2019年8月13日火曜日

13- 日韓 対話通じ解決を 徴用工問題で両国弁護士らが声明 

 日韓両国の弁護士や支援団体が11日、徴用工問題日韓両国政府対決するのではなく対話を通じた問題解決を求めるべきだ」とする声明を発表し、都内で記者会見を行いました。
 この問題で、「論理性」とは無縁の安倍首相が、日韓請求権協定により「完全かつ最終的に解決した」と繰り返し述べて日韓の対立を煽っているのは困ったものです。
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日韓 対話通じ解決を 両国弁護士らが声明 徴用工問題
 しんぶん赤旗 2019年8月12日
 徴用工問題の解決を求める日韓両国の弁護士や支援団体が11日、「日韓両国政府の対決ではなく対話を通じた問題解決を求める」と題した声明を発表し、東京都中央区で会見しました。声明全文
 
 声明は、日韓関係の改善には徴用工問題の解決が不可欠だと指摘。「私たちが望むものは、日韓両国政府の対決ではなく、対話を通じた問題解決だ」とし、「被害者の被害実態に誠実に向き合うことなく、被害者を蚊帳の外に置いたまま、国家間の政治的対立に明け暮れる姿勢は、直ちに改めるべきである」と批判しています。そのうえで▽被害者と日本企業の間で協議の場を設け、日韓両国政府がそれを尊重する▽当事者間の協議で具体化された解決構想の実現に日韓両国政府は協力する―ことなどを求めています。
 
 会見で弁護士の川上詩朗さんは「(徴用工問題は)被害者の人権問題であり、日韓関係の悪化は被害者たちが望んでいない状況だ」と強調。被害者と日本企業との間の協議を求める提案について「協議が始まるだけで国内の雰囲気は大きく変わると思う。日本政府は当事者間の協議を妨害しないでほしい」と述べました。
 
 韓国の太平洋戦争被害者補償推進協議会の李煕子(イ・ヒジャ)共同代表は、徴用工の強制労働に対する日本企業の賠償責任を認めた韓国大法院(最高裁)の判決について「自分たちが死ぬ前に問題が解決され、人権が回復すると期待した。20年以上も訴訟を行ったが安倍政権がそれを妨げた」と指摘。「誤った歴史に対して日本政府が反省し、日本企業が謝罪をすることが解決の必然的過程だ」と語りました。
 
 
徴用工問題 日韓弁護士らの会見 “一日も早い解決を”
しんぶん赤旗 2019年8月12日
 11日に行われた徴用工問題の解決を求める日韓両国の弁護士や支援団体らによる記者会見では、日本政府の対応の問題や対話による問題解決の重要性が口々に語られました。
 
 「勤労挺身(ていしん)隊ハルモニと共にする市民の会」の李国彦(イ・クゴン)常任代表は、日韓請求権協定(1965年)で個人の請求権は消滅していないことを河野太郎外相が認めてきたと指摘。「日本政府が自ら立場を覆している」と述べました。
 
 太平洋戦争被害者補償推進協議会の李煕子(イ・ヒジャ)共同代表は「安倍政権のやり方をみて、原告の方々は悔しさでいっぱいだ。わが国は植民地なのか、なぜ外国の判決を否定するのかと憤っている」と声を震わせました。また「日本で『日韓関係は最悪』と報道されるが私はそう思わない。日韓両国の市民が政治家に惑わされず、知恵を絞ってこの問題を解決できると信じている」と語りました。
 
 「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」の高橋信共同代表は、徴用工問題で日本企業の賠償を認めた韓国大法院(最高裁)の判決が出てから被害者が4人亡くなったとして、「被害者が救済されて安らかに旅立ちたいと異口同音に話していた。一日でも早い解決を願う」と話しました。
 
 「朝鮮人強制労働被害者補償立法をめざす日韓共同行動」の矢野秀喜事務局長は、1990年代から徴用工問題で日本企業が自主的に被害者と協議・和解した事実があることを「忘れないでほしい」と指摘。「今でも当事者間で協議をすれば和解できる」と述べました
 
