2021年11月7日日曜日

「反共」という共闘阻害の劇薬(澤藤統一郎氏)/ 立民党が選択するべき第三の道(植草一秀氏)

 澤藤統一郎弁護士氏は、ブログ記事「反共という共闘阻害の劇薬」のなかで、

「野党共闘成立以来、『反共』という悪罵の嵐が吹き荒れ それがいまだに終熄していないのは、国民意識の中に潜在する反共意識を煽り、これに付け込んで悪用しようという言動が一定の効果を発揮しているのだ。
 反共意識は、支配の側が作り出して民衆に刷り込んだもの。治安維持法は何よりも共産党弾圧を主たる目的として立法されたため、民衆の側にも『共産党との関わりを疑われると恐ろしい』存在になり、その残滓が今も残り、企業社会でも政治社会でも有用なものとして使われている(要旨)」と述べています。
 要するに共産党中傷の悪宣伝(プロパガンダ)は敗戦をもって終了してはおらずに 今も恒常的に企業や地域で「再生産」され続けているという指摘です。
 そして「『反共意識』の蔓延は、民主主義の未成熟度を表すもので、議会制民主主義と政党政治の健全な発展のために、『反共意識』の克服は重大な課題だと思う」と述べています。
 以下に紹介します。
 併せて「政策連合=オールジャパン平和と共生」の立場から、野党共闘問題について考察している植草一秀氏のブログ記事「立憲が選択するべき第三の道」を紹介します。
 なお植草氏はこれとは別に、5日には「六産別党は国民民主だけでたくさん」という記事を出しており、そのなかで、
共産党が選挙協力した結果、立民党は小選挙区で議席を増やしたが、枝野氏が野党共闘に背を向けたため立民党を支持する者が激減し比例での議席を大幅に減らした
連合は旧同盟系組合と旧総評系組合等が合流して創設されたが、現在の主導権は六産別が握り、国民民主党とともに共産党との共闘を許さないと叫んでいる。現行の政治権力を支援する勢力だ。
 立民党のなかで国民民主党と基本政策と立場を共有する者は国民民主党に合流すればよい」、と述べています。
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「反共」という共闘阻害の劇薬
                   澤藤統一郎の憲法日記 2021年11月5日
 政党間の共闘が成立するのは、それぞれが共闘によるメリットを確信するからだ。小選挙区制を前提とする限り、4野党がバラバラでは議席を獲得することができないのは理の当然。共闘によって候補者を調整し、一本化された共闘候補者への投票の集中が議席の獲得を可能とする。だから共闘は必然である、とも言える
 しかし、各政党はそれぞれに理念も信条も異なり、活動の歴史も人脈も別である。本来はむしろ激しく競い合うべき間柄で、信頼関係の形成は難しく、その共闘は至難の技。政策協定も、候補者調整も、共闘候補者の議会活動も、実はとてつもない難事というほかはない。
 だから、安易な共闘に走ることなく、それぞれが自党の党勢の拡大をはかることに専念すべきだという意見も、当然に根強くある。永年のうちには、政党の消長が進行して、自党こそが単独で政権を担うことになり得るという期待を込めてのもの。
 とは言え、百年河清を待つ余裕はない。格差貧困問題解決も、労働条件の改善も、社会保障の充実も、税負担不公平の是正も、改憲阻止も、ジェンダー不平等の解消も喫緊の課題ではないか。野党の共闘を求める声の高まりが、時の氏神の采配宜しきを得て、野党の共通政策となった。そして、実務的な候補者調整の作業が進行して今回の総選挙を迎えた。

 野党共闘の成果はどうであったか。議席獲得に成功した例あり、善戦したが議席獲得に至らなかった例あり、また明らかに失敗した例もある。そして、全体としては、共闘参加の野党の議席を減らした。元気の出ない野党共闘の結果である。
 現実には期待された結果を出せなかった野党共闘だが、野党共闘あったがゆえのこの結果であったのだろうか。むしろ、野党共闘あったにもかかわらずの結果と言うべきではないだろうか。もっと早い段階で、もっと深い信頼関係を築き、もっと共通政策を選挙民に訴え切ることができていたら、事態は変わっていたかも知れない。
 企業社会では、「シナジー効果」が語られる。企業の提携や合併による収益の向上の相乗効果を語る言葉。1+1が2で終わらず、3にも4にもなることをいう。政党間の共闘でも、シナジー効果(相乗効果)が大いに期待されるのだが、今回、それは部分的な効果に留まった。

