共産党の田村智子政策委員長は19日、岸田内閣が同日に閣議決定した経済対策について「重大な問題点」として、主に
・コロナ危機への対応としての国民と事業者への給付金があまりに不十分で、国民も事業
者も立ち直ることができない
・軍事費7700億円を経済対策と称するのは不可解。安倍政権以降、毎年補正予算で大規
模な自衛隊装備に予算をつけるという常套手段に過ぎない
の2点を指摘しました。
公約した国民への給付金が2年来の国民の困窮に応えるものになっていないのではどうしようもありません。
また、毎年補正予算で軍事費を水増しする常套手段を「国民の安全・安心」と謳うに至っては噴飯もので、逆に財政を破綻させ、近隣国との緊張を高める愚策に過ぎません。
しんぶん赤旗の2つの記事を紹介します。
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コロナ給付金は不十分 経済対策になぜ軍事費
田村政策委員長が問題点を指摘
しんぶん赤旗 2021年11月20日
日本共産党の田村智子政策委員長は19日、国会内で記者会見し、岸田内閣が同日に閣議決定した経済対策について「重大な問題点を2点指摘しておきたい」と述べ、コロナ危機対応の給付金の問題と補正予算案に軍事費7700億円を盛り込むと報道されている問題をあげました。
1点目は、コロナ危機への対応として国民と事業者への給付金があまりに不十分なことです。
田村氏は、岸田首相が総選挙で非正規、女性、子育て世帯、学生をはじめ「コロナでお困りの皆様への給付金を」と公約していたことを指摘。ところが、年収100万円を超える世帯であれば1人暮らしや子どものいない世帯は各種給付金の対象とならず、子育て世帯への給付も現金5万円と来年春のクーポン5万円分という2段階の支給は多くの国民からも疑問が出されているとして、「総理大臣が公約を投げ出すことは許しがたい。コロナで困っている国民の皆さんに給付金が行き渡るように、他の野党とも力を合わせたい」と述べました。
また、田村氏は事業者への給付金について、今年11月から来年3月までの5カ月間を対象とするとしているが、「最も苦しかった今年1月から10月については支援の対象ではないのか」と指摘。給付額は持続化給付金の半分程度と危惧されているとして、「事業者は、これまでも融資でしのいできていて、今、返済の時期を迎えている。ここから立ち直れといわれても立ち直る基盤が失われてしまう」と批判しました。
2点目は、コロナに乗じて軍事費7700億円が補正予算案に盛り込まれると報じられていることです。
田村氏は「軍事費7700億円がどうして経済対策なのか」と指摘。安倍政権以降、補正予算で大規模な自衛隊装備に予算をつけることが常とう手段になっており、国会審議でも野党が補正予算の趣旨から逸脱していると厳しく指摘してきたことをあげ、「ミサイルや魚雷、機雷などの装備を前倒しで買う安倍政権のやり方を岸田政権はそのまま受け継いでいる」と厳しく批判しました。
また、岸田政権が軍事費のGDP(国内総生産)比2%以上を目指す大軍拡を進め、改憲への動きを急速に進めているとして、「経済対策の中身からも、岸田政権が安倍政権から『戦争する国づくり』を継承した危険な内閣だとはっきり示された」と指摘。「国会論戦、国民的な運動で大軍拡、『戦争する国づくり』の策動に立ち向かう」と決意を表明しました。
大企業支援 軍事増強 岸田政権 経済対策を閣議決定
財政支出は55・7兆円
しんぶん赤旗 2021年11月20日
岸田文雄政権は19日、新しい経済対策を閣議決定しました。財政支出規模は55・7兆円。そのうち国費は43・7兆円を占めます。2021年度補正予算では31・9兆円を計上し、残りは22年度予算に盛り込みます。
対策は安倍晋三政権時代からの標語、「成長と分配の好循環」を強調し、アベノミクスを継承しています。(1)新型コロナウイルス感染拡大防止 (2)社会経済活動の再開と危機管理の徹底 (3)「新しい資本主義」の起動 (4)国民の安全・安心の確保 ― を4本柱としました。「経済安全保障」などの名目で特定産業への補助金や、「国民の安全・安心」として軍事力の増強が盛り込まれました。
岸田首相が目玉とする分配戦略では税制支援による賃上げ促進を掲げます。内容はこれまでも行ってきた賃上げ企業への法人税減税の拡充だとみられます。生産性向上に取り組む中小企業への助成も明記されましたが、すでに行われている取り組みの強化です。しかも法人税を納めているのは4割程度の黒字企業。また、経営にゆとりのある中小企業しか生産性向上には取り組めません。結局、多くの労働者には賃上げの恩恵が届きません。
「最優先課題」としてきた看護師や介護職員、保育士の待遇については抜本改善に程遠い内容です。介護職員や保育士の収入を3%程度(月9000円)引き上げる方針。この程度では他の産業に比べ、依然として低賃金のままです。看護師は収入の段階的な3%引き上げをめざし、当面は4000円(1%程度)引き上げるとしました。ただ、当面の対象はコロナ対応の医療機関への勤務者のみです。
コロナ対策では暮らし支援として子育て世帯や困窮世帯への給付金を盛り込みました。子育て世帯への給付金は、対象を児童手当と同じ基準としたため、子育て世帯の約9割が該当。一方、困窮世帯への給付金は住民税非課税世帯が対象です。単身サラリーマンの場合、都市部で年収100万円以下。非正規雇用をはじめ多くの困窮世帯が給付金の対象からはずれます。
「新しい資本主義」を起動するとして成長戦略を掲げました。「経済安全保障」の名目で戦略的な産業基盤の国内確保を強調。半導体などの生産工場の国内立地促進のために財政出動することなどが盛り込まれました。エネルギーについては原子力を含む「あらゆる選択肢を追求して研究開発等」を進めるとしています。
「国民の安全・安心」では、「ミサイル防衛能力」など軍事力強化を明記。スパイ衛星の開発も盛り込みました。
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。