2023年4月15日土曜日

入管法改定案審議入り 人権無視 再提出許されない

 国際社会からも強く批判されている無期限・長期収容を維持する入管法改定案が13審議入りしました。

 その中身は21年に廃案となったものと骨格は同じで、全件収容主義裁判所の審査もなく入管の裁量で収容を執行するという二つの根本問題の改善はなく、難民認定申請中は送還が停止される規定に例外を設け3回目以降は送還が可能となっていることも変わりません。
 改定案で新に導入される監理措置制度支援者や弁護士らに外国人を監視させる役割を強いる制度であり、支援者に管理責任も負わせその報告を強いるという異様なものです。
 共産党の志位委員長は「現行の入管法は、戦前に植民地出身者を取り締まった制度を引き継いでおり、国会でのまともな議論も経ず今日に至っている」と述べています。戦前、朝鮮人などに対して加えられた違法な扱いをそのまま現代に引き継いでいるのですから、呆れるしかありません。
 そもそも現状の「全件収容主義」も別に法令に拠るものではなく、「収容できる」となっているものを勝手に「(すべて)収容する」として運用しているに過ぎないもので、入管庁に改める意思があるのであれば即刻改善できるのです。
 国連の人権機関は入管法について再三是正を求めていますが、法務省はいまだに固守しようとしています。政府は米国から言われれば直ちに受け入れるくせに、国連の人権機関から勧告されても一向に聞こうとしないのはどういう考えなのでしょうか。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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入管法改定案審議入り 人権無視 再提出許されない 本村議員が厳しく批判
                       しんぶん赤旗 2023年4月14日
衆院本会議
 難民認定申請中の本国への送還を一部可能とし、国際社会からも強く批判されている無期限・長期収容を維持する入管法改定案が13日、衆院本会議で審議入りしました。2021年に廃案となったものと骨格は同じ。日本共産党の本村伸子議員は「あれほど外国人の人権無視と批判されたものを再び提出する政府の傲慢(ごうまん)な姿勢は許されない」と厳しく批判しました。(質問要旨)

 同改定案は、難民認定申請中は送還が停止される規定(送還停止効)に例外を設け、3回目以降は申請中でも本国への送還を可能とします。本村氏は、生命や自由が脅かされる恐れがある国への追放・送還を禁じた難民条約第33条に明らかに反すると主張しました。
 本村氏は、「在留資格を失った外国人を全て収容する『全件収容主義』のもと、まともな医療すら受けられない長期収容が常態化し、死亡事件も相次いでいる」と指摘。名古屋入管で死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんはその犠牲者にほかならないとして、全てのビデオと資料を提出し、完全な第三者による事件の真相究明を行うよう求めました。
 斎藤健法相は「調査は尽くされている」と真相究明に背を向けました。
 本村氏は、自主的に退去しない外国人に罰則を科す退去命令制度の創設は、日本で生まれ育ち日本語しか話せない人、日本に家族や恋人がいる人を犯罪者扱いするもので、「絶対にあってはならない」と主張しました。
 さらに、支援者などに監視の役目を負わせる監理措置制度について、収容か監理措置かの判断が入管庁に委ねられると批判しました。
 国連自由権規約委員会が、収容期間の上限の設定や、収容への裁判所の実効的な審査を確保するよう勧告するなか、斎藤法相は「事前の司法審査や収容期間の上限は必要ない」と答弁しました。


入管法改定案は廃案に 抜本的な民主的改革こそ 志位氏
                       しんぶん赤旗 2023年4月14日
 日本共産党の志位和夫委員長は13日、国会内で記者会見し、同日審議入りした入管法改定案について「断固反対であり、廃案を目指して頑張りぬきたい。国際水準に立った入管制度の抜本的な民主的改革を求めてたたかいたい」と表明しました。
 同改定案について志位氏は、2021年に「外国人の人権無視」との批判にさらされ廃案となった法案と同じ中身だとして「政府のあまりにひどい無責任、傲慢(ごうまん)さを示している」と批判しました。
 志位氏は、改定案の「最大の問題点」として▽在留資格を失った外国人を全て収容する全件収容主義 ▽裁判所の審査もなく入管の裁量で収容を執行する―という二つの根本問題に手をつけていないことを指摘。この根本問題が、名古屋入管でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさんが亡くなる痛ましい事態を招いたとのべました。
 現行の入管法は、戦前に植民地出身者を取り締まった制度を引き継いでおり国会でのまともな議論も経ず今日に至っているとして「大本からたださなくてはならない」と主張しました。
 その上で、改定案で導入する監理措置制度は、裁判所の審査もなく入管が収容の必要性を判断する根本問題を変えるものになっていないと指摘。支援者や弁護士らに外国人を監視させる役割を強いる制度であり「新たな矛盾をつくり出す」と批判しました。
 難民認定申請中は送還が停止される規定に例外を設け、3回目以降は送還が可能となっていることも大問題だとして「迫害の危険のある国に送還してはならないという国際法上の原則に違反している」と指摘しました。

 日本に対し国連自由権規約委員会から繰り返し是正の勧告がされているとして「外国人の人権が尊重されない国は日本国民の人権も尊重されない国になる。国際的にも恥ずべき状況を直視し、廃案にしたうえで、民主的改革にとりくむべきだ」と述べました。