2023年4月26日水曜日

6月解散7月総選挙可能性が拡大(植草一秀氏)

 植草一秀氏が「6月解散7月総選挙可能性が拡大」とする記事を掲げました。地方選の結果を見た上でのものです。

 同氏は、地方選については維新躍進、立民凋落、自民健闘したとしました。衆参両院議員補選では自民党が4勝1敗でしたが、「圧勝したわけではな薄氷の勝利と表現できるとして選挙結果を詳しく分析しました
 そして3つの点(詳細は本文参照)を上げて今年の夏に総選挙が行われる可能性が高いと判断しました。
 事態がより深刻なのは立民党であるとして、その凋落は2110月衆院総選挙から始まったが歯止めがかかっていないとしました原因は枝野幸男代表が始めた野党共闘否定にあり、泉健太代表になってから野党共闘路線否定をさらに強化して22参院選で大惨敗を演じました23日の衆参補選の結果について聞かれた泉氏は、野党共闘が出来なかった点を挙げていましたが、今さら何を言っているのでしょうか。
 植草氏は、立民党が立ち直るには泉健太氏岡田克也氏が責任を明らかにして辞任することが必要不可欠と述べています
 それとは別に田中龍作ジャーナルは、れいわ新選組の健闘を評価する記事を出しました。同党は地方選で、ゼロから公認39名、推薦8名の当選者を出しました。
 また日刊ゲンダイは「東京21区議選の結果に自民真っ青…首都圏の議席壊滅危機で衆院解散に急ブレーキ」という記事を出し、「今、解散・総選挙に打って出れば都市部で議席を大幅に減らすのは必至。統一地方選の票の出方だと、首都圏の議席は半減してもおかしくない」という自民党関係者の言葉を紹介しています。併せて紹介します。
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6月解散7月総選挙可能性が拡大
               植草一秀の「知られざる真実」 2023年4月25日
4月9日、23日に実施された統一地方選と衆参両院議員補選。
現在の政治勢力の現状を如実に反映するものになった。
状況は、維新の躍進、立民の凋落、自民の健闘。
3月9日付メルマガ記事にサミット開催後の衆院解散・総選挙の可能性を記述した。
今回の選挙結果を受けて岸田首相が衆院解散・総選挙に突き進む可能性が高いと考える。
6月解散、7月総選挙が現実化する可能性が高い。

衆参両院議員補選では自民党が圧勝したわけではない。薄氷の勝利と表現できる。
維新は躍進し、和歌山では自民が議席を獲得できなかった。
岸田首相が解散・総選挙に踏み切れるのかを疑問視する見解もあるが、以下の三点から、
本夏総選挙挙行の可能性が高いと判断する。
第一は、岸田首相が自民党総裁続投を確実にするには、来年9月の自民党総裁任期満了前に総選挙を実施して実績を示す必要があると岸田氏が判断していると思われること。
第二は、その時間的視野で考察したとき、広島サミット閉幕直後が最も有利なタイミングであると判断される可能性が高いこと。
第三は、軍事費増大等の政府支出拡大方針が示されるなか、本年末には財源策として増税を検討する可能性が高く、その前に総選挙を実施してしまうことが国民負担増大決定に好都合であること。
第二のタイミングの観点からは、野党の総選挙体制が整っていないタイミングを狙うことも重要視されると考えられる。

これらの要因から、岸田首相は広島サミット後の解散・総選挙を実行に移す可能性が高い。
しかし、自民党の選挙情勢が盤石とは言えない。4月23日衆参補選結果は以下の通り。
参院大分選挙区
 白坂亜紀(自民)   196122
 吉田忠智(立民)   195781 
  341票差で白坂氏勝利。
  投票率 42.48%
山口2区
 岸信千代(自民)    61369
 平岡秀夫(無所属)   55601
  5768票差で岸氏勝利
  投票率 42.41%
和歌山1区
 林 佑美(維新)    61720
 門 博文(自民)    55657
  6063票差で林氏勝利
  投票率 44.11%
山口4区
 吉田真次(自民)    51961
 有田芳生(立民)    25595
  投票率 34.71%
千葉5区
 英利アルフィア(自民) 50578
 矢崎堅太郎(立民)   45635
 岡野純子(国民)    24842
 斉藤和子(共産)    12360
  投票率 38.25%
和歌山での敗北、千葉での薄氷の勝利、山口2区での接戦は自民党支持の揺らぎを示している。

