2024年10月30日水曜日

特別国会首班指名に向け大攻防(植草一秀氏)

 植草一秀氏が掲題の記事を出しました。
 今度の衆院選では自公が過半数を18も下回りました。しかし石破首相が辞任することはあり得ません。衆院選の敗因は石破首相にあるのではなく、岸田前首相~安倍元首相らが責任を負うべきものです。
 衆院選前の段階では、石破首相を早々に退陣させ、ワンクッションを置いてから岸田前首相が返り咲くという、絶句ものの構想がネット上でまことしやかに流されていました。余りにも身勝手なもので「正気か?!」の一言で片付けられるような話です。ましてやこの惨敗ブリでは です。

 数字上 野党が一致すれば自公政権を倒せますが、野党はバラバラでとてもまとまれる状態ではありません。仮にそうして政権を奪取したとしても、参院では自公が多数なので政権は殆ど機能しません。
 立民は議員数を大きく伸ばしましたが、別に支持率が大きく伸びた訳ではないし、実際選挙前にも「立民待望論」は全くありませんでした。国民についても同様です。
 民主党は12年夏の衆院選で斬新なマニフェストを掲げて政権を奪取しました。しかしすぐに検察が小沢一郎氏の政治資金規正法違反を『デッチ上げ(最高裁で無罪判決)』、全マスコミの扇動の下で朝野を挙げての「小沢バッシング」が巻き起こりました。
 小沢氏の失脚後 菅直人首相・野田佳彦首相が登場しました。しかしいずれも簡単に「財務省に丸め込まれ」て「消費税アップ」路線に邁進した結果、国民の反感を買って14年末に自民党に政権を再奪取されました。
 民主党はその後現在の立民党、国民党に分裂しましたが、以来12年、国民が再び支持を寄せることはありませんでした。

 国民、立民、維新はそれぞれ自公政権に合流しないことを明らかにしています。実際、来夏の参院選前に自公政権に合流することは、そのまま参院選で見放されることになるので あり得ません。
 結局、石破内閣は国民または立民を対象に「是々非々」の「部分連合」で行くしかありません。
 これまでの自民党政治は、「対米従属を大前提」とした上であまりにも独裁政治でした。自民党は今回の大敗を機に、これまでの大企業・株主本位の政治を止めて、貧困化した国民本位の政治に注力することで国民の、従って野党の賛同を得るしかありません。

 別掲の記事「BRICSが多極型世界の準備完了」でも明らかなように、いまどき絶対的「対米従属」を貫いているのは日本とEUだけです。米国の意のままに隣国の「中国やロシアを敵視」するというのは余りにも子供じみているし、近隣諸国と友好関係を結ぶことで平和嗚維持するという憲法9条の精神にも明らかに反しています。米国を視野の正面に置くのではなく もっと世界全体に向けるべきです。

 植草一秀氏の記事を紹介します。
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特別国会首班指名に向け大攻防
               植草一秀の「知られざる真実」 2024年10月28日
10月27日に実施された衆院総選挙で自公の与党は大敗し、過半数を割り込んだ。
政党別獲得議席数は以下の通り。
 自民   191   ・   立民   148    共産     8
 公明    24   ・   維新    38    参政     3
 与党計  215   ・   国民    28    保守     3
            ・   れいわ    9    社民     1
            ・               野党計  238

無所属 12  衆議院過半数は233。
無所属当選者は
自民の公認を得られず無所属で立候補して当選した者 4名
野党系無所属の「有志の会」当選者 4名
野党系無所属で当選した者 2名
自民系無所属で当選した者 2名 となっている。

憲法54条の規定により総選挙から30日以内に特別国会を召集しなければならない。
特別国会が召集されると内閣は総辞職する。そのうえで総理大臣指名選挙が衆参両院で行われる。1回目投票で議員の過半数を得た議員が内閣総理大臣に指名される。
衆参が異なる指名を議決したときは両院協議会が開催されるが、最終的には衆議院の議決が国会の議決とされる。
1回目投票で議員の過半数を得る議員がいない場合は、上位2者による決選投票が行われ、多数を得た者を当選人とする。
得票数が同じときはくじで当選人を定める。

野党が結束して首相指名選挙に臨めば野党候補が総理大臣に指名される。政権交代が実現する。
自公は215議席しか確保できなかったため、233票を獲得するには18票の上積みが必要になる。
国民民主党が自公との連立政権に加わるなら自公国で新たな政権が樹立される。
野党側では立維国とれいわ・共産・社民の間に隔たりがあり、連立協議が速やかに整う情勢ではない。また、維新と立民・国民の間の距離もある。

1993年には野党が8会派での連立政権を樹立したが、このときは小沢一郎氏が水面下で調整に尽力した。今回も小沢一郎氏が水面下での調整を実行するのかどうかが注目される。
野党間調整が整わず、自公と国民の連立協議が不調に終わる場合は、自公が少数与党による連立政権を維持することになる可能性が高い
しかし、この場合、予算成立、法案可決に野党の協力を得ることが必要不可欠になり、政策運営は困難を伴うことになる。
通常国会での予算審議を通じて、2025年度当初予算採決の段階で国民民主を政権与党に組み入れる協議が行われる可能性が生じるかも知れない。
2025年夏に参議院議員通常選挙が予定されている。各政党はこの参院選での勝利を目指すため、現時点で安易な妥協に見える行動を示しにくい。
参議院選挙に向けて非自公陣営の新たな共闘体制の構築があるのかどうかも注目点になる。

今回選挙の特徴は立民と国民が議席を大幅に増大させたこと。
二つの勢力の背後に連合が存在する。
現在の連合は「6産別」が実権を握っており、「大企業御用組合連合」の色彩が強い。
対米隷属容認、原発容認・推進、消費税容認・推進の方向性が強い。
「第二自公」とも呼べる政治勢力である。
維新は自ら「第二自民」と表現する政治勢力であり、日本政治が自公と第二自公による二大政治勢力体制に移行する気配が強まりつつある。

今回選挙でれいわは議席を3倍増させた。
れいわの山本太郎代表は「立民と自民は変わらない」と指摘しており、立民との連携に対する拒絶反応を示している

政局は混迷期に移行することになるが、単なる数合わせで非自公が連携して政権を樹立しても、内部の政策方針の相違から政権自体が行き詰まる懸念も強い。
れいわに象徴される反自公、非立維国の「第三勢力」の伸長が観測されたことは大いなる救いであると言える。

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