2021年11月27日土曜日

辺野古新基地 設計変更を沖縄県が不承認 知事「工事全中止を」と

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、玉城デニー知事は25日夕、防衛省沖縄防衛局が20年4月に提出していた設計変更申請を不承認とし、同局に通知しました。

 沖縄防衛局は、辺野古新基地建設予定海域の大浦湾に地耐力ゼロの軟弱地盤が見つかったため、工事計画の大幅変更を迫られ、20年4月21日に軟弱地盤の改良工事に関する設計概要変更申請を沖縄県に提出しました。
 当初の計画では2310億円、工期8年だったのが、変更計画では総工費9300億円、工期12年となっています。しかし軟弱地盤は海面下最大90mまでの深さなのに、防衛局は問題地点の地盤の強度測定もせず「70mまでの改良で問題ない」と主張しています(70mまで作業可能な作業船は日本に1隻のみといわれ、作業を強行するならば費用も工期もさらに膨れ上がります)。
 沖縄県は昨年来、防衛局にのべ39項目452件の質問を行うなど、約1年半にわたって審査を実施し、改良工事後の地盤の強度など、地盤の安定性についての根拠が示されていないと判断しました(19.02.08)辺野古の軟弱地盤、最深90m 例がない改良工事に
 環境保全をめぐっても調査が不十分であるとしました。
 また玉城知事は記者会見で、新基地建設の埋め立てに沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る沖縄本島南部の土砂を使用する計画は「人道上、許されるはずもありません」と批判しました。
 国側は当面、地盤改良の必要がない区域の工事を継続しつつ、行政上の対抗措置を講じながら、最終的には法廷闘争になるとみられます

 日本共産党の志位委員長は25日の記者会見で、沖縄県が政府の設計変更申請の不承認の意向を固めたことについて問われ、「不承認の判断をするとすれば、断固支持するというのが日本共産党の立場です」と述べました。
 しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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辺野古新基地 設計変更を不承認 デニー知事「工事全中止を」
                      しんぶん赤旗 2021年11月26日
地盤強度・安定性根拠なし
 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、玉城デニー知事は25日夕、防衛省沖縄防衛局が昨年4月に提出していた設計変更申請を不承認とし、同局に通知しました。
 埋め立て区域北側の大浦湾側で広大な軟弱地盤が確認されたことから、防衛局は地盤改良のために砂くい7万本以上を打ち込むなどの設計変更を申請していました。県は昨年来、公有水面埋立法に基づき、防衛局にのべ39項目452件の質問を行うなど、約1年半にわたって審査を実施。改良工事後の地盤の強度など、安定性についての根拠が示されていないと判断。このため、新基地そのものが安定的に建設されるか不透明であり「普天間基地の危険性除去」のために新基地をつくるという「必要性」について合理性がないと判断しました。
 これに対して国側は当面、地盤改良の必要がない区域の工事を継続しつつ、行政上の対抗措置を講じながら、最終的には法廷闘争になるとみられます。来年9月の県知事選をみすえ、辺野古新基地をめぐるたたかいは重大な局面に入りました。

 県は不承認理由として、軟弱地盤が最深90メートルに達するB27地点を念頭に、「地盤の安定性等に係る設計に関して最も重要な地点において必要な調査が実施されておらず、地盤の安定性が十分に検討されていない」ことなどをあげました。
 環境保全をめぐっても、▽絶滅危惧種ジュゴンに与える影響について、工事に伴う水中音の調査が行われていない ▽地盤改良による海底地盤の最大14メートルの盛り上がりが環境におよぼす影響について情報が適切に収集されていない  といった点をあげました。
 デニー知事は同日、県庁で記者会見し、同設計変更申請に含まれていた、新基地建設の埋め立てに沖縄戦犠牲者の遺骨が眠る沖縄本島南部の土砂を使用する計画は「人道上、許されるはずもありません」と批判。新基地の埋め立て工事は「すべて中止すべき」だと強調し、今後も日米両政府に対し、米軍普天間基地の速やかな閉鎖・返還を求めていくと訴えました。


辺野古新基地 設計変更 知事の不承認 断固支持
                       しんぶん赤旗 2021年11月26日
志位委員長が会見で表明
 日本共産党の志位和夫委員長は25日午後4時すぎに国会内で記者会見し、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、同県の玉城デニー知事が軟弱地盤の改良工事に伴う政府の設計変更申請の不承認の意向を固めたことについて問われ、「不承認の判断をするとすれば、断固支持するというのが日本共産党の立場です」と表明しました。
 志位氏は、「辺野古新基地建設は計画そのものが破綻しています」と指摘。「超軟弱地盤が存在し、改良工事に政府の試算でも12年以上の年月がかかる。実際にはどれだけかかるか誰にもわからない状況です」と強調しました。
 しかも、同県南部の戦没者の遺骨の眠る土を埋め立てに使うという、死者を冒涜(ぼうとく)するような計画まで盛り込まれていると批判。これが設計変更の中身であり、不承認の判断は当然のことだと述べました。
 その上で、「不承認の判断が下されれば、政府は重く受け止めて設計変更申請を取り下げるべきだということを強く求めたい。辺野古の新基地建設は中止し、普天間基地の無条件撤去の立場で対応することを強く求めていきたい」と表明しました。