東京での新型コロナがようやく鎮静しひと安心したばかりですが、実は東京の新規感染者はジワジワ増えていて、10日現在の7日間平均は前週の20・3人から23・1人に増えました。実効再生産数は前日の1・04から1.10に増大し「感染拡大」の領域に入りました。
問題は経路不明者が7割に達していることで、市中感染の兆しがあるということです。
昨年は11月中旬から一気に感染が拡大し年末年始に感染爆発しました。そろそろ、冬の第6波を見据えて感染拡大の防止に本腰を入れるべきですが、残念ながらまだそうした取り組みは見られません。
現在はPCRなどの検査は、医師や保健所が必要と判断した場合を除いて、自主的に検査する場合は有料となっているのに対して、政府は「第6波」対策として、ようやく無症状の人がPCR検査や抗原検査をする場合の費用を無料とする方向で、対象者や方法などの具体策を固め12日にも対策本部で決定するということです。
国民はもう菅前首相の「ヤルヤル詐欺」にはうんざりしています。一刻も早く実行に入って欲しいものです。
日刊ゲンダイと(フジ)FNNプライムオンラインの記事を紹介します。
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東京で感染拡大傾向も経路不明「7割超」の不気味、岸田政権のウスノロ対応が“命取り”になる
日刊ゲンダイ 2021/11/11
東京の新型コロナウイルスの新規感染者がジワジワ増えている。
10日は25人で前週水曜日と同じだったが、7日間平均は前週の20.3人から23.1人へと13.8%も増えた。
不気味なのが経路不明者が目立つことだ。9日は陽性者30人中22人、10日はは25人中18人と7割超が経路不明。クラスターや濃厚接触者の場合は、感染源や経路がハッキリしているが、経路不明はどこでうつしうつされたのか、わからない。
市中感染の兆し
「冬の流行期を迎え、感染者数が増加に転じるのはやむを得ない。東京でこれだけ経路不明者の割合が多いのは、すでに市中感染の兆しがあると言っていいでしょう」(西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏=感染症学)
欧州や東アジアなど世界各地で冬の流行が始まっている。日本も昨年は11月中旬から一気に感染が拡大し、年末年始の感染爆発につながった。そろそろ、冬の第6波を見据えて動くべきだが、岸田政権はウスノロだ。
遅すぎる検査拡充
岸田首相は10日の会見で「無症状者でも無料で検査を受けられるようにする」と検査拡充方針を示した。今週中に「全体像」を取りまとめるというが、そんな悠長な構えでいいのか。
「新規感染者が数十人の時期が極めて重要です。陽性者が見つかったら、幅広く周辺を徹底的にPCR検査し、早期に感染拡大の芽を摘む必要があります。そうしなければ、これまでと同様にネズミ算式に感染者が増えてしまい、検査が追いつかなくなる。感染が広がってから、抑え込もうとすると、国民に再び行動制限を課す事態にもなりかねません。検査の拡充は専門家や野党が再三求めてきました。岸田首相はどうせやるならすぐに実行し、第6波を最小限に食い止めるべきです」(中原英臣氏)
ノロノロしている暇はない。
無症状でも無料でPCR・抗原検査の方針 政府が調整
FNNプライムオンライン 2021/11/09
無症状でもPCR検査などを無料で受けられるように政府は調整に入った。
現在、PCRなどの検査は、医師や保健所が必要と判断した場合を除いて、自主的に検査する場合は有料となっている。
政府関係者によると、政府は「第6波」対策として、無症状の人がPCR検査や抗原検査をする場合の費用を、無料とする方向で調整しているという。
政府は、対象者や方法について、具体的な検討を進めており、12日にも対策本部で決定する見通し。
また政府は、希望する軽症者全員をホテルなどの「待機施設」に滞在させるため、都道府県に施設の準備を要請する意向。
これらの対策で、陽性者を早期に発見するとともに、医療提供体制の強化を図りたい考え。
このニュースについて、アメリカの大学病院で新型コロナウイルスと向き合っている内科医の山田悠史先生に聞く。
三田友梨佳キャスター「無症状でもPCR検査などを無料で受けられるようになるということなんですが、山田先生、私たちはどう受け止めればいいんでしょうか」
山田悠史先生「何でもかんでも検査をやればよいというものではないんですけれど、今後もう一度大きな感染流行が起こることを想定した場合、総じて無症状の感染者も増えることから、少しでも心当たりのある人が即座に検査を受けられるように検査への域値を下げておくことは有効な隔離という点でも、また、時機を逸せず治療可能ということでも重要になると思います。ただ、検査を受ける閾値が下げられる分だけ、私たちの検査に対するリテラシーもますます問われることになると思います」
三田キャスター「検査におけるリテラシーとはどういうことでしょうか」
山田先生「例えば濃厚接触があって疑わしい症状もあるけれど、検査を受けてみたら陰性となった場合を考えてみたいと思います。そこで、端的に検査『陰性』すなわちコロナではなかったと判断すると間違う可能性があります。そこで、検査は陰性でも実際にはコロナ感染症である偽陰性の可能性も考えるという判断能力が問われます。より多くの方が検査を受けることになると、その分だけ、この偽陰性も増えて誤解が増えるおそれがあります。検査はあくまで診断のプロセスの一部であって、全てではないというのが大事なポイントです。しかし、それをふまえて賢く使うことができれば、検査を受けられる敷居を下げられるということは感染流行時に大きな助けになると思いますし、特にこれから新しい治療薬が複数入ってくるとすれば、検査結果の持つ意味というのはますます高まってくると思います」
三田キャスター「その治療薬については今、飲み薬への承認の動きなどがありますが、こうした治療方法の多様化と検査の結果というのはどうリンクしていくんでしょうか」
山田先生「これまでは軽症の際の治療薬というのは選択肢がそもそも注射薬しかありませんでしたので、自宅療養をする場合には検査結果が陽性でも陰性でも治療法に大きな違いはありませんでした。ところが、今後飲み薬の治療薬が複数登場した場合には、診断機関によってコロナ感染が早期に見つかった場合に、自宅療養中でも治療薬を投与し重症化を防ぐことができるようになると思います。このように、診断を大きく左右する検査結果で治療方法も大きく変わってくる可能性がありますので、検査の意義というのはますます高くなると考えます」
三田キャスター「こうした無料化の動きというのも第6波に備えてのものです。波が来ないために1人ひとりができることを徹底していきたいですが、ほかにも医療体制を整えるなど落ち着いている今だからこそ先を見据えた対策が待たれます」