しんぶん赤旗が、先の総選挙において9月8日に市民連合と4野党が合意した共通政策の重要性は、総選挙後ますます大きくなっているという記事を出しました。
岸田首相は米国のいうままに日本の軍備を拡張し、中国を相手に戦争できる国へと突き進もうとしていますが、これ以上に愚かなことはありません。
孫崎・元外務省国際情報局長によれば、米国は中国を相手に戦争するとどうなるかについて、条件を変えながら19回しシミュレーションしたものの一度も勝てなかったということです。
⇒ 「時事放談 鳩山友紀夫×孫崎享」動画 https://youtu.be/dy-eaiCGhzU
(11月22日)U I チャンネル
必ず負ける戦争をする筈はないので、米国は最初の切っ掛けを作って日本を対中戦争の前面に出させた後は、タイミングを見て手を引く作戦としか考えられません。その結果日本が徹底的に破壊されるのは言うまでもありません、
敵基地攻撃能力の保有を叫び軍事費を2倍以上にして、民生予算を削り国民を痩せ細らせた挙句がそれであれば最早何をかいわんやです。
岸田氏は総裁選で「新自由主義からの転換」を口にしましたが、その流れ?で組織した「新しい資本主義実現会議」が8日にまとめた「緊急提言」では、1行目から「成長と分配の好循環」というアベノミクスと同じ言葉を掲げられ、民間企業の技術革新を「官が支援することを基本とする」と明記し、自動車産業は「我が国の基幹産業」だと特定企業支援につながる施策を盛り込むとともに、原発再稼働拡大を前提としたエネルギー基本計画を踏まえつつ、「将来に向けた原子力利用に係る新技術の研究開発の推進」を掲げています。
要するに何一つ新しいものなどありません。
その一方で、自民党内の「改憲推進本部」を「憲法改正実現本部」改組し、本部長に日本会議議連会長の古屋圭司元国家公安委員長を就任させるなどして、いまではかつて「宏池会はリベラル派」などと言われてきたことの片鱗も見えなくなっている有様です。
しんぶん赤旗が「政治考 野党共通政策いまこそ重要“憲法無視、軍事強化”に対抗」という記事を出しました。
ほぼ同じテーマを深堀りした記事「岸田首相 危険な再起動 新自由主義 改憲・大軍拡
新たな『構造改革』 日本会議シフト」も、併せて紹介します。
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政治考 野党共通政策いまこそ重要“憲法無視、軍事強化”に対抗
しんぶん赤旗 2021年11月24日
総選挙における市民と野党の共闘の大義と魅力を表したものが9月8日に市民連合と4野党が合意した共通政策でした。その重要性は総選挙後の自民党や日本維新の会などの改憲への前のめりの動きの中でますます大きくなっています。
元外務省国際情報局長の孫崎享氏は「これからの日本の政治を考える時、非常に危険なのは、敵基地攻撃であるとか、台湾有事に軍事的に協力するとか、沖縄周辺にミサイルを配備するとか、今まで以上に軍事的に踏み込んだ対応をしようとしていることだ」と指摘します。
改憲勢力は、孫崎氏が指摘するように軍備拡大・強化の動きを進める中で、岸田文雄首相を先頭に9条改憲へ向けた国会論議の加速を次々と打ち上げています。日本維新の会などにも広がった日本会議国会議員懇談会のネットワークを軸に、自公維に加え国民民主党も巻き込みながら、衆参の憲法審査会の毎週開催を進める構え。自民党は改憲推進本部を改組し「憲法改正実現本部」を立ち上げ、本部長に日本会議議連会長である古屋圭司元国家公安委員長を就任させました。
日本共産党の志位和夫委員長は18日の記者会見で、「憲法9条改定への大変危険な新局面が生まれています」と指摘。「9条改憲許すな」「9条を生かした平和外交を」の一点で草の根からの大運動を起こしていくことを強く呼びかけました。
孫崎氏は、日米同盟強化の動きについて「それが政策的に危険でマイナスであることはもちろんだが、それらが日本の憲法体制を超えて軍事を動かそうとするものだけに、野党が総選挙での共通政策で示した『憲法に基づく政治の回復』『安保法制の違憲部分の廃止』という視点は極めて重要だ」と語ります。
