2023年4月25日火曜日

25- 5chの情報統制の疑惑 北朝鮮のICBMとJアラート誤報の件でスレが立たず

 世に倦む日々氏が22日付で題記の記事を出しました。
 同氏はこれまで13日のJアラート騒動について、
(4月15日付)日本海に海自イージス艦がいなかった-北朝鮮ICBMの捕捉に常に失敗する理由と真相  
(4月17日付)国民を騙し脅し煽るJアラート-小野寺五典の恫喝と扇動、佐藤正久による服従の強制 
の2つの事を出しており、日本が北朝鮮のICBMをレーダーで追跡きなかったのは、たまたま日本海に海自イージス艦が配置されていなかったためであり、北朝鮮は元々北海道などは標的にしていないことを明らかにしました。
 それ自体は正しいのですが、新しい記事ではイージス艦が日本海にいなかったのは「たまたま」ではなく自衛隊と米軍が「北朝鮮のミサイルに対する監視は不要」と決めていたからだとして、「そのことを国民には隠しておく必要があったために、コメンテータたちがそれぞれ的外れな解説に終始した」のだという新な推定を公表しました。
 十分に納得できる説明です。言うまでもないことですが、北朝鮮のミサイルを警戒の対象から外したのは、彼らが日本を攻撃対象にしていないことが米軍と自衛隊の共通認識になっているからです。
 そうなるとあのJアラートは一体何だったのかということになりますが、それはアラートを発動することが軍備拡張の世論の喚起に役立つからに他なりません。
 世に倦む日々氏の新しい記事は24日のブログに掲載する予定だったのですが、手違いで出来なかったため1日遅れでアップします。
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chの情報統制の疑惑 - 北朝鮮ICBMとJアラート誤報の件でスレが立たず
                        世に倦む日日 2023年4月22日
4月13日に起きた北朝鮮ミサイルの誤報問題について、5ch掲示板がスレを立てなかった。当日朝、マスコミが一報を伝えた直後、すぐに5chの「ニュー速」を開いて書き込みを確認したが、初回1本だけ立って流れていたスレが途中で忽然と消え、2本目以降が立たず、どれほど時間が経ってもこの話題のスレが登場することがなかった。午後になっても、夕方になっても、さらには翌日になっても立たず、翌々日になっても無言で、5chではこの問題はなかったことになった。こういう異変は偶にある。昨年11月の「日本から1100キロ離れた太平洋上に落ちた」とJアラートが誤報した際も、やはり同様に5chのスレが立たなかった記憶がある。これは異常事態だと感じたので、13日の正午に問題提起する意味でその旨をツイートした。どうやら、政府・軍部が5ch掲示板の情報統制を敷いた気配が濃い

他に適当な言葉が思いつかないので「情報統制」の語を使うことにする。5chについて「報道管制」という語を用いるのは適当な感じがしない。が、どうやらマスコミと同じく、5chの編集部局も政府・軍部と繋がっていて、差配と指導を受けて動いている。間違いない。ちなみに、最近私は記事で「軍部」という語を平気で使用して時事を分析するようになったが、「軍部」の語で念頭に置いているのは、CIAの息のかかった防衛研メンバーや小原凡司や森本敏や佐藤正久や小野寺五典などの面々であり、報道1930やプライムニュースのレギュラーズの範疇である。丸山真男の概念に倣って「軍国支配者」と言い換えてもよいだろう。彼らを纏めて表現する概念を暫定でも開発しないと、現実政治をよく考察・説明できない。単に「CIA工作員」では軽すぎる感じがする。彼らは政治の権力を持っている。「軍部」が適当だ

4月13日の北朝鮮ミサイル発射とJアラート誤報の件が5chで論議されないよう、編集部局が意図的にスレ立てを止め、背後に政治権力の介入があったとして、その理由は何だろうか。言うまでもなく、事実を知る関係者からの匿名投稿を阻止するためだ。集合知のストリームによって問題の正確な全体像が判明するのを排除し遮断するためである。日本の対北朝鮮ミサイル防衛の実態と真相が国民の知るところになると都合が悪いからだ。政府・軍部にとってそれが機密情報だからであり、真実が伝わると大問題になるからである。右翼ばかりが圧倒的に多く集まる5ch空間だが、ときには集合知の威力を垣間見せ、マスコミを無用の長物に変えてしまう瞬間がある。小保方晴子のSTAP細胞事件の解明場面がそうだった。あのときは5chのスレに釘付けになり、複雑なパズルのピースが埋まって行く過程に興奮させられた。

STAP細胞事件のような、政治イデオロギーや国家の謀略と縁の薄い社会問題のときは、5chは庶民が事件の真相を知る手がかりを提供する拠点となる。マスコミ報道を補完する情報ツールとなる。だが、国家(政府・軍部)の側からすれば、これほど危なく恐ろしい情報装置もなく、常に目を光らせて監視し、告発や漏洩を防ぎ、スレ立てを管理統制していなければならない媒体機構(メディア)に違いない。中国の国家権力(党・政府)によるウェイボー⇒微博日本/固有名詞取締りと同じ。当然、5chの特に「ニュー速」の編集管理には息のかかった人間を配置している。もし今回、スレ立て規制をしなければ、事情を知る匿名の自衛隊関係者から、海自イージス艦が日本海に配備されてないこと、JADGEが運用されてないこと、北朝鮮ミサイル防衛の任務そのものが曖昧になっていることが密告され、集合知のエンジンが旋回していただろう。

