウモロコシ輸入決定 日本に“危険食品”大流入危機
日刊ゲンダイ 2019/08/27
 トランプ大統領に米国産牛肉や豚肉の市場開放をのまされた安倍首相。さらに“おまけ”とばかりに、米国で余った飼料用トウモロコシ250万トンの購入まで押し付けられた。トランプは「中国がトウモロコシ購入の約束を反故にした」「安倍首相が全て買ってくれる」と大喜び。実は、このトウモロコシが厄介なのだ。
 米国のトウモロコシは、雑草を除去する「除草剤」の耐性を持たせるため、遺伝子組み換えが大半だという。鳩山由紀夫元首相は26日、〈このトウモロコシは遺伝子組み換え作物と思われる〉とツイート。農業問題に詳しいジャーナリストの天笠啓祐氏は、「米国産トウモロコシの約9割が遺伝子組み換え」と日刊ゲンダイに語った。
 
 食べると動物や人体に悪影響を及ぼす恐れがある。フランスの大学教授の実験だと、組み換えエサを2年間、食べ続けたマウスの50~80%ががんを発症米国環境医学会は09年、「アレルギーや免疫機能、妊娠や出産に関する健康」に悪影響を及ぼすと発表したほどだ。
 日本では基本的に、食品や飼料の原料に遺伝子組み換えの農作物を使用する場合、商品に明記することが義務付けられている。消費者庁は公式HPで〈健康や環境に対しての問題を引き起こすことがあってはなりません〉とうたっている。
 米国から大量に入ってくる危険なエサで育った牛や豚を、ヒトが食べて大丈夫なのか。
間接摂取については研究が進んでおらず、詳細は不明。しかし、危険性がないとは言い切れないでしょう。多くの消費者から不安の声が上がっています」(天笠啓祐氏)
 
■中国は「怪しい作物」を徹底拒絶
 実は、輸入を拒否したという中国は、遺伝子組み換えの農作物を危険視しているという。購入拒否の原因は貿易摩擦というより、危険な農産物を忌避した可能性がある。
「この数年、中国政府は国産農作物の安全性を、米国や国際社会に向け徹底アピールしている。いわくつきの作物を受け入れるつもりはないということ。今回の購入拒否は『危険な遺伝子組み換え作物は使わない』という意志の表れだろう」(在中ジャーナリスト)
 
 安倍首相は今回の貿易交渉で、牛肉の関税引き下げ、豚肉については将来的に撤廃する方針を受け入れた。国内農家からは、早速「輸入拡大につながる恐れがある」との声が上がっている。
 トランプに「シンゾー、また農作物を買ってくれよ」と言われれば安倍首相は断れない。今後は、飼料用の危ないトウモロコシだけでなく、ヒトが直接食べる危険な農産品が大量流入してくる恐れがある。
「遺伝子組み換え作物についてはトウモロコシの他、大豆、菜種、ワタの種子が流通しています。中国はかたくなに受け入れを拒否していますし、欧州も敬遠しています。トランプ大統領は今後、余った組み換え農作物の受け入れを日本に迫ってくる可能性があります。今回、受け入れに応じてしまった代償は大きくなるでしょう」(天笠啓祐氏)
 
 武器も言われるがままに“爆買い”してきた安倍首相。今度は危険な食料を“爆買い”することになりかねない。