 野党間の共闘は総論的には不可避だが、共闘による相乗効果の発揮は容易なものではない。その難しさは内部的な問題にあるだけでなく、外部からの悪意のトゲにも留意が必要である。
 野党共闘成立以来、「反共」という悪罵の嵐が吹き荒れ、いまだに終熄しない。国民意識の中に潜在する反共意識を煽り、これに付け込んで悪用しようという言動が一定の効果を発揮しているのだ。
 反共意識は、支配の側が作り出して民衆に刷り込んだもの。古くは、「天子に弓引く不忠不義の共産党」であり、「私有財産を否定して社会を紊乱する共産党」であった。また、天皇が唱道する戦争に反対して平和を唱えるという、「とんでもない非国民・共産党」でもあった。
治安維持法は何よりも共産党弾圧を主たる目的として立法された。天皇制政府の弾圧の対象となった共産党は支配者からみて「恐るべき政党」であるだけでなく、民衆の側にも「共産党との関わりを疑われると恐ろしい」存在になったのだ。この残滓が今も残っている。企業社会でも政治社会でも有用なものとして使われる
こうしてつくられ今なお残っている社会の反共意識を、ライバル政党は徹底して煽り利用した。中国共産党のイメージの悪さも、大いに悪宣伝に使われた。4野党の共闘が期待したほどの進展を見せなかった大きな原因が、いまだにこの世にはびこっている反共意識の所為のように見える。
「反共意識」の蔓延は、民主主義の未成熟度を表すもので、「共産党を支持しない」見解とは大きく異なる。議会制民主主義と政党政治の健全な発展のために、「反共意識」の克服は重大な課題だと思う。


立憲が選択するべき第三の道
                植草一秀の『知られざる真実』 2021年11月 6日
立憲民主党の今後について改めて考え方を整理しておきたい。
立憲民主党が混乱している主因は路線が定まらないこと。
共産党を含む野党共闘の路線を採るのか。共産党との共闘をせず、第二自公路線を進むのか。
ただし、野党共闘の考え方にも二つの考え方がある。
政権交代を実現するためには基本政策を脇に置いてでも、非自公がひとつにまとまらなければならないという考え方がひとつ。いまひとつは、基本政策を共有する勢力が大同団結して共闘するという考え方。
「政策連合=オールジャパン平和と共生」は後者の主張を続けてきている。
政権交代は目的ではなく手段である。基本政策を共有しない勢力が政権を奪取しても立ち行かない。基本政策の対立という矛盾に直面するからだ。
共有するべき基本政策は次の三つ。
  平和主義の堅持  原発ゼロ  共生の経済政策
共有する基本政策を軸に連帯する「政策連合」を牽引することが立憲民主党に期待された。
ところが、枝野幸男氏は共産党を含む野党共闘に背を向けた。枝野氏は、共闘の対象は国民民主党と連合であって、共産党、社民党、れいわは共闘の対象ではないと明言した。
枝野氏の姿勢を見て、「政策連合」を牽引する主役としての役割を立憲民主党に期待した主権者が立憲民主党を支持するのをやめた。この結果、立憲民主党は衆院総選挙で惨敗した。
惨敗の責任により枝野幸男氏が代表を辞任する意向を表明した。
立憲民主党の新しい体制を構築するにあたり、立憲民主党の基本路線を明確にすることが必要だ。
想定される基本路線は三つある。
 第一は、共産党を含む共闘を否定して国民民主党と類似した第二自公路線を選択するもの。
 第二は、非自公の大連帯構築を目指して政権交代可能な多数勢力形成を目指すこと。
 第三は、平和主義堅持、原発ゼロ、共生の経済政策という基本政策を共有する勢力による大同団結を確立すること。
「政策連合=オールジャパン平和と共生」が提唱しているのは第三の考え方。
第一の方向を目指すなら国民民主党と分離している必要はない。両者は合流するべきだ。
第二の選択は「数の論理」を優先するものだが、基本政策を共有しないから「野合」になる。
立憲民主党代表選においては、候補者がどの道を選択するのかを明言する必要がある。
第三の道を明示する候補者が出現するなら、その候補者が新しい代表に就任することが望ましい。
第一の道、第二の道を選択する者が立憲民主党の新代表に就任する場合は、政治刷新を目指す多くの主権者は立憲民主党を支持しないことになるだろう。
小川淳也氏の考え方を十分認知していないが、小川氏が明確に第三の道を選択することを示すなら、代表に就任し得る候補者の一人になる。
しかし、小川氏の主張が第二の道であるなら、新代表にはふさわしくないということになる。
共闘の対象に国民民主、維新が含まれることはあり得ない。
重要なことは基本政策を共有すること。維新は自民より右に位置し、国民の主張は自公と変わりがない。
「国民」と表裏一体の関係にある「連合」は米国の日本支配戦略の先兵に成り下がっている。
立憲民主党が連合の軍門に下るなら、立憲民主党と国民民主党に差異はなくなる。
この場合は、共産党、れいわ、社民と立憲民主党有志による「政策連合」を構築することが必要になる。
立憲民主党有志とれいわ新選組が合流して日本政治刷新を牽引する真の野党第一党を構築することが望まれる。
鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
https://bit.ly/39BTgmd 
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             (以下は有料ブログのため非公開)




