2023年4月19日水曜日

国民を騙し脅し煽るJアラート 小野寺五典の恫喝と扇動 ~(世に倦む日々)

 世に倦む日々氏は15日付で記事:「日本海に・・北朝鮮ICBMの捕捉に常に失敗する理由と真相」を発表し、13日に発射された北朝鮮のICBMが北海道方向に向かったことの意味を明らかにし、日本のレーダーが途中で見失った挙句にJアラートを繰り返した原因について推定しました。

 同氏はTVに登場する小野寺五典、佐藤正久らが珍妙な解説をしていることに業を煮やしたようで、再度「国民を騙し脅し煽るJアラート-小野寺五典の恫喝と扇動、佐藤正久による服従の強制」という記事を出しました。
 その中で「韓国と米国は最初から最後まで軌道を追尾できてい」たのはごく当然のこととした上で、北朝鮮から米本土に向けてICBMを撃てば最短の経路は「北海道上空を通る」のに対して、小野寺五典が「戦後初めて北朝鮮が故意に日本の領土を狙ってミサイルを発射した」と述べたことや、佐藤正久が 間違って出されたJアラートを正当化し警報に接したら国民は避難行動するのが規則だ」などと開き直ったことを批判しました。
 そもそも北朝鮮が日本を射程距離に収めるテポドンを配備したのは20年以上も前のことで、それにもかかわらずこの20年間何ごともなく推移してきたのに、何故ここにきて北海道にミサイルを撃つ必要があるというのでしょうか。
 また北海道が北朝鮮からの対米用ICBM軌道の直下にあることを失念したというのであればコメンテータの資格が疑われます。
 今回のJアラート騒動は、日本のレーダー網が北朝鮮のミサイル用に全く対応していなかったというお粗末さに加えて、日本のコメンテータたちが「的外れの論評を繰り返す」という二重のお粗末さを露出させました。
 記事は、「北海道に北朝鮮のミサイルが飛んでくることはない。北海道は標的にならないし、北朝鮮ICBMのロフテッド実験は技術的に安定している。韓国の国民は、日本のドタバタ光景を見て苦笑し、北海道の住民を気の毒に感じているに違いない。北海道の人々には、われわれをモルモットにするな』『防空避難演習を道住民だけに強いるな』『Jアラートの軍事訓練するなら東京を対象にしろと、そう政府に訴えることを呼びかけたい」と結んでいます。苦々しい思いが伝わってきます。
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国民を騙し脅し煽るJアラート - 小野寺五典の恫喝と扇動、佐藤正久による服従の強制
                        世に倦む日日 2023年4月18日
北朝鮮のICBMをJアラートが誤報した件(4/13)について。まず、浜田靖一は午前に会見して「我が国領域内に落下していないことを確認した。EEZへの飛来も確認されていない」と言っている。午前8時16分にはエムネットですでに「落下の可能性なくなった」と告知していて、この時点でEEZ外への落下を確認している。落下地点を確定できたからこの発表ができたのだ。つまり、軌道を見失って誤った予測情報を午前7時55分に発出したのに、その20分後には落下地点を確認できている(このチグハグがNHKの夜7時のニュースでも指摘された)。経緯の詳細は明らかにされてないが、おそらく、米軍か韓国軍から正確な情報を得たのだろう韓国と米国は最初から最後まで軌道を追尾できている。日本は、海自イージス艦を日本海に配置しておらず、太平洋上の艦でレーダー追跡したため、レーダー性能の限界(距離)を超えて見失ったのだ。

16日のサンデーモーニングでは、小原凡司が登場し、1段目は通常軌道で発射したICBMが、2弾目3段目で角度を変えてロフテッドにしたため、変則軌道となり、レーダーで捕捉追尾できなかったと言い訳の解説を披露した。13日夜のNHK-NW9での伊藤俊幸の解説とまるっきり違う内容の話だが、現在のマスコミ報道ではこれが「通説」となり、既成事実化されている。その元ネタは、14日に朝鮮中央通信が発表した新型火星18号の自己紹介だ。辻褄が合わなくもない話だが、香田洋二は14日の報道の中で、アメリカもロシアも過去のミサイルで例のない方式だとコメントしていて、どこまで鵜呑みにしていいか分からない眉唾の話と言える。もしも2段目以降をロフテッドにしたのなら、13日即日に、韓国軍参謀本部か米国がその観測を公表しておかしくない。彼らは今度のミサイルの軌道全体をレーダーで把握していたのだから。当初、彼らは「失敗」の見方を示していた。

