2019年8月26日月曜日

韓国国家安保室 GSOMIA終了の決定経過を説明

 韓国大統領府の金絃宗国家安保室第2次長が23日の記者会見で行った、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定の終了決定にいたる経過説明の詳細が、しんぶん赤旗に載りました。
 日韓の関係改善に向けて、韓国側が特使を2回派遣し、国会議員団を派遣するなどさまざまに努力したことが述べられています。それに対して日本は、韓国がGSOMIAを破棄することはないという予測の下に、冷淡に拒絶的な対応をしていたことが分かります。
 日本側では、裏切られた米国は韓国に怒りを募らせているかのような報道が行われていますが、韓国は一貫して米国とは綿密に連絡を取り合って来たと表明しており、今回の金次長の説明でも韓日GSOMIA問題についての検討の過程で米側とは頻繁にコミュニケーションし、特に両国のNSC(国家安全保障会議)間で非常に緊密に協議した」としています
 日本側の独りよがりの思い込みは間違っています。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
韓国国家安保室の記者会見 日韓軍事情報包括保護協定終了決定の経過
 しんぶん赤旗 2019年8月25日
 韓国大統領府の金絃宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長が23日の記者会見で説明した日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定にいたる経過は以下の通りです。
 
 昨日(22日)の韓国政府による韓日GSOMIA終了は、熟慮と検討の末、国益に基づいて下した決定でした。
 GSOMIAは、両国間の高度の信頼関係を基礎として、敏感な軍事情報を交換するためのものです。日本がすでに、韓日の間で基本的な信頼関係が損なわれたと言っている状況にあって、私たちとしてはGSOMIAを維持する理由が失われました
 日本は昨年、韓国の大法院(最高裁)判決が、1965年の請求権協定に違反し、よって、“韓国が国際法に違反している”ので、韓国政府が大法院の判決を是正する措置をとるよう要求し、私たちに不当な経済報復措置を行いました。
 再度強調しますが、韓国政府は、1965年の請求権協定を否定したことはありません。一貫して韓国政府は、日本政府・軍など国家権力が関与した「反人道的不法行為」は、1965年の請求権協定によって解決されたものと見ることができず、日本植民地時代の強制動員被害者個人の損害賠償請求権は、まだ生きているとの立場を維持してきました。昨年の大法院判決は、これを確認したものです。
 日本の外務省条約局長も1991年8月27日、1965年の韓日請求権協定によって個人請求権自体が消滅したものではないとの立場を表明しました。また、第2次大戦中にシベリアに抑留され強制労働をさせられた日本人の個人請求権の問題について、日本自らも、「日ソ共同宣言」に基づいて、個人請求権が放棄されたものではないとの立場を表明したことがあります。
 
 日本政府は、韓国の大法院判決を国際法違反と規定し、韓国政府がこれを是正することを要求しています。しかしこれは、司法の独立と三権分立の無視以外の何物でもありません。通常の民主主義国家では司法に対する政府の干渉は、想像もできないことです。
 これまで、日本の指導層は、従来の主張だけを繰り返しつつ、対話に全く真剣に取り組まないまま、“国が国際法に一方的に違反した”のだから、韓国がまず是正措置を講じなければならないと繰り返し要求するのみでした。これに対して、私たちは、日本側と外交的に問題を解決するさまざまな方策について〔対話の扉を〕オープンにしていると明確にし、対話の追求を継続してきました。
 韓国政府は7月、2回にわたって高官級特使を日本に派遣し、8月には、駐日韓国大使を通じて日本の総理官邸の高官との協議を試みましたが、効果はありませんでした。8月15日の韓国の光復節には韓国の高官が日本を訪れました。しかし、結果は同じでした。
 
