2023年4月19日水曜日

19- G7外相会合で日本や欧州は米国への従属を確認/中国とロシアが軍事的な同盟関係を強化

 櫻井ジャーナルが「G7外相会合で日本や欧州は米国への従属を確認」とする記事を出しました。

 米国はいまウクライナでロシアと対決していますが、米国の最大の目標は 経済的台頭が著しく今後5年以内にGDPが米国を超える中国を叩くことと言われています。それはいつまでも世界NO.1でいたいという米国の面子だけの問題なのですが、それでは迫力がないので台湾有事が5年以内に起きるからとしている訳です。
 米国の対中国戦争では日本が不可欠であるのは言うまでもないことで、その時は現在のウクライナの役目を日本が負うことになります。そうなれば少なくとも現在のウクライナの惨状が日本の国土で現出します。
 何も背景を読まない岸田政権はそれを当然のこととして物事を進めようとしていますが、それで本当にいいのでしょうか。いい筈がありません。
 併せて櫻井ジャーナルの記事:「中国とロシアが軍事的な同盟関係を強化」を紹介します。
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G7外相会合で日本や欧州は米国への従属を確認 
                       櫻井ジャーナル 2023.04.18
 和歌山県の演説会場で金属製とされる筒状の爆発物が投げつけられた翌日から18日にかけて軽井沢町でG7外相会合が開かれた。
 アメリカのジョー・バイデン政権は下院議長を台湾へ送り込み、「現状変更の試み」を始めた。リチャード・ニクソン米大統領が1972年2月に中国を訪問、中国を唯一の正当な政府と認め、台湾の独立を支持しないと表明したところから始まった「現状」を潰そうとしているのだ。
 その後、アメリカは中国に新自由主義を導入させることに成功、経済界や学界などは西側志向を強めたのだが、政治の分野は共産党によって守られていて、乗っ取れないでいる。

 そうした状況の中、アメリカは中国制圧を急いでいる。そこで台湾を中国から引き離し、アメリカ軍の占領下に置こうという工作を始めたわけである。アメリカが懸念しているのは、威嚇、威圧、脅迫で中国を屈服させられないことだ。
 しかし、中国とのビジネスなしに存続できないEUや日本は中国とのつながりを維持しようとした。4月に入り、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、林芳正外相、そしてロシアと戦争していると公言したドイツのアンナレーナ・ベアボック外相が中国を訪問している。
 2010年に行われたウクライナの大統領選挙で当選したビクトル・ヤヌコビッチ政権を13年11月から14年2月にかけてのクーデターで倒した。その時に手先として使ったのがネオ・ナチだ。
 ヤヌコビッチはウクライナの東部と南部を支持基盤にしていた。ここに住む有権者の7割以上はヤヌコビッチを支持、クーデター体制を拒否する。そこで内戦がはじまったわけだ。この抵抗を許さないとアメリカの支配層は宣言、EUや日本はそのアメリカに従っている。
 そうした西側で使われる「法の支配」や「国際秩序」には「アメリカにとっての」という修飾語が隠れている。日米欧にとっての「現状」とはアメリカが支配する世界を意味しているにすぎない


中国とロシアが軍事的な同盟関係を強化
                     櫻井ジャーナル 2023.04.18
 中国国防部の李尚福部長(国防大臣)が4月16日にロシアを訪問、セルゲイ・ショイグ国防大臣だけでなくウラジミル・プーチン大統領とも会談し、両国の軍事的な協力関係を称えた。
 習近平国家主席が3月20日から22日かけてロシアを訪問していることもあり、何か大きな動きが背後であったと見られているが、言うまでもなく、中国がロシアへ武器弾薬を提供することではない。ウクライナでの戦闘ではロシア軍に兵器がなくなっている様子はなく、武器弾薬の枯渇に苦しんでいるのはウクライナ軍を支援しているアメリカ/NATOである。
 ロシアや中国ではこれまで経済界やアカデミーの世界では西側志向が強く、「第五列」と言われることもあった。ところがロシアではそうした人びとのアメリカ離れが見られる
 例えば、アメリカと関係が深いと見られてきたカーネギー国際平和財団のドミトリー・トレーニン所長は(ウクライナでの)戦争が終結した後、ロシアは西側の一部になろうとはしないと発言した。西側の知識人と交流する場として作られたバルダイ・クラブの創設者であるセルゲイ・カラガノフもロシアは西側へ回帰しないと語っている。

