2021年11月17日水曜日

17- 立民代表選に 泉健太氏・逢坂誠二氏が立候補の意向表明

 立民党の代表選は19日に候補者を受け付け30日に投票の予定です。
 旧国民民主党出身の泉健太氏と枝野前代表を支えてきた逢坂誠二氏が、推薦人20人の目途が立ったことで17日に立候補を表明するということです。
 西村智奈美氏は女性の立候補を求める議員らへの働きかけを続け、推薦人の確保を目指して詰めの調整を行っています。大串博志氏と小川淳也氏はまだ推薦人確保のめどが立っていないということです。NHKの記事を紹介します。
 誰が代表になろうとも先の総選挙結果についての総括をキチンとしないのであれば立民党の前途は明るくありません。増してメディアが「共産党との共闘が敗因」であるかのようなデマ宣伝を行っているのは政権に取ってそれが脅威だからに他ならず、それを真に受けるようでは話になりません。
 日刊ゲンダイの記事「驚くべき勘違いと謀略報道 立民は負けを共産党のせいにするな」を併せて紹介します。
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立民代表選 泉氏 逢坂氏 立候補の意向表明 西村氏が詰めの調整
                    NHK NEWS WEB 2021年11月17日
立憲民主党の代表選挙をめぐり16日、泉健太 政務調査会長と逢坂誠二 衆議院議員が立候補の意向を表明しました。また西村智奈美 衆議院議員が女性の立候補を求める議員らへの働きかけを続け、必要な推薦人の確保を目指して詰めの調整を行っています。
立憲民主党の枝野前代表の後任を選ぶ代表選挙は16日、旧国民民主党出身の泉健太 政務調査会長がみずからが会長を務めるグループ以外の議員からも支援が得られるめどが立ったことから立候補の意向を表明しました。
また枝野前代表を支えてきた党内の最大グループに所属する逢坂誠二 衆議院議員は16日夜、グループからの要請を受けて立候補する意向を明らかにしました。
2人はそれぞれ17日、記者会見して正式に立候補を表明し政策などを説明することにしています。
一方、西村智奈美 衆議院議員は女性の立候補を求める議員らへの働きかけを続け、必要な20人の推薦人の確保を目指して詰めの調整を行っています。
また立候補を検討している大串博志 衆議院議員と小川淳也 衆議院議員はこれまでに推薦人確保のめどが立っておらず、まだ態度を決めていない議員などに働きかけを続けています。


驚くべき勘違いと謀略報道 立民は負けを共産党のせいにするな
                       日刊ゲンダイ 2021年11月15日
                       (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
 マトモな総括もないままで、再出発ができるのか。衆院選で議席を減らした立憲民主党の迷走が続いている。
 敗北の責任を取って、枝野代表が12日に正式に辞任。後任を決める代表選が「19日告示、30日投開票」の日程で行われる。最大の争点は、「衆院選敗北の一因とされる共産党との共闘路線継続の是非」だと大マスコミは書き立てるのだが、本当にそうだろうか。
 たしかに、立憲の党内では、共産との共闘は解消すべきだという声も出ている。共闘解消を掲げて代表選を勝ち抜こうと動いているメンバーもいる。
 枝野も、辞任会見の質疑応答で野党共闘に関して「新代表にも同じ方向性を求めていくのか」と問われると、「戦略、戦術論としては、実態以上に(共産党と)近い関係と受け止められてしまった」とか言っていたが、それは共産に対して失礼ではないか。協力は欲しいが仲間と思われたくないというのは、あまりに都合が良すぎる。何様なのかという話だ。
 法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)が言う。
「共産党のせいだと責任転嫁しているようでは、話になりません。現行の小選挙区制で自公に勝つには、候補者を一本化するしかない。共産党と共闘したから、甘利前幹事長や石原元幹事長に選挙区で勝つことができたのです。共闘を解消すれば、野党が乱立して自公を利するだけ。立憲がさらに議席を減らすのは自明です。実際、衆院選の小選挙区では公示前の46から57に議席を増やしている。共闘の効果はあったのです。全体で14議席減の96議席に落ち込んだのは、比例代表で23議席も減らしたことが主因で、政党名を書いてもらえなかった立憲自身の問題です」
 共産と手を組んだせいで負けたと思いたいのかもしれないが、敗因というのは往々にして自らの内にあるものだ。