小原凡司に訊きたいが、地上発射したICBMが通常軌道であったのなら、それは北米の方角めざして遠く北太平洋上を飛んで行くはずである。北海道上空をはるかに超え、アリューシャン列島に向かって進み落下すると考えられる。ICBMとは長距離の大陸間弾道弾の意味であり、今回の火星18号も射程5000キロと報じられている。通常軌道の方位と角度で発射し飛行したのなら、放物線を描いてアリューシャン列島の南の海上に着弾すると予測される。火星18号を最初に捕捉したレーダーシステムは、そう軌道計算するだろう。その情報が日本政府に届いたのであれば、北海道上空を通過して北太平洋に落下見込みとJアラートを出すのが自然である。過去にはその軌道で飛行したミサイルも存在した。2017年8月の事例は、渡島半島を横切って襟裳岬の上を飛び越えている。距離2700キロの中距離ミサイルだった。

今回はそれより長距離のミサイルだから、北海道に落下する可能性はほとんどない。にもかかわらず、午前7時55分に「北海道周辺に落下するものとみられる」という誤情報(デマ:作り話)を出し、通勤通学途中の住民を混乱させ迷惑を強いた。当日の夜のテレビでは、佐藤正久が強弁して誤アラートを正当化し、警報の発出は当然で、警報に接したら国民は避難行動するのが規則だと開き直った。小野寺五典は、戦後初めて北朝鮮が故意に日本の領土を狙ってミサイルを発射したのだとドヤ顔で扇動し、マスコミはその恫喝をそのまま流して公論化した。オブジェクション⇒異議を入れず、オーソライズ⇒正当化した。その後、14日の北朝鮮の発表に「渡りに船」と飛びついて、辻褄合わせの「3段式角度変更」を既成事実化し、13日の佞悪な策謀と混乱の強制をフェイドアウト(⇒ぼやかすさせている。結果的に、2兆円 かけて整備した日本の「ミサイル防衛」の無能だけが際立つ顛末となった。

いつもいつもドタバタばかりやっている。3回連続して探知捕捉に失敗し、煽り目的で無用な誤警報を流し、無駄に国民生活を混乱させている。北朝鮮のミサイルは早朝に発射と時刻が決まっている。実験だから、彼らもルーティンのマニュアルで行動していると推察できる。そして北朝鮮が注力しているミサイルは、現在はICBMであり、次は潜水艦発射のSLBMである。どれも北米大陸を狙う新兵器であって、最早、日本を射程にした弾道ミサイルの開発や実験の段階ではない。それはすでに終了して配備済みだ。北朝鮮から日本に本当にミサイルが襲来するときは、それは戦争本番であり、「落下地点不明」などと曖昧なものではない。小野寺五典や佐藤正久が主導して乱発する、国民を騙し脅し煽るJアラートは、香田洋二が言うように「オオカミ少年」の馴れとJアラートの無意味さだけを国民に浸透・定着させるだけで、安全保障的には全く逆効果となるものだ。

前回、自衛隊が北朝鮮のミサイル捕捉に失敗し続けるのは、日本海にイージス艦を配置してないからだと理由を推測した。今回、海自イージス艦は、中国軍による 4/8-10 の対台湾威嚇演習の警戒監視と情報収集の任務で大挙出動し、南西諸島近くの太平洋上で任務し、一部はそのまま位置を離れず、一部は帰港し休息していたのだろう。伊藤俊幸がNW9で図示したとおり、太平洋上に展開した海自イージス艦が北朝鮮のミサイル対応も(無理に)守備範囲にし、米偵察衛星が発した熱源探知信号を受けてレーダー捕捉を試みたものと想像される。ここ数年、イージスアショアから反撃能力にかけての議論で佐藤正久が執拗に強調していたのは、イージス艦が足りないから増やせという主張だった。米軍が要求していたのだろう。無論、対中国戦略のためだ。台湾有事の作戦成功のため、東シナ海から南シナ海まで広域に海自イージス艦の増強が必要なのだ

