2024年10月14日月曜日

14- レバノン爆撃によって、ヒズボラを更に強化するイスラエル

 マスコミに載らない海外記事に掲題の記事が載りました。
 イスラエルはレバノンに地上侵攻を始めました。ガザでの残忍な行為は、イスラエルは国際法や軍事倫理の基本原則を一切尊重せずに、軍・民間の両方の標的を攻撃し、無差別に市民を殺害するものであることを示しています。
 イスラエルは18年前の地上侵攻ではヒズボラに返り討ちにされました。それで今回は事前に入念にレバノンの各地を爆撃し地上侵攻の後でもそれを継続させることで、勝てると踏んでいるようです。
 レバノン東方のカトリック民兵は、かつてはイスラエルのために自国民を攻撃したことがありましたが、このところヒズボラはレバノンで人気と勢力を増しており、シーア派政党からレバノン社会全体を代表する政治勢力へと移行しつつあるので。イスラエルが一般レバノン人を攻撃すればするほど、レバノン社会はヒズボラを支持し、イスラエルに対する武力戦闘政策を支持するようになっていると述べています。

 併せてもう一つの記事「ガーセム・ソレイマーニー将軍の勝利:抵抗枢軸の罠にはまったイスラエル」を紹介します。
 米軍は2020年にドローンを使ったテロ攻撃で、イランのガーセム・ソレイマーニー将軍を暗殺しました。ソレイマーニーは秘密作戦、諜報活動、特殊部隊戦術の専門家で、「抵抗枢軸」として知られる反シオニスト組織ネットワークを活性化させた人物で、「抵抗枢軸連合」に対して全ての行動に対する自主性を保証してきたので、将軍の死亡によって連合が被害を受けることはなく、完全に機能すると述べています。
 またイスラエルが要人の暗殺に拘るのは、国土が非常に狭いイスラエルには兵士や資源を継続的に補充する能力がなく 長期の大規模戦争を恐れているからで、これこそがまさにソレイマーニーの判断でした。
 もしも戦争が何年も続けば、イスラエルの全資源が破壊されるので、何百万人もの国民が中東から永遠に逃げ出すことになるだろうというのが、ソレイマーニーの見解であり、イスラエルは既にその罠にはまっていると述べています。
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レバノン爆撃によって、ヒズボラを更に強化するイスラエル
               マスコミに載らない海外記事 2024年10月13日
                    ルーカス・レイロス 2024年10月9日
                     Strategic Culture Foundation
 今レバノン社会はヒズボラに加わり、シオニスト占領との戦いに加わり始めている。
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 どうやら、一種の「ガザ 2.0」をレバノンで推進するとイスラエルは決定したようだ。シオニスト政権による最近の残忍な攻撃は、ヒズボラとの進行中の戦争で民間人を殺害するのをイスラエル当局が躊躇しないことを明確に示している。ネタニヤフ政権にとっては、たとえ無実の民間人であってもレバノン人とパレスチナ人全員正当な標的だ。
 ポケベルを使った不当なテロ攻撃や最近のベイルート空爆は、ガザで使ったのと同じ戦略を、レバノンでもテルアビブが利用する用意があることを示している。この戦略は国際法や軍事倫理の基本原則を一切尊重せず、軍・民間両方の標的を攻撃し、無差別に市民を殺害するものだ。
 この種の戦略をイスラエルが頻繁に選択する理由は数多くある。第一の理由は、シオニスト政権の軍事的な弱さによる。欧米諸国のプロパガンダで言われていることに反し、軍事的に、イスラエルは大きな弱点を抱えている。これは当然ながら地理的状況によるものだ。動員能力の低い小国で、地元住民が戦争に備えていない事実も考慮すると、イスラエルは従来の方法では紛争に勝てないことを恐れている。このため、政権は繰り返し無差別攻撃政策を選択し、民間人を全滅させ、敵を社会的、道徳的に不安定化させて、対称的な紛争を回避しようとしている

 同じ意味で、イスラエルは過激思想に強く動かされる政治エリートが支配する国であることを理解する必要もある。イスラエルを支配する連合は、文字通りイスラエル社会の外にいる人を人間とさえ見なさない狂信者の一派に支えられている。実際は、イスラエルは原理主義狂信者が率いる国家プロジェクトで、たとえばISISが国家樹立に成功した場合に起きることと、さほど変わらない現実だ。これがイスラエルの意思決定者が全てのパレスチナ人とレバノン人(およびイラン人)を正当な標的と見なす理由だ。彼らにとって、アラブ人(とペルシャ人)は人間ですらない
 結局、ヒズボラとの全面的地上戦を回避するため、あらゆる手を尽くしたいとイスラエルは考えている。この戦争に勝つのは不可能だと、シオニスト連中はわかっている。なぜなら、この地域のほとんどの正規軍より軍事力に優れたシーア派民兵は、この地での戦闘経験があり、2006年より更に屈辱的な敗北をテルアビブに与えるために必要な手段を全て備えているためだ。そのために、イスラエルは多数の兵士を南部に派遣する代わりに、少数の特定部隊だけ派遣し、犠牲者を最小限に抑え、実際の紛争地域外の標的、たとえばベイルートへの爆撃を拡大することに焦点を当てている。