支持率低迷は野党共闘以前の問題
 野党共闘が思うような成果に結び付かなかったのは、共産との「近い関係」が主因ではない。今では共産党に対する一般有権者のアレルギーは都市部ではほとんどない。地方部では根強いとしても、「共産党」というだけで拒否反応を起こすような有権者はハナから自民に投票する。立憲がどこと組もうが関係ないのだ。
 共闘の是非以前に、衆院選の前からずっと立憲の支持率が低迷していたことの原因を考えた方がいい。自民党のデタラメ政治を許してきた不甲斐なさ、あるいは党首の不人気、それに気づかず野党第1党の立場に驕って有権者の思いを置き去りにしてきたこと……。比例票を大幅に減らしたのは、普段の活動が評価されていなかったことに尽きる
 そんな立憲に付き合って、一本化のために候補者を降ろしまくり、その結果、議席を減らした共産の方が「いい迷惑」かもしれない。
 それでも共産は、10日の国会の首相指名選挙で「枝野幸男」と書いた。志位委員長は「衆院選に向けた協議で共通政策や政権協力で合意している。公党間の合意を掲げて戦った以上、国民に対する公約でもある。合意と公約に照らせば、枝野氏に投票するのが当然だ」と話していた。野党共闘で自公政権を追い込むと覚悟を決めているのだ。
 一方の立憲はどうだ?
 選挙中も枝野は志位と一緒に写真に収まることを嫌がったり、共産との共闘に難色を示す支援組織の連合に気を使って中途半端な言動を続けていた。こういうフラフラ腰の定まらない姿勢が、有権者から呆れられたのではないか。

問われているのは共産との関係ではなく立憲の覚悟
「枝野代表は野党共闘について、『選挙後の首班指名選挙では枝野と書いていただきたい』と言いながら『政権そのものは単独政権を担わせていただく』とも言っていて、立憲の議席を増やして自分が政権を握るために共産を利用しているように見えてしまった。それでは選挙目当ての野合と言われても仕方がないし、同じ野合でも選挙のたびに合意文書を交わして連立政権を維持する自公の方が筋が通っているように見える。本当に国民生活を良くするという信念があれば、“自公政権を倒す”という一点で野党が共闘するしかないはずです。『与党と拮抗する議席数という力をくれれば、国会に緊張感が生まれてデタラメ政治はできなくなる』と愚直に訴えればいいのに、野党同士で牽制しあうような中途半端な姿勢では、野党第1党の座を守ることが目的と思われても仕方ない。国民生活を守るために自公政権を倒すという本気度が欠落していたことが有権者に見透かされ、それが比例の大幅減に表れたのではないでしょうか」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
 野党共闘そのものは間違っていない。メディア各社の情勢調査で当初は自民の苦戦が伝えられていたし、自民候補も「本当に苦しい」と言っていた。投開票当日まで、自民は単独過半数割れを危惧していたのだ。「不思議の勝ちあり」が今の率直な心境だろう。野党共闘は自公にとって脅威。だからこそ、「立憲共産党」などと執拗に攻撃したわけだ。

批判は自公の危機感の裏返し
 引退した自民の伊吹元衆院議長も10日の福岡市内での講演で、衆院選は「自民が政権を失った(2009年の)時と似たような雰囲気があった」と話していた。その上で、「立憲はとんでもないミスをした。国家運営の基本に関わる意見が違う党が、選挙の票のために集まった」と批判していたが、危機感の裏返しだ。自民と公明だって、基本に関わる意見は違う。それなのに、ことさら野党共闘の失敗を喧伝するのは、解消してもらった方が今後の選挙が楽だからだ。
「そういう共闘解消論に大メディアも加担している。野党も支持者もこれに惑わされないことです。立憲が見直すべきは共産よりむしろ連合との関係でしょう。連合の主体は大企業の労組ですから、コロナ禍にあえぐ一般庶民の気持ちは分からない。派遣や非正規労働者の待遇改善にも関心がありません。立憲は、連合の顔色をうかがわなくても勝てるように地方組織をしっかりつくって足腰を鍛えることに注力すべきです。労組に“おんぶに抱っこ”では、独自の政策を打ち出すこともできない。連合と共産の仲介役を担えるような地力をつけることが先決です。問われているのは共産との関係ではない。民主主義か非民主主義かの戦いで、共産との共闘を解消すれば、来年の参院選で野党はさらに惨敗し、自民独裁の暗黒国家が未来永劫、続いてしまうことになりかねません」(五十嵐仁氏=前出)
 野党第1党の座を守ることだけに汲々とすれば、かつての社会党の二の舞いになるだけ。
 公示前より減らしたといっても野党第1党である以上、新たな政治の希望を有権者に提示して欲しいし、そのためには野党共闘が欠かせない。人権より利権の自公政権が制度疲労を起こしていることは疑いようもないのだ。
 立憲の代表選は、党所属の国会議員と国政選挙の公認候補予定者のほか、地方議員と党員・協力党員(サポーター)も投票に参加する「フルスペック」で行われる。

 自民の総裁選は連日、大メディアで取り上げられて、衆院選の得票に寄与したという分析もあるが、「フルスペック」だからといって、野党の代表選も同じように報道されると思っているのなら甘い。どういうビジョンを見せてくれるのか。代表選で問われるのは、いかに党を立て直すかであり、自公政権に代わる未来像を示せるかだ。共産との共闘の是非ではない。