岸田政権は26日、21年度の補正予算案を閣議決定しました。歳出総額は補正予算として過去最大の36兆円で、うち経済対策の関係経費は31兆5600億円です。12月6日召集の臨時国会に提出します。
コロナ感染症の影響で厳しい状況にある世帯への給付金を盛り込みましたが、対象は狭く子育て世帯や住民税非課税世帯でなければ、コロナ禍で収入が減少した非正規雇用労働者でも受け取れません。
「安全・安心の確保」で目立つのは軍事費で、補正予算案として過去最大となる7700億円を計上しました。補正予算で武器を新規に取得するのは異例のことで、「経済対策」とはなんの関係もない大軍拡予算です。
「新しい資本主義の起動」には8兆2500億円を計上しましたが、その内容は大企業支援が鮮明です。
しんぶん赤旗が報じました。
同紙はまた「駐留経費特別協定 『思いやり』増やす相手が違う」とする主張を掲げ、米軍に対する「思いやり予算」の総額が過去最大となり、負担の対象も新たな分野に拡大する恐れを指摘しました。
「思いやり予算」は21年度予算では2020億円に達していますが、今回の日米交渉で2千億円台後半まで増やすことで合意すれば、過去最高額を更新することもあり得ます。
日本側が負担する米軍関係費は「思いやり予算」だけではなく、沖縄の米軍基地・訓練を移転・強化するためのSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費や辺野古新基地建設費など米軍再編関係経費の負担が加わっているので、これら三つの経費の合計は21年度で4210億円と米国の同盟国の中でも極めて突出しています。
そんな道理のない出費は止めてコロナ禍で苦しむ国民の暮らしにこそ振り向けるべきです。
また、衆参両院の予算委員会は26日、理事懇談会を開き、政府が同日に閣議決定した新型コロナウイルス対策の予備費7311億円の支出について財務省主計局の説明を聴取したところ、18歳以下の子ども1人あたり5万円の現金とクーポン5万円相当を支給するに当たり事務費が、中学生以下の5万円に212億円、18歳までの5万円に100億円弱、クーポン券には、1000億円弱かかるということでした。
クーポン支給に巨額の事務費が費やされるわけで、またしても間に入る企業(前回は電通やパソナなど)が暴利を貪る構造になりそうです。
しんぶん赤旗の3つの記事と「まるこ姫の独り言」を紹介します。
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大軍拡・大企業支援手厚く 給付金 必要な人に届かず
岸田内閣 補正予算案決定
しんぶん赤旗 2021年11月27日
岸田文雄政権は26日、2021年度補正予算案を閣議決定しました。一般会計の歳出総額は補正予算として過去最大の35兆9895億円。このうち経済対策の関係経費は31兆5627億円に上ります。財源として今年度の税収見通しを6兆4320億円上方修正し、歳入に組み入れるほか、20年度の剰余金6兆1479億円も計上。また、22兆580億円の国債を新たに発行します。12月6日召集見通しの臨時国会に提出します。
経済対策は、(1)新型コロナウイルスの感染拡大防止 (2)社会経済活動の再開と次の危機への備え (3)新しい資本主義の起動 (4)安全・安心の確保―の4本柱で構成。「新型コロナの感染拡大防止」には18兆6059億円を計上しました。
感染症の影響で厳しい状況にある世帯への給付金を盛り込みました。ただ対象は狭く、子育て世帯や住民税非課税世帯でなければ、コロナ禍で収入が減少した非正規雇用労働者でも受け取れません。
「安全・安心の確保」には2兆9349億円を盛り込みました。目立つのは軍事費です。補正予算案として過去最大となる7738億円を計上。防衛省が22年度当初予算案の概算要求で盛り込んだ哨戒機や輸送機、地上配備型迎撃ミサイルパトリオット(PAC3)などの武器を前倒しで調達します。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設費用も盛り込みました。補正予算で武器を新規に取得するのは異例のこと。「経済対策」とはなんの関係もない大軍拡予算です。