http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2021/11/post-e1055c.html

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六産別党は国民民主だけでたくさん
                植草一秀の「知られざる真実」 2021年11月 5日
国民民主党が正体を露わにし始めた。国民民主党の正体は第二自公。基本政策路線を自公と共有する。支援母体は連合六産別。
この基本特性を有する政党は一つで十分。
戦争法制を容認し、原発稼働を容認し、消費税増税を容認する。連合六産別も同じ。
この基本属性を持つ政治勢力が共産党と共闘できないのは当然。
他方、真逆の基本政策を有する政治勢力が存在する。戦争法制を容認せず、原発稼働を容認せず、消費税増税を容認しない勢力だ。
この基本属性を有する政治勢力は共産党と共闘できる。
共産党は天皇制、日米安保、自衛隊の現状を直ちに変更することを求めていない。政権樹立の際には閣外協力で諒としている。野党共闘の構築は可能。
立憲民主党は旧民主党・旧民進党から分離したもの。共産党と共闘し得る政治勢力として認識されてきた。
ところが、今回衆院総選挙に向けて、枝野幸男氏が背を向けた。

このために、立憲民主党への主権者支持が激減した
枝野幸男氏は記者に対して
「「野党共闘」というのは皆さんがいつもおっしゃっていますが、私の方からは使っていません。あくまでも国民民主党さんと2党間で連合さんを含めて政策協定を結び、一体となって選挙を戦う。共産党さんとは(共産、社民、れいわの3党と一致した政策に)限定した範囲で閣外から協力を頂く。」
立憲民主党が共闘する対象は国民民主党と連合であって、共産党、社民党、れいわとは共闘しないと宣言した。
立憲民主党は共産党の選挙協力によって多数の議席を確保するという恩恵を享受した。ところが、共産党は共闘の対象ではないと述べた。これで信頼関係が構築されるわけがない。

枝野幸男氏が野党共闘に背を向けたから立憲民主党を支持する者が激減した。
その結果、立憲民主党は比例代表選挙での獲得議席を大幅に減らした
選挙区選挙で議席を確保できたのは共産党の選挙協力があったから。
共産党が野党共闘を牽引していなければ立憲民主党の獲得議席数はさらに激減していた。
この現実を直視する必要がある。

連合六産別は電力総連、電機連合、自動車総連、基幹労連(鉄鋼)、JAM(機械・金属)、UAゼンセン(繊維・流通等)のこと。
大企業御用組合連合だ。旧同盟系の労働組合が大半。
1960年に革新勢力を分断するためにCIAが民主社会党(民社党)を創設した。
同盟はその支援母体にされた。つまり、日本の革新勢力を大同団結させないための工作部隊である。この工作部隊がいまなお、同じ目的で動いている。
連合は旧同盟系組合と旧総評系組合等が合流して創設されたが、現在の主導権は六産別が握っている。この連合が国民民主党とともに「共産党との共闘を許さない」と叫んでいる。
現行の政治権力を支援する勢力だ。立憲民主党のなかで国民民主党と基本政策と立場を共有する者は国民民主党に合流すればよい。

他方、戦争法制を容認せず、原発稼働を容認せず、消費税増税を容認しない、の基本政策を有する者は、共産党との共闘を容認できるから、この人々が立憲民主党に残存すればよい。
新しい代表には、当然のことながら、共産党を含む野党共闘を推進する者が就任するべきだ。
参院選まで1年を切っている。早急な野党共闘立て直しが必要不可欠だ。

鳩山友紀夫元首相との対談(アジア共同体研究所主宰YouTube動画「UIチャンネル」)
https://bit.ly/39BTgmd 
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             (以下は有料ブログのため非公開)