だが、事態がより深刻なのは立憲民主党だ
大分選挙区は立民議員の知事選出馬に伴う補選、千葉5区は自民議員の不祥事による辞職に伴う補選。本来は立民が完全勝利を得なければならなかった選挙。
ところが、大分では341票の僅差で議席を失った
千葉5区では野党候補が乱立して議席を獲得できなかった。
千葉5区で立民と国民の得票合計は70477、立民と共産の得票合計は57995。
立民が国民または共産と共闘を構築していれば勝利できていた計算になる。

立民の凋落は2021年10月衆院総選挙から始動し、歯止めがかかっていない。
21年総選挙惨敗の主因は枝野幸男代表が野党共闘を否定したこと。
ここから、野党共闘支持の主権者が立民支持から離脱した。
泉健太氏は野党共闘路線否定を強化して22年参院選でさらに大惨敗を演じた。
この路線が変更されていない。
大分で野党共闘が辛うじて構築されたが、内部に疑心暗鬼が渦巻いている。
千葉では立民が共闘の図式すら示せなかった。
立民の岡田克也幹事長は責任逃れ発言を示し、幹事長に居座る姿勢を示しているが、その延長線上にあるのは立憲民主党崩壊だ。
まずは、泉健太氏、岡田克也氏が責任を明らかにして辞任することが必要不可欠。
結果に対する責任を明らかにできないことが党勢衰退の主因になっていることを認識できない状況は末期的。立民凋落が総選挙断行を後押しする主因になる。

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【統一地方選】 れいわ大躍進 有権者は見ている
                 田中龍作ジャーナル 2023年4月24日
  【写真説明】山本太郎れいわ新選組代表。国民に直接語りかけることのできる数少
     ない政治家の一人だ。=18日、勝どき交差点 撮影:田中龍作=
 きのう23日、投票が行われた統一地方選挙でれいわ公認候補は、ツイッターで確認する限り35人が当選した(あくまでも24日朝の時点)。(⇒最終的に前・後半戦をあわせて、公認39名、推薦8名が当選 事務局追記)
 翌日(24日)開票があるため、当選者はさらに増える可能性がある。大躍進である
 れいわ事務局によれば過去の地方選挙でれいわ公認候補の当選はゼロ人だった。
 大躍進の予兆はあった。18日、勝どきの交差点(東京都中央区)で、れいわの川畑よしとも候補と山本太郎代表が街宣をした。
 ここは街宣のメッカなのだが、自民党が国政選挙で動員をかけた時と同じくらいの数の聴衆が集まった。れいわの場合、動員ではない。
田中は当時の状況をこう記した―
 「民草は重税と物価高と低賃金で青息吐息だ。息をつなぐことができなくなり自ら命を絶つ人も少なくない。絶望的な政治状況にあっても、れいわは棄民しない。それだけは自信を持って評価できる」。
  【写真説明】チラシ配りのスタッフもおらず一人で細々と立つ渡辺照子候補(肩書当
     時)。=20日、中村橋駅(練馬区) 撮影:田中龍作= 
 照ちゃんこと渡辺照子練馬区議(元れいわ、現立憲)が再選を果たした。
 照ちゃんは立憲の候補とはいえ、大労働組合の十分な支援を得られなかった。組織力を誇る自公に場所を押さえられて、思うように街宣ができなかった。
 駅の脇に追いやられて細々と演説する照ちゃん。その光景を拙ジャーナルに掲載したがために落選するようなことにでもなったら、照ちゃんに申し訳が立たないと思い伏せていた。選挙が終わった今、晴れてアップロードする。
 照ちゃんは人生の大半をシングルマザーとして生き、路上生活(ホームレス)をも経験した。親切な人の家で出産した。21歳の時である。
 20代後半の頃、公務員となり安定した暮らしができると思っていたが、殴る蹴るのイジメに遭い、5年で退職。以後、食うや食わずの非正規労働が続いた。
 有権者は照ちゃんの人生に我と我が身を仮託した。3,411票。照ちゃんは練馬区議会議員として2期目を歩み出す。
 れいわと照ちゃんに共通するのは貧困問題への取り組み、そしてブレないことである。
 有権者は自らが置かれた状況を候補者に仮託しながら、しっかり見ている。
  【写真説明】オーダーメイドの車椅子を作り続ける川畑よしとも候補(手前)は限り
     なく弱者目線だ。その姿勢が評価されたこともあり当選した。撮影:田中龍作
                  ~終わり~