 ところで、ロシア軍の強さは2008年に示された。この年の8月、イスラエルやアメリカの支援を受けたジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したが、ロシア軍に完膚なきまで叩きのめされたのだ。ロシア軍は2015年9月にシリア政府の要請で軍事介入したが、その際にも戦闘能力の高さ、そしてロシア製兵器の優秀さを世界へ示している。
 すでにアメリカの兵器より性能が高いロシアの兵器は中国製兵器よりも高性能。アメリカは台湾、韓国、フィリピン、そして日本を使って中国に軍事的な圧力を加え、戦争勃発の可能性も小さくない。アメリカの戦略に従い、自衛隊は南西諸島に軍事施設を建設、ミサイルを配備しつつある

 アメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が昨年に発表した報告書によると、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲しようとしているが、配備できそうな国は日本だけ。自衛隊は2016年に軍事施設を与那国島に建設、19年には奄美大島と宮古島、そして今年、石垣島でも完成させた。これもアメリカの軍事戦略の一環だろう。
 しかし、日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、アメリカはASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにしている。そしてASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたという。
 日本は軍事拠点を作るだけでなく、高性能兵器の開発にも乗り出していると伝えられている。例えばアメリカと共同で音速の5倍以上で侵入してくるHGV(極超音速滑空体)を迎撃するミサイル技術の研究開発を考え、昨年7月24日には宇宙航空研究開発機構(JAXA)が鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所で迎撃ミサイルに必要な速度に到達することが可能だとされるエンジンの飛行試験を初めて実施した。
 極超音速で飛行するミサイル自体も研究だと言われ、HGVではなくエンジンによって推進力を得る極超音速巡航ミサイル(HCM)の開発を目指しているという。2026年には九州や北海道の島々へ配備したいようだ。
 政府は国産で陸上自衛隊に配備されている「12式地対艦誘導弾」の射程を現在の百数十キロメートルから1000キロメートル程度に伸ばし、艦艇や戦闘機からも発射できるよう改良を進めていると昨年8月に伝えられているが、その背景にアメリカのGBIRM計画があった。

 日本は射程距離が3000キロメートル程度のミサイルを開発し、2030年代の半ばまでに北海道へ配備する計画だとも伝えられている。それが実現するとカムチャツカ半島も射程圏内だ。
 日本政府はアメリカから亜音速の巡航ミサイル「トマホーク」を購入する意向だという話もある。トマホークは核弾頭を搭載でき、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。「反撃能力」というタグがつけられているが、実際は先制攻撃能力だ。攻撃する相手は中国だけでなく、その同盟国であるロシアも含まれるだろう。日本もロシアの高性能兵器のターゲットになると覚悟しなければならない
 ここにきてロシア軍の太平洋艦隊はサハリンと千島列島南部へ敵が上陸するという想定の軍事演習を実施するようだが、これは日米の動きに呼応するもの。日本だけでなくEUもアメリカの圧力でロシアと敵対する道を進んでいるが、これは破滅への道でもある

 習近平がロシアを訪問中の3月21日に岸田文雄首相はウクライナを訪問、ラーム・エマニュエル駐日米大使に絶賛されたが、ロシアや中国からは逆の見方をされているだろう。
 アメリカの命令に従ったEUや日本は破滅の淵に追いやられた。そこでフランスのエマニュエル・マクロン大統領は2月25日に中国を4月初めに訪問すると発表、ロシアとの戦争を煽ってきたドイツのアンナレーナ・ベアボック外相も4月13日に訪中する。その前、4月1日には林芳正外相も中国を訪れた。ジョー・バイデン政権は怒っただろう。