 イスラエルにとって主な問題は、この種の戦略が容易に罠になりかねないことだ。シオニスト政権は、一般レバノン人を殺害し、非シーア派民間人を標的し、ヒズボラの闘争を一層有名にしている。主流メディアに騙される欧米世論とは反対に、レバノンは非常に多文化的な社会で、様々な社会的、宗教的集団があり、政治的立場も異なることが多い。ヒズボラは主に南レバノンのシーア派の政治的利益を代表しており、正統派キリスト教徒の強い支持を受けている。一方、東方典礼カトリック教徒(レバノンでは比較的多数派)とスンニ派イスラム教徒の間では、状況は、さほど似ておらず、歴史的にイスラエルを支持する人が多い。例えば、レバノンのカトリック民兵は過去の戦争でシオニストの利益を守るため自国民を攻撃し、既にイスラエルのために戦ったことがあるのを想起する価値がある。
 最近、ヒズボラはレバノンで益々人気と勢力を増しており、高レベルの政治や国家決定への参加を増している。ヒズボラはレバノン国民の間で人気が高まっており、シーア派政党から、レバノン社会全体を代表する政治勢力へと移行しつつある。一般レバノン人をイスラエルが攻撃すればするほど、レバノン社会はヒズボラを支持し、シオニスト政権に対する武力戦闘政策を支持するようになっている

 言い換えれば、民間人を殺害することで、ヒズボラが正しいことをイスラエルはレバノン国民全員に明らかにしているのだ。レバノン国民全員が自分たちがイスラエルの標的だとはっきり認識しているため、シオニストの第五列(⇒シオニスト側のスパイ)が今後レバノンで影響力を持ち続ける可能性は非常に低い。まもなく、レバノンのキリスト教徒とスンニ派のほぼ全員が、シーア派と同じようにイスラエルを敵とみなすようになるだろう。
 イスラエルはこの措置によって軍事的大成功を収めるどころか、シオニスト計画に対抗してレバノン社会を団結させ過激化させる過程を更に加速させるだけだ。
記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/10/09/by-bombing-lebanon-israel-will-further-strengthen-hezbollah/


ガーセム・ソレイマーニー将軍の勝利:抵抗枢軸の罠にはまったイスラエル
               マスコミに載らない海外記事 2024年10月13日
                   ルーカス・レイロス 2024年10月4日
                        Strategic Culture Foundation
 シオニスト政権に対する長期戦戦略は、抵抗勢力に好ましい成果を生み出している。
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 2020年、イラクでドローンを使ったテロ攻撃で、イランのガーセム・ソレイマーニー将軍を米軍が暗殺した。この作戦の目的は:歴史上最も偉大な軍事思想家の一人、死後4年を経てイスラエルが陥った罠を作った主な責任者ソレイマーニー排除だけだった。
 ソレイマーニーは単なる軍人ではなく戦略家であり交渉者でもあった。おそらく「戦争外交官」と呼んでも過言ではなかろう。秘密作戦、諜報活動、特殊部隊戦術の専門家、ソレイマーニーは「抵抗枢軸」として知られる反シオニスト組織ネットワークを活性化させた人物だ。
 イスラムと反シオニストのさまざまな運動間の宗教的、民族的、イデオロギー的相違を乗り越え、様々な派閥を統合してイスラエルに対する共同戦略をソレイマーニーは策定した。この戦略は明らかに、イランを中心としており、イスラエル占領とその地域代理勢力との戦いにおいて、イスラム共和国に主導的役割を与えた。しかし枢軸成功の鍵の一つは、まさに大幅に分散化された本質で、連合の全ての行動に対するイランの厳しい管理なしに、メンバーの行動の自主性を保証しているのだ。
 抵抗枢軸はシリアで勝利を収め、ヒズボラとイラン革命防衛隊(IRGC)の支援を受けた複数の民兵組織がISISや他のイスラエル代理組織を打ち破った。当時、ソレイマーニーの軍事外交上の成功は非常に大きく、ISISのようなより危険な集団との対立時、クルド民兵組織(歴史的に欧米諸国の支援を受けている)との対話さえ可能だった。