「新しい資本主義の起動」には8兆2532億円を計上しました。経済安全保障の名目で先端半導体の生産企業を支援する基金を設立します。その財源として6170億円を盛り込みました。基金には台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に建設する新工場への拠出も含まれます。大企業支援が鮮明です。
公的部門での分配機能強化として、看護・介護職、保育士などの収入引き上げのため、1665億円を計上しました。しかし、介護士や保育士などは、収入を3%引き上げる程度では、依然として全産業平均賃金より低額のままです。また、看護師の収入引き上げはコロナ対応の医療機関に勤務する者など対象が極めて限られています。効果が薄いことに加え、分断をもたらす恐れもあります。
(主張) 駐留経費特別協定 「思いやり」増やす相手が違う
しんぶん赤旗 2021年11月26日
岸田文雄政権は、2022年度以降の米軍「思いやり予算」(米軍駐留経費の日本側負担)について、バイデン米政権の要求に応じ、年間2千億円台後半に増やす方向で調整に入ったと報じられています。増額分は、基地従業員の労務費など従来の負担ではなく、自衛隊と米軍の共同訓練の費用などにすることを検討しているとされます。「思いやり予算」の総額が過去最大となり、負担の対象も新たな分野に拡大する恐れがあります。
過去最大を上回る恐れ
日米両政府は現在、「思いやり予算」に関する新たな特別協定について協議をしています。特別協定はこれまでほぼ5年おきに見直され、昨年度が改定時期に当たっていました。しかし、当時のトランプ米政権が大幅増を迫って決着がつかず、バイデン政権下の今年2月、現行協定を暫定的に1年延長しました。今、日米間で交渉しているのは22~26年度の5年を期間とするものです。バイデン政権も増額を求めているとされます。
「思いやり予算」はもともと、米軍に治外法権的な特権を保障する日米地位協定にも反する負担です。地位協定は、在日米軍を維持する経費は原則としてすべて米側負担と定めています。
ところが、日本政府は、財政難の米軍に「思いやり」が必要などとし、1978年度から米軍基地で働く日本人従業員の労務費の一部(福利費など)、79年度からは基地内の新規の施設整備費の負担を開始しました。さらに、政府の地位協定の解釈上もこれ以上は無理だとしていた負担に踏み込むため、特別協定を結びます。特別協定の見直しのたびに日本側負担は広がり、今では▽基本給など労務費の全額▽米軍基地の光熱水料▽施設整備費▽米空母艦載機の硫黄島での着陸訓練費―となっています。
「思いやり予算」は99年度に2756億円とピークを迎えます。その後、減少したものの、近年は再び増加傾向にあり、21年度予算では2017億円に達しています。今回の日米交渉で2千億円台後半まで増やすことで合意すれば、現行水準を大幅に上回り、過去最高額を更新することもあり得ます。
しかも、日本側が負担する米軍関係費は、「思いやり予算」だけではありません。政府は、96年度から沖縄の米軍基地・訓練を移転・強化するためのSACO(沖縄に関する特別行動委員会)関係経費、06年度からは辺野古新基地建設費など米軍再編関係経費の負担を始めています。これら三つの経費の合計は21年度で4205億円と過去最大となっています。「思いやり予算」の大幅増はこれをさらに大きく押し上げることになります。
米軍訓練費肩代わりも
「思いやり予算」の新たな対象に日米共同訓練の費用が検討されていることも重大です。政府はこれまでも、「思いやり予算」やSACO、米軍再編関係経費の中で「地元負担軽減」のための「移転」を口実に米軍の訓練費を負担してきました。しかし、今回は、軍事緊張を激化させる中国への対抗を念頭に「日米同盟強化」を目的の前面に据えるとされます。
米国の同盟国の中でも極めて異常突出した「思いやり予算」を増やす道理はどこにもありません。そうした検討は直ちにやめ、コロナ禍で苦しむ国民の暮らしにこそ振り向けるべきです。
