海外の記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
いまや国連には、ガザ虐殺を制止する機能がないことが明らかにされました。それだけではなくイスラエルは米国などからの資金・武器弾薬の供給を糧にして、戦線をレバノンからイランへと広げつつあります。イスラエルがイランと戦火を交えることは兼ねてからの米国の念願と言われているので、米国がそれを制止することはないでしょう。
「拒否権を持つ超大国の視点から見ると国連のシステムは立派?に機能している」のです。
原記事は9月26日に出されたものです。ここでいう「(美しい)庭」というのは、西側先進国の富裕層(が思い描く一般的な未来)で、「ジャングル」というのはBRICS=新興国 のことを示しています。
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国連はガザを守らないが「未来のための協定」は採択できる?
耕助のブログNo. 2293 2024年10月8日
The UN won’t protect Gaza, but can adopt a ‘Pact for the Future’?
国連はパロディとなった。今週、世界のリーダーたちがニューヨークに集まったが、
ガザ、レバノン、パレスチナは議題にまったく上がらず、強行採決により「ルール
に基づく秩序」を守ることを目的とした米国の協定が議題のトップになった。
by Pepe Escobar (24.9.26)
国連とその安全保障理事会が、生中継された大量虐殺を阻止できなかった、阻止しようとしなかったことは、回復できないほどにその信頼を傷つけた。イスラエルの致命的な精神病に深刻な影響を及ぼす決議は、過去も現在も、そして今後も、国連安全保障理事会では阻止されるだろう。
第79回総会を目前に控えた日曜日と月曜日、ニューヨークではシュールな光景が繰り広げられた。各国首脳が総会の演壇で高邁な演説を行うために集結したのだ。
国連加盟国は賛成143票、反対7票、棄権15票で「未来のための協定」{1}を採択した。もちろん、細部にこそ問題がある。誰が実際にそれを設計し承認したのか、世界が燃え盛る中、なぜそれが議題のトップに上ったのか、そしてなぜ(巨大な)ネズミの匂いがするのか?
国連広報部は、この「未来サミットの主な成果は、人類を共通の未来に向かう新たな道筋へと導く、一世一代の機会である」と晴れやかに発表した。
言葉はいいが、はっきりさせておきたいのはこれは中国が提唱する「人類共有の未来共同体」という包括的かつ哲学的な概念とは全く異なるということだ。それはむしろ、いわゆる「庭」を支配する大西洋主義の富裕層が思い描く一般的な未来で、「ジャングル」に命令を下すだけである。
中国、ロシア、イランの投票
ロシアの国連大使第一副代表であるドミトリー・ポヤンスキーは、このイニシアティブを的確に要約した:
国連は自らの原則に抵触し、最初から交渉を乗っ取っている「美しい庭」の代表団グルー
プに迎合した。そして、群れた「ジャングル」の大多数は、抗議して自分たちの権利を守
る勇気を見いだせなかった。彼らはその結果に対して責任を負うことになるだろう。
外交官の何人かが、かなり当惑した口調でオフレコで語ったところによると、実際には深刻な事前交渉は行われず、条約は合意によって採択されたと確認した。「ジャングル」から来た7カ国だけが抵抗しようとしたが準備された文書を却下され、土壇場の修正案を追加できなかった。
国連総会議長に就任したばかりのフィレモン・ヤンも、何とかしようとした。抵抗勢力はすべての規定について合意が得られるまで、特に軍縮と国連人権高等弁務官事務所の業務におけるNGOの干渉的な役割に関する規定について、ヤンが採決を延期するよう提案した。
しかし、「庭」は強行採決を適用して協定を押し通し、抵抗勢力はあまりにも不十分な対応しかできず、またそれは遅すぎた。
アフリカの外交官数名は、オフレコで、自国は協定に反対しているが「連帯」のために投票すると不満を漏らした。これは「庭」にいじめられているか、実際に買収されていることを暗に意味している。
そして、決定的な瞬間が訪れた。ロシアとイランは共に「反対」票を投じ、中国は棄権した。
つまり、ユーラシア統合の推進役でBRICSの主要メンバーである文明国家3カ国が、庭が作った協定を拒否したのだ。明記されていない重要な理由は、この協定が最終的にBRICSと第二極の台頭に反対していることだ。
その決定的な証拠は、この協定が「ルールに基づく国際秩序」という米国の決まり文句を直接参照していることである。この協定は、文明国家を孤立させ、BRICSを内部から分裂させるように巧妙に設計されている。古典的な「分割統治」なのだ。
グローバル・マジョリティの未来のための真の協定については、まもなく真剣な議論が始まるだろう。国連ではなく、来月カザンで開催されるBRICS年次サミット{2}でだ。
ガザって何?
