2019年8月25日日曜日

25- 泥沼の日韓対立 この政権が続く限り解決は不可能(下)

 日刊ゲンダイの記事「泥沼の日韓対立 この政権が続く限り解決は不可能)」を文字起こしした記事(25日付)が「阿修羅」に載りましたので紹介します。
時の政権に踊らされて世論が一気に右向け右になるのが一番怖い」と記事は結ばれています。
 
 併せてしんぶん赤旗の記事:「対話の呼びかけを日本政府は徹底して無視 韓国大統領府高官が会見」を紹介します。韓国からの特使を2回にわたって拒否したことなどが語られています。
 韓国大統領府の金氏は「日本の対応は単純な拒否を超え、『国家的自尊心』を喪失させるほど無視した」もので、「外交的な礼を欠いた」と批判しています
 相手国・韓国をそこまで蔑むとはあってはならないことです。
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泥沼の日韓対立 この政権が続く限り解決は不可能
 日刊ゲンダイ 2019/08/23
阿修羅文字起こし
メンツだけの突っ張り合いに金正恩は高笑い 
 日韓関係のドロ沼化に呵々大笑なのが、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長だろう。国営メディアの朝鮮中央通信は先月末、GSOMIAを「戦争協定」と批判。「早急に破棄されるべきだ」と主張していたからだ。
 北は米韓合同軍事演習などに反発して先月25日以降、日本を射程に入れる短距離弾道ミサイルを計6回発射。安倍政権は北がミサイルを発射するたびに「日米韓で緊密に連携している」と繰り返してきたが、韓国とのメンツ争いが招いたGSOMIAの破棄で「緊密な連携」を失ってしまった
 加えて、拉致問題の解決がさらに遠のくことは必至。北が安倍批判のボルテージを上げているからだ。
 党機関紙「労働新聞」は18日、10月から始まる幼児教育の無償化から朝鮮学校を除外したことに反発。<安倍政権はわが国との『条件なしの対話』を掲げて騒ぎ立てているが、真に受ける者はいない>と一蹴した。翌19日には、安倍が拉致問題の解決を強調していることについて<敵対の雰囲気をあおり、政治的利得を上げるのが目的だ>と非難している。
 
 安倍は「私が金正恩委員長と向き合わなければならない」と念仏のように唱えているが、その気があるなら、韓国と揉めている暇などないはずだ。自民党の中谷元・元防衛相はGSOMIAの破棄について、「北朝鮮を利することにしかならず、韓国政府の判断力が理解できない」と批判したが、「北を利する」発端をつくったのは韓国への輸出規制という“禁じ手”を使った安倍政権である
 
「北朝鮮は日米韓の連携を面白く思っていません。日韓は歴史問題で隔たりがあるとはいえ、軍事分野では密に連携してきましたから。米国が日韓の仲裁に乗り出す可能性はあると思いますが、米国と良好な関係を築いている正恩氏からすれば、日韓が勝手に“自爆”したことに笑いが止まらないでしょう」(デイリーNKジャパン編集長の高英起氏)
 北にとって、日韓の揉め事は“漁夫の利”でしかないのだ。 
 
韓国の決定に日本の世論がイキリ立つのが最大の懸念 
 〈頑張れ韓国 地獄まであと一息!〉〈アメリカに気兼ねなく本来の仮想敵国扱いにできる〉〈日本と韓国は殺し合え〉〈韓国と国交断絶しろ〉
 
 韓国のGSOMIA破棄の決定を受け、イキリ立つネトウヨは「韓国憎し」の大合唱だが、少し冷静になった方がいい。韓国がヒートアップするほど、逆に日本が落ち着いて対応すれば国際的な評価も高まるというものだ。隣国同士が声高にやり合えば、どっちもどっちと見られてしまう。両国の世論が熱くなり過ぎるとロクな結果にはならない。
 政治評論家の森田実氏は
「世界中で格差社会が広がり、鬱屈した不満がガスのようにたまっているため、何かが起きると火が付きやすい。右翼的な政治家はそこに非寛容ナショナリズムや排外主義を持ち込み、火を付けて支持を得る。その典型がトランプ米大統領と安倍首相であり、今回の韓国の件もその流れにある」と言い、こう続ける。
韓国と国交断絶だ、戦争だ、なんて声がワンサカと出てくる異常な状況なのに、与野党や経済界、大マスコミからは安倍政権の政治手法を問う声がほとんど出てこない。理性が失われて狂気が支配するのが戦争ですが、今はまさにその時代に戻りつつあるかのようです」
 
 拳を振り上げるばかりでは、外交問題は何ら解決しないし、時の政権に踊らされて世論が一気に右向け右になるのが一番怖い。先の大戦でも、「日本は強い」などと妄信して無謀な戦争に突入し、大量の悲惨な戦死者を生んだではないか。悲劇を繰り返さないためにも、今こそ冷静になるべきだ。 
 
 
対話の呼びかけを日本政府は徹底して無視 韓国大統領府高官が会見
しんぶん赤旗 2019年8月24日
 韓国大統領府の金絃宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長は23日の記者会見で、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の終了決定に至った最大の理由について、日本側が徴用工問題や輸出規制問題に関する対話の提案を徹底して無視したことだと強調しました。
 
 金氏によると、韓国政府が7月に2回にわたって特使を日本に派遣したほか、8月に駐日韓国大使が日本政府高官との接触を試みました。8月15日の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)には、韓国高官が日本を訪問。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が光復節記念演説で日本との対話と協力を呼び掛けることについても、事前に日本政府に通知していました。
 
 金氏は「日本側は何の反応も見せなかった」と述べた上、21日に北京で開かれた日韓外相会談でも、元徴用工への賠償を命じた昨年10月の韓国大法院(最高裁)判決の「是正」を韓国政府に求める従来の立場を繰り返したと指摘。「三権分立を無視する」とともに「司法に対する政府の干渉」を求めたと批判しました。
 韓国政府は「日本側と外交的に問題を解決するための多様な方策について扉を開いている」と、繰り返し日本政府に対話を呼び掛けましたが、「日本側はいっさい応じなかった」と明らかにしました。
 
 金氏は「日本の対応は単純な拒否を超え、『国家的自尊心』を喪失させるほど無視した」もので、「外交的な礼を欠いた」と批判しました。