クーポン 巨額事務費 予算委理事懇 コロナ予備費聴取
しんぶん赤旗 2021年11月27日
衆院・宮本氏 参院・山添氏
衆参両院の予算委員会は26日、理事懇談会を開き、政府が同日に閣議決定した新型コロナウイルス対策の予備費7311億円の支出について財務省主計局の説明を聴取しました。今回の予備費支出は、経済対策に盛り込んだ18歳以下の子どもへの給付のうち、中学生以下への1人5万円の現金給付に充てるとしています。
経済対策は、年収960万円の所得制限を設け、18歳以下の子ども1人あたり5万円の現金とクーポン5万円相当を支給。このうち、中学生以下への5万円の現金給付は児童手当の仕組みを活用し、予備費を使い年内に支給を始めます。
衆院で日本共産党の宮本徹議員は、コロナ対策としての支援であれば子どもがいない非正規労働者や、教育費が高い大学生がいる家庭への支援も必要だと要求。中学生だけでなく高校生も支援が急がれるとただしました。
主計局の担当者は、クーポン給付について、自治体の実情に応じ現金給付も可能だと説明しました。
参院で山添拓議員は、クーポン支給は来年度以降になる可能性も否定しない担当者に対し、「それでは迅速な支援にならない」と追及。担当者は「クーポンは準備に時間がかかる」などと述べ、クーポンを優先する姿勢を示しました。
また、事務費が中学生以下の5万円に212億円、18歳までの5万円に100億円弱、クーポンに1000億円弱かかることが判明。主計局の担当者は、仮に10万円を現金で給付した場合、事務費は全体で約300億円だと説明し、クーポン支給に巨額の事務費が費やされる実態が明らかになりました。
10万円給付に事務費1200億円も掛ける国、中抜き天国ニッポン
まるこ姫の独り言 2021.11.27
毎度毎度のことで。。
いつも国民に給付するとなると、なぜか事務費がやたらかかる。
どうしていつも同じことの繰り返しなのか。
まあ、例の如く政府御用達企業への中抜きの一環なんだろうが。
10万円給付に事務費1200億円も掛ける不思議な国。 |
100万円給付で50万現金、50万円クーポン券と言うのならまだしも、なんで10万円ぽっきりで5万・5万にするのか。
これも現金で配れば300億円の事務費だというのに、貯金するからという理由でクーポン券を考え付き、その事務費が900億円と言うのも本末転倒だ。
貯金に回るのは政府に信頼が無いからで、コロナ禍で苦しんでいるから給付するというなら、貯金に回るなんて姑息な事を考えずに、一律10万円を現金で渡せば良い物を。
雁首揃えて、何を協議しているのだろう。
その事務手数料が300億円なら無駄に900億円も出さずに済むのに。
目先の金をケチって、かえって多くの税金を無駄にする、アホの典型例だ。
財源が無い、財源が無いと言いながら、どれだけ事務費に金をかけているんだろう。
まるで金が有り余っているかのような国の対応。
どうかしている。
税金で支出する訳だから、できるだけ事務費を抑えて本当に必要としている人に給付する。
公明党が選挙の時に約束したという、子供一人一人に10万円。
勿論子供のいる世帯が生活に苦しいのは分かるが、独り者だって苦しい人はいる。
しかも子供世帯給付上限が960万円。
これでは本当に苦しんでいる子供世帯ではなく、ほとんどの子供所帯が貰えるのではないだろうか。
子供世帯と言わず、独り者だって大変な苦しみを味わっている人もいるわけで、例えば、世帯収入500万円以下、独身の年収300万以下の人とか、真の貧困者に限定し、全員に給付した方が多くの人に恩恵が行き渡り、コロナで苦しんでいる人に少しでも喜んでもらえると思うが。
960万円も貰っている人はごくわずかでその人達の子供1人10万円と、本当の困窮者の10万円とはまったく価値が違う。
やはり生活に何の支障もない国会議員は真の困窮者のことなど考えにも及ばないのだろう。
雁首揃えて、貯蓄に回るから現金5万円、クーポン券5万円と無い知恵を振り絞ったのだろうが、庶民の暮らしを知らないお粗末な脳。