東京21区議選の結果に自民真っ青…首都圏の議席壊滅危機で衆院解散に急ブレーキ
                         日刊ゲンダイ 2023/04/25
 岸田政権に対する「中間評価」の意味合いを持つ衆参5補欠選挙で、自民党は「4勝1敗」。勝敗ラインの「3勝2敗」を上回り、永田町の焦点は「岸田首相がいつ解散・総選挙に踏み切るのか」に移っている。とはいえ、山口4区以外は苦戦を強いられた末の薄氷の勝利で、党内に祝勝ムードはない。むしろ、今回の投票傾向から「総選挙の議席激減」を危ぶむ声すら上がっている。
「とにかく、ウチへの票の出方が悪すぎる」と言うのは、ある自民党関係者だ。東京21区議選の結果に青ざめたという。自民は21区議選に計295人の公認候補を立て、70人が落選。16人中7人と候補の半数近くが敗れた杉並をはじめ、各区で議席を取りこぼした
 落選者で目立つのは当選3回以上の中堅・ベテランだ。それだけ新陳代謝を求める有権者が多い証拠だが、自民新人の初当選組は江東区の井川諒太郎候補(31)など40人にとどまり、改選前から総獲得議席を10減らした。

「結果以上に内容が乏しい。世田谷は、日本維新の会の現職がトップ当選。3位も維新の新人でそれぞれ、約1万4000票と約1万2000票を獲得したのに、ウチで最も順位の高い7位の37歳新人女性は約6800票止まり。定数50で14人が当選したが、順位は中間以降に固まり、立憲にも水をあけられた。目黒も維新の新人がトップ。ウチの最高は7位で獲得票数はトップの半数以下です。中野にいたってはトップ10入りすらできず、最高は14位。千代田、墨田、豊島でトップ当選を果たしたとはいえ、圧勝した選挙区は1つもなかった」(自民党関係者)

「首都圏の議席は半減必至」の声
 都内三多摩エリアの22市町村議選の結果も同様で、自民は改選前158議席から143議席と15議席減。千葉5区補選を見ても顕著なように、無党派層の多い都市部の基調は「自民ノー」だ。2年前の総選挙で千葉5区では「政治とカネ」の問題で辞職した薗浦健太郎前衆院議員(自民離党)が約11万票を獲得。今回の補選で自民の英利アルフィヤ候補は約5万票しか取れず、半減以上だ。乱立5野党の総獲得票数は約11万票で、野党側が候補者を一本化していればダブルスコアの大敗を喫する可能性もあった。
 加えて連立パートナー、公明党の党勢衰退も激しい。「全員当選」を掲げて臨んだ統一地方選の候補1555人のうち12人が落選。1998年に現在の公明党となって以降で最多だ。集票マシンに陰りがみえ、「全勝神話」も今は昔。落選者を出したのは愛知県議選や大阪市議選、都内5つの区議選など大都市圏が中心だ。学会票の上積みが期待できなければ、都市部の自民党はますます苦しい選挙戦を強いられる。
 冒頭の自民党関係者は「今、解散・総選挙に打って出れば都市部で議席を大幅に減らすのは必至。統一地方選の票の出方だと、首都圏の議席は半減してもおかしくない」と嘆いた。党内に渦巻く悲鳴は岸田首相の解散戦略にどう響くのか。