昨年10月7日はハマスがイスラエルに越境攻撃を仕掛けた日でした。
NHKなどはイスラエルのガザでの蛮行を伝える際には、必ず「ハマスの越境攻撃」を「枕詞」に持ってきて、奇襲によって「約1200人が殺害され、251人が人質としてガザ地区へ連れ去られた」ことを述べます。
人質についてはその通りですが、約1200人が殺害されたのは、その多くがビルに立てこもったハマス兵をイスラエル軍が人質諸共に爆殺したためであると、イスラエルのハアレツ紙自身が報じた通りで不正確な数字です。
1年が経過した7日、しんぶん赤旗に「ガザ 深まる人道危機 侵攻1年 戦火 中東全域に及ぶ危険」と題した記事が載りました。
ここでは関連する3つの記事を紹介します。
米国をはじめ世界各地でイスラエルの蛮行を非難し、パレスチナに連帯する市民行動が起きています。
米国以外については、7日付のしんぶん赤旗の「見出しのみ」を紹介します。
・ 欧州各国 ロンドン約30万人参加
・ インドネシア・タイ 独立派すべての民族の権利
・ チリ・メキシコ 侵略者への抵抗に連帯
・ オーストラリア パレスチナを解放せよ
・ 南アフリカ アパルトヘイトに制裁を
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ガザ 深まる人道危機 侵攻1年 戦火 中東全域に及ぶ危険
しんぶん赤旗 2024年10月7日
【カイロ=秋山豊】イスラエルがイスラム組織ハマスによる奇襲攻撃を受けてパレスチナ・ガザ地区への軍事侵攻を開始してから7日で1年が経過しました。国際社会はイスラエルによる攻撃を国際法違反、ジェノサイド(集団殺害)と批判し、停戦を呼び掛けてきましたが、イスラエルはこれを無視し、ガザに陸海空から攻撃を継続。戦火を中東地域全体に拡大する動きさえ強めています。
ガザの人道危機はますます深刻になっています。ガザ当局によれば4万1870人が殺され、その多くが女性と子どもです。負傷者は9万7166人に上っています。ガザの人口約240万人のうち200万人が住まいを追われました。
住民は幾度も退避を強制されています。劣悪な衛生状態での避難生活を強いられ、飢えや感染症に苦しんでいます。イスラエル軍の攻撃と封鎖でガザには人道支援物資がわずかしか入っていません。農地も破壊されています。国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)によると、9月には140万人以上が食料の配給を受けられませんでした。
イスラエル軍は避難所となっている学校や、イスラエルが住民の退避先として指定した地域まで攻撃しています。UNRWA職員や医療従事者、ジャーナリストも殺害しています。
イスラエルはレバノンへの地上侵攻も開始。イランがイスラエルにミサイルで攻撃する事態となり、イスラエルは報復を宣言。戦火のさらなる拡大が懸念されています。
レバノン保健省によると同国では、昨年10月以降、イスラエル軍の攻撃で少なくとも2000人が死亡しています。
(シリーズ ガザと世界1年)
占領やめよ強まる世論 イスラエルの犯罪に国際社会、毅然と対峙
しんぶん赤旗 2024年10月7日
イスラム組織ハマスの越境攻撃を機にイスラエルがパレスチナ自治区ガザヘの侵攻を開始しで1年。国際法をも無視して強行される無差別攻撃に国際社会はどう対応してきたのでしょうか。
国際社会は、イスラエルによる国際人道法違反の攻撃や、パレスチナ人に対するジェノサイド(集団殺害)の防止へ、国際司法裁判所(ICJ)や国連総会での決議などを通じて毅然と対峙してきました。
同時に、事態の根源にはイスラエルによるパレスチナ領土の占領があるとの認識がかつてなく強まったことも、大きな変化でした。イスラエルが公然と「2国家解決」を否定し続けるなかで、パレスチナ独立国家を樹立する「2国家解決」でしか永続的な平和はない、という認識が強まり、今年に入って、パレスチナを国家承認する国が中南米や欧州で9カ国も生まれました。
ICJは7月、イスラエルによるパレスチナ領土の占領・入植・併合が国際法違反だとする画期的な勧告的意見を出しました。同意見は、イスラエルの占領がパレスチナ人の民族自決権行使の障害となっているとして、「できる限り早期の終結」を求めました。これを受けて、国連総会は7月、イスラエルが1年以内にパレスチナ占領を終結させることを求める決議を採択しました。