前回までの記事で、私は、伊藤俊幸のNHKでの説明と使用したパネル図に着目して、海自イージス艦は太平洋上から北朝鮮ミサイルの捕捉を試みたのだろうと直観した。だから失敗したのだろうと考察した。だが、今ではその見方を変え、海自イージス艦は対北朝鮮ミサイル防衛の任務を全く行っていないのではないかと懐疑している。日本海で24時間警戒監視どころか、おそらく太平洋上でもやってないのだ。基本的に、今、北朝鮮ミサイルのレーダー捕捉は韓国軍と米軍(経ヶ岬)が担当し、自衛隊はその任務を解除されているのだろう。自衛隊は米軍の手足部品であり、自衛隊の活動の中身を決めて指示しているのは米軍である。米軍は、大事な海自イージス艦のリソースをそんな重要度の低いミッション⇒任務にアサイン⇒割り当てできないのだ。だから、Jアラート誤報をマスコミで「解説」する際は、軍部の専門家は虚構ばかり言うのである。

思い出していただきたい。①香田洋二は、海自イージス艦のレーダーにゴースト⇒幻影が発生するからとしれっと言い、電波障害が屡々起きるからと「仕様」の論理で言い訳を言った。②小原凡司は、失速して空中を飛行するロケットの慣性軌道をレーダーが捉えて「太平洋まで飛ぶ」と計算予測したのだと胸を張って「解説」した。③小谷哲男は、地球が丸いからある高度に達しないとレーダーはミサイルを捕捉できないのだと言い、自衛隊の不能を擁護した。④伊藤俊幸は、ミサイルが高度3000mを超えたらレーダーから一度消えるのだと真顔で言い、ミサイル捕捉の「技術的困難さ」を国民に言い聞かせた。呆れて閉口する。「解説」の程度も問題だが、注目すべきは専門家各自の話の中身がバラバラで、各々が勝手な話を言っていることである。どれも出鱈目な作り話だ。それをマスコミ報道が「正しい解説」として垂れ流している。

騒動から一週間経った4月21日になって、防衛省が「分析結果」を出した。テレビは報道していない。それによると、「東方向に向けて発射されたあと、北へ方向を変えながら、およそ1000キロ程度飛行し、日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定され」「北海道周辺に落下するおそれがあると探知したのは、ミサイルから分離したブースターなどであった可能性がある」と説明している。防衛省による正式な「分析結果」であるにかかわらず、諸専門家と負けず劣らず支離滅裂だ。推論に明らかな矛盾がある。指摘しよう。北朝鮮の発表内容を認めて、3弾式のICBMが角度と方向を変えつつ飛行したと仮定するのなら、1段目は東向きに発射されている。北へ方角を変えたのは2段目以降である。であれば、通常1段目に装着されるブースターは、切り離された後、東向きに飛んで落下するはずではないか。

なぜ北海道の方向に軌道予測される結果になったのか。防衛省の発表どおりに、自衛隊のレーダーが、切り離されたブースターの航跡を捉えて日本に落下すると計算を誤ったのなら(あり得ない話だが)、方角的に東北地方がJアラート発出の対象地域にならなければならない。北寄りに針路を変えたのは2段目以降だからだ。ブースターは慣性の法則で東に飛んでいる。1段目が東に飛んで失速して海に落ちながら、ブースターだけが北に方向を変えて独自飛行するなどあり得ない。物理的に絶対にない。子供騙し以下の話だ。ロケット最下部側面の構造体であるブースターは、1段目と同時に切り離されているから、落下位置は北朝鮮東海岸に至近の日本海上になる。北海道は無論のこと日本列島にも届くわけがない。国民をバカにした「分析」ではないか。方角も距離も滅茶苦茶。ノーチェックで流しているマスコミも言語道断だ。

もし、この話が本当なら、過去の北朝鮮のICBM発射実験の全ての回で、北海道にJアラートが鳴り響いてないといけない。小学生が考えても分かるウソを防衛省が平然と言い、マスコミが常識レベルの検証をしようとしない。この発表は防衛省の定例会見で行ったはずだから、会場に記者がいたはずである。質問を発した記者はいなかったのだろうか。いずれにせよ、落下するブースターを「日本に届く飛翔体」と捕捉したのなら、自衛隊のレーダーはとんでもない性能だということになる。何の機能も果たせていない。このような不具合なレーダー捕捉をしているのなら、システムのハード・ソフトを含めて総点検が必要だ。対北朝鮮のミサイル防衛には2兆円の国家予算が投じられている。2兆円をドブに捨てたも同然ではないか。自衛隊はこれで3回続けてレーダー捕捉に失敗し、Jアラート誤報で国民に迷惑をかけている

北朝鮮が次に同型ICBMの発射実験を行った場合、一体、政府はどういう対応をするのか。北朝鮮はいつものルーティンどおり、朝の通勤通学時間帯に発射実験を行うだろう。私の推理では、自衛隊は北朝鮮のミサイルに対して今は警戒監視活動を行っていない。日本海に海自イージス艦を24時間常駐させていない。だから、次もまたレーダー捕捉が不能だろう。韓国軍の発信情報に頼って行動するしかなく、軌道計算も落下地点予測もできず、ドタバタ狼狽するだけだろう。北朝鮮のICBMのロフテッド実験は技術的に安定した段階に達していて、次も必ず同じ北東方向に飛ばし、日本のEEZ外、渡島半島の西約200キロの海上に着水する。他にコースはない。北朝鮮は二度目の固体燃料ICBMを発射するはずで、飛行距離全体を伸ばす実験を試みるに違いない。まさか、政府はまた北海道にJアラートを鳴らす気なのか。

残念なことに、この問題を国会で追及する野党がない。だけでなく、マスコミはおろかネットでさえ、自衛隊・防衛省の「ミサイル防衛」の無能と不全を衝く者がない。正面から批判する者がいない。5chがあからさまな情報統制に出ているのに、その事実をブログやツイッターで警告する者すらいない。