孫崎氏は「集団的自衛権行使を可能とした安保法制に対する疑問、批判の動きがあり、これを廃止していくという運動をもう一度しっかり立て直していきたい。私はそれに向かって貢献できるなら、最大限の貢献をしていきたい」と強調します。
日本の針路めぐる大義
総選挙後、安倍・菅政権を後押ししてきたメディアを中心に、野党共闘への攻撃が盛んです。その中心は、「理念や政策が一致しない共闘には、国民の支持が集まらないことが明確になった」(「読売」3日付社説)、「(立民)惨敗の原因は、天皇や自衛隊、日米安全保障条約など国の根幹で相いれない共産党と共闘したことが大きい」(「産経」同日付主張)などと野党共闘を“理念なき野合”とおとしめる議論です。
しかし、総選挙中のNHK党首討論(10月24日)で、日本共産党の志位和夫委員長は「(野党共通政策には)『安保法制の違憲部分の廃止』とある。これは集団的自衛権を行使するのはやめようということです。…安保・外交の一番の根幹部分でしっかり合意している」と指摘。共闘の大義と一致点の重要性を明確にしました。
「戦争する国」か
つまり野党共闘は、外交・安保など「国の根幹」にかかわる問題でしっかり合意しています。安保・外交分野で現在の緊急課題は、日本を「戦争する国」にするかどうかであり、集団的自衛権の行使を可能とした安保法制への態度です。
この点で選挙中、安倍晋三元首相が街頭演説に立ち、野党が安保法制廃止を主張していることに対し「平和安全法制(安保法制のこと)をやめてしまったら日米は助け合える同盟から、助け合えない同盟に変わってしまう。その瞬間、日米同盟は終わってしまう」と繰り返し共闘を攻撃しました。
そのうえで安倍氏は、「方向は逆だ」として「北朝鮮がミサイルを発射し脅威を強める。中国から軍事的な増強を背景に尖閣、台湾、東シナ海で一方的な現状変更にチャレンジする中、日米同盟を強化していくことだ」と、あからさまに安保法制を軸として日米軍事強化の方向を主張したのです。
立場の違い留保
自衛隊発足以来の「専守防衛」という憲法原則を破って、米国と一体に海外で武力行使する集団的自衛権を認めた安保法制を廃止するのか、それともその方向での日米軍事協力の拡大強化を許すのかが総選挙の大争点でした。
野党が、日米安保体制と自衛隊の存在それ自体について立場の違いを留保し、「安保法制の違憲部分の廃止」で選挙協力と政権協力の合意をしたことは、まさに日本の針路をめぐる大問題での歴史的大義を示すものでした。
岸田首相 危険な再起動 新自由主義 改憲・大軍拡
新たな「構造改革」 日本会議シフト
しんぶん赤旗 2021年11月25日
総選挙後、岸田文雄首相が安倍・菅政権をも上回るような財界・大企業本位の経済政策や軍拡路線を加速させています。新自由主義と憲法改悪に向けた二つの再起動を進める危険な動きです。
自民党総裁選では「新自由主義からの転換」まで口にせざるを得なくなっていた岸田氏が、「新しい資本主義」の看板で大企業支援と原発再稼働の拡大、デジタル化と結びついた新たな「構造改革」の推進に走っています。
成長戦略
「新しい資本主義実現会議」が8日にまとめた「緊急提言」では1行目から「成長と分配の好循環」というアベノミクスと同じ言葉を掲げています。民間企業の技術革新を「官が支援することを基本とする」と明記。自動車産業は「我が国の基幹産業」だと特定企業支援につながる施策を盛り込むとともに、原発再稼働拡大を前提としたエネルギー基本計画を踏まえつつ、「将来に向けた原子力利用に係る新技術の研究開発の推進」を掲げています。
19日に決定した経済対策も国費43・7兆円を投じるとしながら、給付金は子育て世帯や住民税非課税世帯でなければコロナ禍で収入が減った非正規労働者にも届きません。看護・介護・保育職の賃上げも現場から「低すぎて泣ける」との声が上がるなど、「分配戦略」は看板倒れです。
一方で目立つのは大企業・財界本位の「成長戦略」です。公的資金を元手に株や債券に投資する10兆円規模の大学ファンドの運用を今年度末をめどに開始。企業と連携し稼ぐ大学への支援を強めようとしています。
デジタル分野では巨額の公費を投じて「デジタルインフラの整備」を推進。16日の「デジタル臨調」では新たな「構造改革」まで打ち出しています。
