2023年4月28日金曜日

28- 文化庁事務方トップが統一協会の解散命令請求は困難な情勢と(週刊文春)

 統一協会(現・世界平和統一家庭連合)の解散命令請求の前提となる質問権は既に5回行使されました。解散命令請求は3月までに行われると見られていましたが、それがないままで「地方選」も終了しました。

 「週刊文春」によれば、文化庁の事務方トップである合田哲雄次長「6回目の質問権行使などは全く見通しが立っていない」などと述べるなど、解散命令請求は困難な情勢にあるということです。
 全国弁連の弁護士たちは当初から解散請求は可能で容易と述べていたのに、何がどう変わったのでしょうか。
 岸田首相は昨年8月31日の記者会見で統一協会との“関係断絶”を宣言しました。そして年末には、内容が大いに不十分と指摘された「被害者対策法」が成立しました。
 しかしその結果、協会側が何かを改善したとはとても思えません。岸田首相統一教会問題に言及しなくなったし、“断絶”したはずの自民党と統一協会との繋がりも切れているようには見えません。ゴールデンウイークに行われる合同結婚式には、日本人の参加も予定されているということです。
 このまま解散請求もなく終るのであれば、1年近くも騒がれた統一協会問題は、一体何だったのかということになります。
 26日「週刊文春 電子版」に「統一教会の解散命令請求は困難な情勢 文化庁事務方トップは「全く見通しが立っていない」という記事が載りました。無料公開版では「見通しが立っていない」ということの概要が乗っているだけで、その他の詳細は4月27発売の「週刊文春」を参照のこととなっています。残念ですがこれはやむを得ないことです。
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統一教会の解散命令請求は困難な情勢 文化庁事務方トップは「全く見通しが立っていない」
                      「週刊文春」編集部 2023/04/26
                              文春オンライン
 文化庁が進めている、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)への解散命令請求が、困難な情勢となっていることが「 週刊文春 」の取材でわかった。岸田政権は昨年10月に史上初となる質問権行使を表明し、当初は年度内である今年3月までに解散命令請求に踏み切ると見られてきた。しかし、調査は進展しておらず、質問権の行使を繰り返すなど、現時点で解散命令請求に至っていない。所管する文化庁の事務方トップである合田哲雄次長は「週刊文春」の取材に対して、「(6回目の質問権行使などは)全く見通しが立っていない」などと語った。事実上、解散命令請求は困難な情勢にあり、政府内では解散命令請求断念に追い込まれるとの懸念の声もあがっている。

昨年の会見では統一教会との“関係断絶”を宣言
 岸田文雄首相は昨年8月31日の記者会見で、統一教会との“関係断絶”を宣言。10月17日には、永岡桂子文科相に対し、質問権の行使による調査を実施するよう指示を出した。宗教法人法では、宗教法人に法令違反など解散命令請求に該当する疑いがある場合、所管官庁(文化庁や都道府県)が法人に対し、質問をしたり報告を求めたりできると定められている。法令違反などがあれば、所管官庁が裁判所に対し、解散命令を請求し、裁判所が解散命令を下せば、宗教法人格を剥奪されることになる。

「従来の法解釈では、解散請求の要件として、刑事罰などが必要とされてきました。ところが、岸田首相はこの法解釈をあえて変更し、10月19日、国会で『民法の不法行為も入り得る』と答弁した。確かに、統一教会は22件の民事裁判で約14億円の損害賠償が認められています。この首相答弁を受け、これまで政府は遅くとも年度内に教団への解散請求に踏み切ると報じられてきた。各社の世論調査でも当時、『解散請求すべき』の声は8割前後に上っていました」(官邸関係者)

損害賠償額約14億円だけでは解散請求は難しい
 担当の文化庁宗務課は8人から40人規模に増員し、昨年11月22日、統一教会に対し、1回目の質問権を行使。翌12月9日、教団から段ボール8箱分の回答が届いた。その後、2回目の質問権に対する回答(今年1月6日)は小型ダンボール12箱分。だが、3回目の回答(2月7日)は小型段ボール2箱分に減り、さらに4回目(3月15日)の回答は封筒1通だったという。結局、年度内の解散請求は実現しなかった。4月25日に届いた5回目の回答も203項目に及ぶ質問に対し、同じく封筒1通に留まっている
 宗教法人審議会の関係者が実情を明かす。
教団側の損害賠償額約14億円は他の宗教団体でもあり得る金額で、これだけで解散請求するのは難しいそこで、韓国の教団本部へのカネの流れを調査し、外為法に抵触する例がないかを探しているようです。ただ、それもなかなか上手くいっていない。審議会メンバーからは『解散請求はもう無理』との声が上がり、政府内でも解散請求は相当難しいとの見方が強まっています」

「証拠もないのに請求しても、裁判所に棄却されるだけ」
 質問権行使に伴う調査は現在、どのような状況なのか。文化庁の合田次長と、担当の宗務課長が4月17日、21日の2日間にわたって取材に応じた。

――なぜこれだけの時間がかかっているのか。
「仮に今後、解散命令請求をするとなれば、説得する相手は東京地裁の裁判官です。彼らを納得させるには、証拠を積み上げていくしかない。証拠もないのに請求しても、裁判所に棄却されるだけです。そのハードルが低いのなら、こんな苦労はしていません。統一地方選の後に解散命令請求を断念というのは、私どもの官僚としての矜持の観点からも無い、ということはご理解頂きたいと思います」

――だが、質問に対する回答の分量が減っている。
「初めはジェネラルな、“何とかの資料を過去15年分全部出せ”という質問をしていて、それでごそっと来ている。一方で4回目は、かなり具体的な質問をしている。よく報道では『封書が1枚』と言われるんですが、相当な分量のレポートが返ってきています

――今後、6回目の質問権行使もあり得る?
「我々はその都度、何か見通しを持ってやってきたわけではありません。見通しは主な段階では全く立っていないし、最初からシナリオやスケジュールがあるわけでもない」

 元妻が教団の信者で、多額献金による被害を受けてきた橋田達夫氏が訴える。
「被害対策弁護団は4月5日、献金など3億1500万円の賠償を求め、統一教会側に通知書を送付しました。このまま、解散請求せずに教団を“延命”させるなど全く許せません」
 にもかかわらず、岸田首相はなぜ、昨年秋の時点では強い意欲を示していた統一教会への解散命令請求に後ろ向きになっているのか――。

 4月26日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および4月27日(木)発売の「週刊文春」では、岸田首相が統一教会問題に言及しなくなった背景、“断絶”したはずの自民党と統一教会との繋がり、韓鶴子総裁が建設する“300億円宮殿”の内部写真、日本人の参加も予定されるGWの合同結婚式、そして合田氏との詳しい一問一答など、岸田政権と統一教会の現在について詳報している。
        (「週刊文春」編集部/週刊文春 2023年5月4日・11日号)