 
徴用工問題の解決を求める日韓弁護士や支援団体声明(全文)
しんぶん赤旗 2019年8月12日
 11日、徴用工問題の解決を求める日韓弁護士グループや支援団体が発表した声明(全文)は次の通り。
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 日韓関係が悪化の一路をたどっている。
 日本政府は、本年6月19日、韓国政府の提案した徴用工・勤労挺身(ていしん)隊問題の解決構想案について直ちに拒否の意思を明らかにしたことに続き、7月1日には、半導体核心素材など3品目の韓国への輸出手続きを強化することを公表し、さらに韓国を「ホワイト国」から除外する閣議決定を行った。
 
 日本の外務省は、今回の輸出規制措置が徴用工・勤労挺身隊問題に関する韓国大法院判決問題とは無関係であると説明している。しかし、安倍首相自ら「1965年に請求権協定でお互いに請求権を放棄した。約束を守らない中では、今までの優遇措置はとれない」と語り(7月3日、日本記者クラブ党首討論)、日本のマスコミの多くも今回の措置が韓国大法院判決への対抗措置であると論じているように、輸出規制措置と徴用工・勤労挺身隊問題は関連性があるとの見方が有力である。
 
 日本政府は、韓国大法院が徴用工・勤労挺身隊被害者の日本企業に対する慰謝料請求を認めたことを取り上げて、韓国は「約束を守らない」国であると繰り返し非難している。
 しかし、韓国大法院は、日韓請求権協定を否定したわけではなく、日韓請求権協定が維持され守られていることを前提にその法解釈を行ったのであり、昨年11月14日、河野外務大臣も、衆議院外務委員会において、個人賠償請求権が消滅していないことを認めている。
 
 そもそも、原告らは、意に反して日本に動員され、被告企業の工場等で賃金も支払われず過酷な労働を強いられた人権侵害の被害者である。この被害者に対し、日本企業も日韓両国政府もこれまで救済の手を差し伸べてこなかった。そこで、被害者自らが人権回復のための最後の手段として韓国国内での裁判を提起したのである。
 法の支配と三権分立の国では、政治分野での救済が得られない少数者の個人の人権を守る役割を期待されているのが司法権の担い手である裁判所であり、最終的にはその司法判断が尊重されなければならないとされている。
 徴用工・勤労挺身隊問題に関する韓国大法院判決は、まさに人権保障の最後の砦(とりで)としての役割を果たしたものといえるのであり、評価されこそすれ非難されるべきものではない。
 
 それに加えて何よりも問題なのは、人権侵害を行った日本企業や、それに関与した日本政府が、自らの加害責任を棚に上げて韓国大法院判決を非難していることである。
 被害者である原告は、日本で最初に裁判を始めてから20年以上を経て自らの権利主張が認められたのである。被害者の権利主張を認めた韓国大法院判決を非難するということは、被害者の法的救済を妨害し、さらに被害者に新たな苦しみを与えるものと言わざるを得ない。日本国憲法により普遍性を有する個人の人権を尊重しなければならないと命じられている日本政府の取るべき態度ではない。
 
 私たちが望むものは、日韓両国政府の対決ではなく、対話を通じた問題解決である。被害者の被害実態に誠実に向き合うことなく、被害者を蚊帳の外に置いたまま、国家間の政治的対立に明け暮れる姿勢は、直ちに改めるべきである。
 今の悪化した日韓関係を改善するためには、徴用工・勤労挺身隊問題の解決は避けて通ることのできない課題である。被害者と日本企業との間で徴用工・勤労挺身隊問題の解決のための協議の場が設けられ、日韓両国政府がそれを尊重する姿勢をとることこそ、日韓関係改善に向けた確実な第一歩になると確信している。
 
 私たちは、改めて、訴訟の被告である日本企業に対して、徴用工・勤労挺身隊問題の解決について協議を開始することを求める。
 また、日韓両国政府に対して、当事者間での自主的な協議を尊重し、当事者間の協議を経て具体化されるであろう徴用工・勤労挺身隊問題の解決構想の実現に協力するよう求める。
 2019年8月11日
 強制動員問題の正しい解決を望む韓日関係者一同
以下、日韓の関係者名が列記されていますが省略