 韓国産業通商資源部も、日本側が問題にしている韓国の輸出許可制度の問題を協議するために、日本経産省側に対話を求め続けました。7月16日の産業通商資源部・経産省担当局長間協議の要請に続き、7月24日のWTO一般理事会および7月27日のRCEP閣僚会合での首席代表間の一対一の対話を要請しましたが、日本はこれらに一切応じませんでした
 大統領の光復節祝辞でも、私たちは、日本に対話の手を伸ばし、さらに祝辞発表の前に日本側にその内容まで伝えましたが、日本側は何の反応も示さず、謝意の言葉さえありませんでした。
 8月21日に北京で開催された韓日外相会談でも、日本側は従来の立場を繰り返すのみで、真剣に対話に取り組みませんでした。
 政府レベルだけの努力があったのではありません。国会レベルでも7月31日~8月1日の間、韓日議員連盟所属の韓国側議員が日本を訪問し、日本側の議員らと協議をしましたが、私たちの代表団が現地でどのような待遇を受けたのかについては、私が説明する必要はないと思います。
 
 また、ムン・ヒサン国会議長の特使として、パク・チウォン議員も8月19日~20日の間、日本を訪問し、韓日の葛藤を解決するために努力しましたが、結果は同じでした。
 7月17日、私が外国記者団を対象に、韓日の問題についてブリーフィングをしたことをよくご存じでしょう。当時、私は韓国国内のマスコミの批判が来ることを十分に認識しつつも、日本国民に直接メッセージを伝えたいと思い、明治維新を実現した「薩長同盟」にも言及して韓日の未来志向の協力の必要性を強調しました。
 米国も7月29日時点での状況の悪化を防ぎ、韓日双方が対話により問題を解決するよう勧告するスタンドスティル合意(一時休止)を韓国と日本に提案しました。韓国側はこれを歓迎し、日本側との協議に同意しましたが、日本は、米国のこの提案も拒否しただけではなく、この提案の存在すら否定しました。
 
 先に説明したように、われわれとしては心から、偏見なしで日本と強制徴用問題を外交的に解決するために、すべての方策について肯定的に検討する用意があり、そのような立場を日本側に伝えました。しかし、これに対する日本の対応は、単なる「拒否」を超えて私たちの「国家的自尊心」まで毀損(きそん)するほどの無視で一貫しており、「外交的欠礼」を犯しました
 
 一方、韓国政府は、今回の韓日の対立の問題をはじめ、韓日GSOMIA問題についての検討の過程で、米側とは頻繁にコミュニケーションし、特に両国のNSC(国家安全保障会議)間で非常に緊密に協議しました。
 韓国政府は、今回の決定が、韓米同盟の弱体化ではなく、むしろ同盟関係を一段階向上させ、今よりさらに堅固な同盟関係となるよう努力してまいります。
 2016年11月に締結された韓日GSOMIAが、今回終了されることによる安全保障に関連した軍事情報の交流不足の問題について懸念されるかもしれません。これについては、2014年12月に締結された日米韓3国間の情報共有約定(TISA)を介して、米国を媒介とした3国間の情報共有チャネルを積極的に活用していきます。
 さらに、政府は今後、国防予算増額と、軍偵察衛星など戦略資産の拡充を通じ、韓国の安全保障能力の強化を積極的に推進していきます。
 
 韓国国民の皆さんも、今回の日本による経済報復措置を見ながら、私たちが自分自身の核心的部品素材の自立度を高めなければ、いつでも外部の出来事によって私たちの経済が危険にさらされることがある、という事実を確認されたことでしょう。
 安保も同様です。現在、国際情勢はわずか数年前とは明らかに異なる環境であると言うことができます。多国間主義が衰退して、自国優先主義が蔓延(まんえん)しています。このような状況では、私たち自身を守るのに十分な国防力を備えることによってのみ、安保上の逆流にさらされる可能性を予防することができます。
 堂々と主導的に、私たちが安全保障能力を強化していけば、これは、米国が希望する同盟国の安全保障への貢献増大にも合致するものであり、最終的には、韓米同盟の強化につながるものです。ありがとうございました。