2023年4月29日土曜日

杉並区議選 女性が当選者の半数・自民が大量落選 波乱を起こした「2万票」

 統一地方選の結果は「維新が躍進、立民が凋落、自民が健闘」というもので、意気消沈させられるものでした。

 そんな中で東京都の杉並区議選は議会の勢力図を一変させました。席数48に対し女性当選者が半数を占め現職12人が落選し、新人15人が当選しました
 政党では、自民が改選前の16議席を9議席に減らし、公明は7議席を6議席に減らし、立民6議席倍増し、共産改選前の6議席を維持しました。
 杉並区は昨年7月の区長選でリベラル系勢力が支援した岸本聡子区長48)が初当選しました。今回区長を選挙で支えた住民団体が地盤のない新人を中心に、党派を超えて区長に賛同する立候補予定者を一堂に集めて街頭演説する「合同街宣」を繰り返し開催しました。岸本区長も独自の行動として1人で連日街頭に立ち「投票に行こう」と呼び掛けました。
 その結果、多くの選挙区が投票率を減らした中で、杉並区は前回より約2万票増やし投票率を4.19ポイント上昇させました。
 落選した自民現職は「合同街宣はリベラル系の区民の目に留まりやすく、自民はそれができなかった。2万票は相手にすべていったと思う」と分析しました。それが大きく影響したようです。東京新聞が報じました。
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杉並区議選の波乱を起こした「2万票」…女性が当選者の半数、自民が大量落選
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 統一地方選で、議会の勢力図が激変したのが東京都杉並区だ。女性の当選者が男性を上回り、現職や最大勢力の自民党の候補が大量落選。新陳代謝を印象づけた。変化を引き起こしたものは何か。(原田遼)

◆増えた2万票の行方
 24日開票された杉並区議選(定数48)の当選者は、性別非公表の1人を除く47人のうち女性が24人を占めた現職は12人が落選し、新人は15人が当選。新人候補者の当選率は前回の43%から65%に上昇した。
 政党では、自民が改選前の16議席を9議席に減らし、全員当選が目標だった公明は落選者を出した。一方で立憲民主は倍増の6議席、共産も改選前の6議席を維持した。少数政党の当選者も相次いだ。
 投票率は43.66%。前回と比べて4.19ポイント上昇したことで増えた約2万票の動向が明暗を分けたようだ。

◆「区長は変わった。次は議会」が合言葉
 杉並区は昨年の区長選で立民や共産など、リベラル系勢力が支援した岸本聡子区長が初当選した。だが、議会では最多で4会派に分かれる自民や公明が半数を占めていた。岸本区長が選挙時に公約にした給食費無償化や児童館再整備などは多くが先送りとなっていた。
 今回は、岸本区長を選挙で支えた住民団体が「区長は変わった。次は議会」を合言葉に、地盤のない新人を中心に、党派を超えて区長に賛同する立候補予定者を一堂に集めて街頭演説する「合同街宣」を繰り返し開催した。岸本区長も、独自の行動として1人で連日街頭に立ち「投票に行こう」と呼び掛けた。

◆敗因に「投票率アップ」を挙げた現職
 落選した自民現職は「合同街宣はリベラル系の区民の目に留まりやすく、自民はそういう働き掛けができなかった。2万票は相手にすべていったと思う」と分析した。統一選で同様に女性の当選者が半数を占めた武蔵野市議選でも、投票率は前回より上昇した。
 区長公約に賛同して当選した新人女性は「区長をジャッジする立場として、いい対立関係でいたい」。岸本区長は取材に「議員には私の目に届かない地域の声を拾ってもらい、議会での議論の質を上げたい」と期待した。
 統一地方選後半戦の投票率 総務省によると、全国の議員選は45.02%で過去最低を記録。東京都内はこれを下回る44.98%だったが、前回より1.31ポイント上昇した。上昇率が最も高かったのは豊島区で4.40ポイント。武蔵野市の4.23ポイント、杉並区の4.19ポイントが続いた。