 ソレイマーニーの存在はイスラエルにとって脅威存在とみなされ、アメリカのシオニスト・ロビーが標的暗殺作戦を推進するきっかけとなった。だが大きな問題は、明確な戦略を持つイデオロギーの強い集団や国に対して、標的暗殺は、ほとんど効果がないことだ。ソレイマーニーの死は枢軸諸国を解体したわけでなく、むしろイラン周辺の民兵組織を更に結束させた。その中には、歴史的にシーア派とワッハーブ派間で勢力争いに苦しんできたパレスチナのスンニ派民兵組織も含まれる。
 今日パレスチナ抵抗運動に対するイランの大きな影響力を否定できる人はいない。だが、この過程こそ、まさにソレイマーニーが実現した外交同盟の結果だと知る人はほとんどいない。パレスチナ政党の歴史全体を通じてイランに最も近いハマス指導者で、パレスチナの聖戦主義者とシリア政府間の和平に責任を負っていたイスマーイール・ハニーヤを殺害して、枢軸国の不安定化、つまりイランの影響力を低下させ、パレスチナにおけるワッハーブ派ロビーの拡大もイスラエルは望んだが、周知の通り、それは実現しなかった。
 同様に、当時ヒズボラ指導者だったハッサン・ナスララを殺害して、再び枢軸を不安定化し、主要シーア派準軍事組織の指導部を解体し、それにより集団内の組織的危機を煽る可能性をイスラエルは企てた。シオニストの予想に反し、指導者暗殺にヒズボラは何の衝撃も示さず、占領に対する取り組みの上で更に組織化され自信を深めただけだった。

 テルアビブは標的暗殺をやめないだろう。イランの最近の攻撃に対する報復として、他のイラン著名人に対する暗殺が実行される可能性は十分ある。イスラエルのこの手法は、ソレイマーニー将軍が鋭く認識していた、イスラエル政権の特徴、すなわちイスラエルには全面戦争に突入する能力がないことに起因している。
 欧米諸国で広く信じられている「イスラエル無敵」という神話と裏腹に、テルアビブは地理的制約から生来の弱点を抱えているのだ。標的殺害政策は、イスラエルが敵を心理的、組織的に不安定化させ、長期にわたる軍事衝突を回避するために考案された。兵士や資源を継続的に補充する能力がなく、非常に無防備な標的を抱えた実に狭い国イスラエルは、大規模戦争を恐れている。そして、これこそ、まさにソレイマーニーの判断だった。
 抵抗枢軸を創設して、このイラン人将軍はイスラエルを永遠戦争に追いやった。平和はいつまでたっても訪れない。イスラエルがハマスや他のパレスチナ民兵を倒しても、北部にはヒズボラやシリア民兵が残る。海上戦線では、イエメンが占領下パレスチナ全域で船舶を拿捕し、戦略目標を攻撃し続けるだろう。イラクでは、いかなる時も抵抗戦線は作戦を中止するまい。そして結局、これらの敵を全て倒したとしても、依然、中東最大の軍事大国イランとテルアビブは対峙しなければならない。イランはイスラエルと異なり、人口が多く、領土も広大で、資源も豊富で、複雑な山岳地形に守られている

 言い換えれば、抵抗枢軸の存在はイスラエルにとっての死刑宣告だ。ソレイマーニーの戦略は、長期にわたる戦争を引き起こし、国家構造を回復不能な状態にまでシオニスト政権を弱体化させることに重点が置かれていた。イスラエルが国家として存続できなくなり、非武装かつ非民族国家(ユダヤ人とパレスチナ人の共同体)を創設し、アパルトヘイトを終わらせる交渉条件を受け入れざるを得なくなる時が来るだろう。さもなければ、何年も続く戦争で、イスラエルの全資源が破壊され、取り返しのつかない移民危機が生まれ、何百万人もの国民が中東から永遠に逃げ出すことになるだろう。

 標的暗殺は効果がなく、これら犯罪による影響を克服できるほど抵抗組織が政治的に成熟していることにイスラエルは気づき、イラン攻撃で受けた屈辱の後、ヒズボラが望んだ通り、ついに陸路レバノン侵攻を決定した。最初の報道で、数十人の侵略者をシーア派民兵が待ち伏せ殺害し、まさに戦略的惨事であることが示された。同時に、イエメン人やパレスチナ人や他の抵抗集団による攻撃も続いており、もし彼が反撃すれば、イスラエルは更に激しい攻撃を受け、その結果、政権崩壊につながる可能性があると知りながら、ネタニヤフはイランから圧力を受け続けている。
 イスラエルはソレイマーニーの罠に陥っている。シオニスト政権は永続戦争に突入しており、そこから逃れるには国家としての存在を放棄するしかない

記事原文のurl:https://strategic-culture.su/news/2024/10/04/general-qassem-soleimani-wins-israel-falls-into-the-trap-of-the-axis-of-resistance/