海自イージス艦は現在8隻で、これを12隻体制にする計画が進行中だ。1隻2200億円。予算は例の防衛費43兆円で確実に掌中にした。が、1隻の乗組員が300人で、人員の確保と養成訓練の問題があり、基地の補給体制の整備増設の課題もあり、香田洋二などは「身の丈に合わない」と装備の急激な膨張に反対している。3年前の朝日の記事を見ると、イージス艦が6隻体制だった当時(16年-18年)、4隻が稼働で2隻が補給修理休息というローテーションが書かれている。すると8隻体制の今も実稼働は5隻だろう。稲田朋美が防衛相だった2016年に破壊措置命令を常時発令体制に変え、そこから、1-2隻が日本海で24時間警戒監視する態勢となった。台湾有事を控えて、この虎の子の1-2隻が日本海に張り付けられるのは、米軍にとって無益で邪魔であり、そんな任務やめちまえという判断と指示になるのは必然だ。

台湾有事こそが全てだから、米軍は海自イージス艦を南の海に集中して出動展開させ任務稼働させたいのである。北朝鮮ミサイルへの防衛は、最近は米本土標的のICBMの実験ばかりだから、その警戒監視は経ヶ岬のレーダー基地が担当すればいい、というのが米軍の論理と方針だろう。それじゃあ、北朝鮮の短距離弾道ミサイルが日本を狙った場合はどうするの、日本海の海自イージス艦がSM3で迎撃しなくてもいいの、という話になるが、そんな懸念はアメリカの関心外であり、狙われるときは日本の米軍基地が第一だろうから、そのときは米軍が北朝鮮を総攻撃して殲滅すればいいのさと答えるに違いない。日本は黙って言うことを聞いてろ、無意味な質問はするなと睨まれて終わりだ。だから、対北朝鮮ミサイル防衛の要である日本海での海自イージス艦24時間警戒監視は行われてないのだ。中止されている。

提灯記事だらけのマスコミ報道の中で、日刊ゲンダイは今回の問題を批判していて、このような支離滅裂の体たらくではとても「反撃能力」など成り立たず、机上の空論だと断じてている。誰もが、本音ではこの認識を共通にしているだろう。15年以上前になるが、北朝鮮情勢が緊迫化して「敵基地攻撃能力」が議論されたとき、政府が想定していたのは液体燃料式ミサイルだった。偵察衛星で燃料注入が確認されると同時に攻撃して破壊すると国会で答弁していた。そのとき国民の多くが念頭に置いたのはテポドンだった。そこから20年経ち、北朝鮮のミサイル装備も飛躍的進歩を遂げ、燃料注入の確認のタイミングという言説は無意味なものになっている。実際に戦争が始まったときは、ミサイルを撃った双方が自分勝手な言い分で正当化し、辻褄合わせを言うだけだろう。事の真相は戦争が終わった後で明らかにされるだろう。

と言うより、そうなったとき北朝鮮という国家が戦後残っているかも怪しく、殲滅されてしまえば死人に口なしで「歴史」はどうとでも書くことが可能だ。その方が軍事のリアルというものである。したがって、岸田文雄が「反撃能力の基準」についてどう説明するかしないか不明だが、実際にトマホークミサイルを使うときは、相手が中国であれ北朝鮮であれ、軍部は先制攻撃(とそれを正当化する場面設定)を想定しているだろう。現在の自衛隊の「反撃能力」のアサンプション⇒前提事項とインテンション⇒目的は、嘗ての専守防衛時代の「敵基地攻撃能力」のコンセプトとは全く異なっている。トマホークは台湾有事の一撃に使用予定している武器だ。その後に控えている三菱重工のスタンドオフミサイルは、台湾有事後に中国と長期戦になった場合を睨んだ兵器だろう。いずれにせよ、発射命令を下すのは米軍で自衛隊ではない

北海道に北朝鮮のミサイルが飛んでくることはない。北海道は標的にならないし、北朝鮮ICBMのロフテッド実験は技術的に安定している。韓国の国民は、日本のドタバタ光景を見て苦笑し、北海道の住民を気の毒に感じているに違いない。北海道の人々には、「われわれをモルモットにするな」「防空避難演習を道住民だけに強いるな」「Jアラートの軍事訓練するなら東京を対象にしろ」と、そう政府に訴えることを呼びかけたい。