転換どころかアクセル 岸田首相
改憲シフト ― 日本会議勢力が中心に
大軍拡 ― 敵基地攻撃保有能力も
デジタル化 ー 個人データ利活用推進
実現本部砿
自民党は、総選挙の結果で改憲発議に必要な3分の2の議席を改憲勢力が占めたのを受けて、「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」へ改称し、同本部長に古屋圭司政調会長代行を充てました(19日の総務会)。岸田首相は総務会後の古屋氏との会談でヽ「名称だけではなくて体制も変え、しっかりやる気を示そう」と発言。同日の新聞各社のインタビューで、「具体的な改正を考えると、これから先、主戦場は国会の議論」と述べ、世論への働
きかけを強める姿勢を示しました。
「憲法改正実現本部」の事務総長には、衆院憲法審査会の与党筆頭幹事を務める新藤義孝元総務相が就任。古屋、新藤両氏は改憲右翼団体・日本会議と一心同体の日本会議国会議員懇談会の会長と副会長です。この間、改憲をあおってきた日本維新の会の遠藤敬国対委員長は同会議事務局長、馬場伸幸幹事長は同副会長です。日本会議勢力が中心となって改憲推進のシフトを組んでいるのです。
その維新の馬場、遠藤両氏は国民民主党と幹事長・国対委員長会談を開き、憲法論議の活性化で連携することで合意(9日)。改憲をめぐる危険な新局面を迎えています。
GDP比2%念頭
岸田首相は改憲策動と並行して、憲法違反である敵基地攻撃能力の保有などの軍拡を進め、日米同盟における日本の軍事的々役割の強化を狙っています。総選挙後には、国家安全保障戦略の改定に向け
て「防衛力強化加速会議」を防衛省内に新設。岸信夫防衛相は同会議で「敵基地攻撃能力保有も含めて議論する」と表明しました。
歴代政権は、敵基地攻撃保有は違憲との見解を示してきました。しかし、昨年9月に安倍 三首相(当時)が同能力保mの検討を指示。安倍氏の意を受けた岸田政権
下で急速に進んでいます。
また、総選挙公約には軍事費を国内総生産(GDP)比2%超を念頭に増額を目指すと明記。2%が強行されれば軍事費は11兆円超に倍増します。21年度補正予算案では軍事費が過去最大の約7700億円に上ると報じられており、公約を受けた増額とみられます。
背景にはバイデン米政権の圧力があります。同政権は同盟国の役割強化を掲げており、日本には米軍「思いやり予算」増額に加え、「対中国」での役割強化を迫るのは必至です。こうした軍拡路線は、軍拡競争の悪循環にアジア全体を巻き込む危険な道です。
総裁選中は、「小泉改革以降の新自由主義的な政策を転換する」とまで述べていた岸田氏が安倍・菅政権をも上回るような大企業支援の強化や新たな「構造改革」にまで踏み込んできた背景には何があるのか。
財界人らから要望
「新しい資本主義実現会議」の第1回会合(10月26日)の議事要旨では、出席した財界人らが「あらゆる格差が悪と捉えられていないか」「まず必要なことは、企業の成長戦略だ」(経済同友会の桜田謙悟代表幹事)、「政府による産業政策の重要性が増している」(経団連の十倉雅和会長)などと国による強力な大企業支援を求めていたことが明らかになっています。
岸田政権が新たに設置した「デジタル臨調」も経団連が要求していた「企業の取組みを加速」するための「DX(=デジタル変革)と規制改革の好循環」の実現に応えるためのものであることは明らかです。
牧島かれんデジタル相によると、同臨調はデジタル・規制・行政の三つの「改革」を 「一体的に進め」「官民にまたがる本質的な構造改革に挑戦していく」ものだとされて
います。
新たな{構造改革」の中身はまだ明示はされていませんが、その基準となる「デジタル原則」の方向性としては「民間(企業)の力を最大化する新たな官民連携」などが掲げられています。
政府の「緊急提言」では、妊産婦・乳幼児・高齢者などの「個人の健康状態に関するデータ」を「様々な主体が利用できる環境」をつくることを想定して「実証」を行うことや「将来的に分野横断的なデータプラットフォーーム(=基盤)の構築へとつなげていく」との目標も盛り込まれました。
個人情報の保護より利活用を優先するデジタル関連法が目指す社会の構築が着々と進められつつあります。