2023年4月10日月曜日

軍拡の財源づくり 大増税・暮らし予算削減許すな(しんぶん赤旗)

 岸田政権は5年後に軍事予算を倍増(約11兆円に)するとして、それに向けて傾斜的に増額する最初の5年間の軍事費総額は43兆円になるとしています。

 軍事費が倍になるということは毎年5兆超が増額されるということです。岸田政権は何としても5年以内に中国を軍事的に叩いておきたいとする米国の意向に沿って、「台湾有事」を強調しつつ、世界第3位の軍事費を持つ軍事大国になろうとしています。戦争を放棄した憲法に違反することは明白です。
 年間11兆円も軍事費に回せばその分民生が圧迫されることは火を見るよりも明らかです。軍事費として年間90兆円を投じている米国が「貧困大国」と称されてから久しくなりますが、岸田首相はその二の舞を演じようとしています。これが生活苦に無縁な自民党議員を中心とする人々が目指していることです。
 しんぶん赤旗が「軍拡の財源づくり 大増税・暮らし予算削減許すな」という[主張]を掲げました。それによると国庫返納金=国立病院機構の積立金4222億円と地域医療機能推進機構の積立金324億円中小企業向け無利子・無担保融資の基金残金2350億円が軍事費に回され、特別会計から為替介入に備える外国為替資金特別会計3・1兆円、財政投融資特別会計から6000億円が繰入れられます。
 これまで災害支援など緊急の補正予算に回されていた決算剰余金軍事費に転用されます。東日本大震災の復興財源である復興特別所得税のほぼ半分軍事費に流用されその分課税期間を延長され
 加えて政府は戦後初めて23年度の軍事費で施設整備費と艦船建造費の計4343億円を建設国債の対象にしました。建設国債の趣旨を逸脱していることは言うまでもありません
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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[主張] 軍拡の財源づくり 大増税・暮らし予算削減許すな
                        しんぶん赤旗 2023年4月8日
 岸田文雄政権が昨年末に決定した安保3文書に基づき進めようとしている大軍拡のための「財源確保法案」が衆院で審議入りしました。3文書の一つ、「防衛力整備計画」は、敵基地攻撃能力保有などのため、今後5年間の軍事費総額を43兆円にするとしています。これを許せば、大増税と暮らし関連予算の大幅削減は必至です。

あらゆる手段使い
 「防衛力整備計画」は、2023~27年度の軍事費総額を43兆円とし、うち40・5兆円を各年度の当初予算で手当てするとしています。そのために、政府は14・6兆円の新たな財源が必要になるとしています。この追加財源は、 (1)税外収入で4・6兆~5兆円強 (2)決算剰余金の活用で3・5兆円 (3)歳出改革で3兆円強 (4)残りを税制措置(増税)―で賄う方針です。
 (1)の税外収入4・6兆円は、▽特別会計からの繰入金 ▽コロナ予算による積立金や基金の国庫返納 ▽国有財産の売却収入―で確保するとしています。4・6兆円のうち1・2兆円を23年度の予算に充て、残りの3・4兆円は24年度以降の財源として「防衛力強化資金」に繰り入れます。財源確保法案はこの実施に必要なものです。
 国庫返納には、国立病院機構の積立金422億円と、社会保険病院などを運営する地域医療機能推進機構の積立金324億円が含まれます。これらの国公立病院はコロナ対策の中核であり、積立金は老朽施設の改修や医療労働者の待遇改善などに使われるべきです。
 国庫返納にはまた、中小企業向けゼロゼロ(無利子・無担保)融資の基金の残金2350億円も含まれています。コロナ禍で借り入れた資金の返済や物価高で苦境にあえぐ中小企業への支援にこそ振り向けるべきです。
 特別会計からの繰入金は、為替介入に備える外国為替資金特別会計と、公共事業などのための財政投融資特別会計からそれぞれ3・1兆円、0・6兆円を回します。
 (2)の決算剰余金は、国の会計の歳入から歳出を引いた差額で、これまで年度途中に組まれる補正予算の財源になってきました。軍事費に転用されると、災害支援など緊急の予算対応ができなくなる事態も生まれかねません。
 (3)の歳出改革については、政府は具体的にどこを削るか示していません。「社会保障関係費以外」で行うとしていますが、医療や介護、年金などの改悪が続いており、その保証はどこにもありません。教育や中小企業、農業などの予算が対象になるのも避けられません。
 (4)の税制措置は、昨年末に閣議決定された「税制改正大綱」で、法人税やたばこ税の増税のほか、東日本大震災の復興財源である復興特別所得税のほぼ半分を軍事費に流用し、課税期間を延長するとしました。24年以降に段階的に実施し、27年度には1兆円強を確保するという大増税です。

歴史の教訓に背く
 加えて政府は戦後初めて、23年度の軍事費で施設整備費と艦船建造費の計4343億円を建設国債の対象にしました。かつて大量の国債発行が侵略戦争拡大につながった歴史の教訓に背くものです。
 岸田政権の進める大軍拡は、国民の暮らしとともに、アジアの平和を壊すものです。財源確保法案の廃案はもちろん、安保3文書の撤回が必要です。