1年で最も多くの指導者たちが一堂に国連本部に会しているにもかかわらず、ガザでの大量虐殺やイスラエルのレバノン侵攻については、まったく何も対策が講じられていない。この驚くべき人道的危機に対する驚くべき無策ぶりは、通常はほとんどの事柄について米国の独断に固執するペルシャ湾岸の「庭師」たちさえも唖然とさせている。
湾岸協力会議(GCC)の政治・交渉担当事務次長補であるアブデル・アジズ・アルワイシェグは、今年、演壇でこの主張をした唯一の国家元首であるジョー・バイデン米大統領の、「国際システムは機能しており、特に米国がそれをまとめている」という主張は幻想だと指摘する社説を執筆した。
「国連総会におけるバイデンの最後の欠陥スピーチ」と題されたコラム{3}で、アルワイシェグは次のように明らかにした:
最近ニューヨークで開催された「未来サミット」のようなハイレベルな会合において参
加者は、国連システムが機能不全に陥っており、改革、あるいは大規模な見直しが必要で
あることに同意した。
さらに次のように付け加えた:
拒否権を持つ超大国の視点から見るとシステムは機能している。気に入らない行動は阻止
でき、賛同できる決定には従う。これ以上いいものがあるだろうか? しかし、ガザ地区で
自宅の廃墟に身を寄せ合い、多数の家族を失い、国連のチェックを受けず、最も強力な加
盟国に支援されたはるかに強力な軍事力によっていつ殺されるともわからない状況にある
無防備な難民の視点から見ると世界は違って見える。
ダボス会議の付属機関になった国連
ニューヨークの国連本部全体が、今や「落胆」と「シオニシズム」を称える一枚岩と化し、ガザ地区での大量虐殺、そして今やレバノンへの拡大が、英米のシオニズムに主導された西側の犯罪組織によって全面的に支援されていることを外交団の誰もがはっきりと理解している。
この点から、国連でのいかなる投票も無意味だと考えるべきである。国連の構造全体が無意味であると考えるべきなのだ。
この協定は、各自の責任において読むべきである。抑制のきかないバーチャルなシグナリングと、オバマ政権時代のTPP貿易協定のような不成立となった協定の古い政策の焼き直し、そしてもともとドイツとナミビアの政府が論文で草案したグローバルなデジタル化推進策を混ぜ合わせた、ありきたりの言葉のサラダである。
しかし、実際の起草者はお決まりの容疑者たちだ。すなわち「ルールに基づく国際秩序」を強制しようとするビッグテック(⇒巨大情報技術企業群)とビッグファイナンスである。
中国の共同体精神とは異なり、ここで想定されている人類の未来は世界経済フォーラム(WEF)が作ったダボスのギャングたちから直接来た第四次産業革命{4}の神格化である。
彼らが存在しない「交渉」を監督した役者たちであり、コロナ時代が始まる数か月前の2019年7月に締結された、国連とWEF(⇒世界経済フォーラム)の運命的な協力協定に遡る。
この協定は、アナリストのピーター・コーニグが述べたように「違法」である。なぜなら、「国連はNGOと協定を結ぶことはできない」からである。しかし「ルールに基づく秩序」の世界ではそんなことは関係ない。現実には、国連はダボス会議(⇒WEF)の単なる付属機関になっている。
というわけで、ディストピア的未来へようこそ。今やそれは紙に書かれている。おっと、紙ではなかった。時代遅れだ。デジタルで残っている。
打開策はあるのだろうか? イエス、だ。グローバルな抵抗勢力は徐々に、まとまりのある大陸横断的な力へと形作られつつある。その範囲と深みの多くは、ますます強硬姿勢を強める中国によるものである。BRICSは、グローバル・マジョリティを、公平で住みやすく、ディストピアではない未来へと導くことのできる強力な相互接続ノードの開発に全力を傾けている。10月のカザンに注目が集まっている。
Links:
{1} https://www.un.org/sites/un2.un.org/files/sotf-pact_for_the_future_adopted.pdf
{2} https://sputnikglobe.com/20240923/pepe-escobar-will-a-brics-bretton-woods-take-place-in-kazan-1120257701.html
{3} https://www.arabnews.com/node/2572749
{4} https://www.foreignaffairs.com/world/fourth-industrial-revolution
https://thecradle.co/articles/the-un-wont-protect-gaza-but-can-adopt-a-pact-for-the-future