総会は5月、パレスチナの国連加盟を支持する決議も採択しています。
パレスチナの民族自決権の実現への機運の高まりは、9月24~30日の国連総会一般討論でも示されました。「パレスチナ国家を不必要に妨害していることが現在の紛争の根本原因だ」(カリブ海の島国セントルシア)、「パレスチナ領土のイスラエルによる不法な占領を終わらせることで、紛争の根本原因に対処する必要がある」(オマーン)との発言が相次ぎました。
イスラエルの攻撃を受けているさなかのレバノンは「根本原因は占領だ。占領が続く限り、不安定と戦争は続く」と訴えました。
国連総会中に、サウジアラビア、欧州連合(EU)、ノルウェーの呼びかけで、「2国家解決のためのグローバル同盟」の会議が開かれ、100力国近くが出席。ノルウェーは国連総会討論でこの会議を紹介しながら、ガザやレバノンの停戦は緊急に必要だが「戦闘の終結と氷続的解決を混同してはならない」として「2国家解決以外に永続的平和の代案はない」と強調しました。
二重基準への批判噴出
しんぶん赤旗 2024年10月7日
また、米国などがロシアのウクライナ侵略を非難する一方で、イスラエルを擁護する「二重基準」への批判が噴出。インドネシアは「国連憲章と国際法を二童基準のがれきの下に埋没させてはならない」と述べ、トリニダード・トバゴはコー「二重基準(とイスラエルヘの武器援助)は、グローバルサウスに身の毛のよだつメッセージを送っている。パレスチナの子どもは、他の子どもより、命の価値が低いというメッセージだ」と非難しました。
こうした国連や各国政府の動きに呼応して、国際法違反の蛮行、ジェノサイドをやめよとの世論と行動を広げ、イスラエルをさらに追い詰める闘いが求められています。(伊藤寿庸)
武器送るな 米国市民憤り 行動広がる
「バイデン大統領は(ガザでの)平和のために努力していると主張するが、うそだ」-。「平和を求めるユダヤ人の声」のリサさん(65)は9月末、ニューヨークでのデモで憤っていました。
バイデン政権はイスラエルに武器を送り続けてジェノサイドを助長しています。これに対する市民の怒りが広がぅてきました。パレスチナ人の権利を擁護する団体に限らず、ユダヤ人、労組、芸術家、学生など、さまざまな立場の人ぴとが立ち上がっています。
自分たちの納めた税金がイスラエルヘの軍事支援に使われ、無数の人びと、子どもたちを殺しているー。市民は、この事実に立ち向かい、停戦実現と米国の武器提供停止を求めて多様な取り組みを進めてきました。
SNSの動画を通じてイスラエルの残虐行為を目の当たりにした若者は、それと自分だちとのつながりを深刻に受け止めています。
学生たちは今春、ガザ連帯キャンプを開始し、全米に広げました。大学に対し、イスラエルとつながる企業との関係を断つよう要求しています。大学当局からの圧力で逮捕者が多数出ましたが、いまも学内外で行動しています。
バイデン政権に抗議の意を示すために辞職する政府職員も相次ぎました。11月の大統領選に向けた与党民主党の予備選では、バイデン氏のイスラエル支援を批判し、「該当者なし」への投票を呼びかける運動が拡大。その後同党の候補者となったハリス副大統領に対しても、武器輸出政策を転換しなければ支持できないと、圧力をかけています。
連邦議会では、民主党のサンダース上院議員が9月25日、他の議員とともに武器輸出中比の決議案を提出しました。同氏は、米国製兵器がいつ、どこで使われパレスチナの人たちを殺したかを列挙し、いかに米国の法と国際法に違反しているかを訴えています。
(ワシントン=柴田菜央)
ジェノサイドに抗議 ガザ侵攻1年 世界で行動
しんぶん赤旗 2024年10月7日
イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への軍事侵攻開始から1年を前にして、5日から6日にかけて世界各地で「ジェノサイド(集団殺害)やめよ」「いますぐ停戦を」と呼び掛ける行動が取り組まれました。
米各地政府にイスラエル支援停止迫る
【ワシントン=洞口昇幸」米国では5日、イスラエルのガザ地区でのジェノサイドや米政府のイスラ工ルヘの兵器供与に対する抗議行動が各地で実施されました。首都ワシントンでは、ホワイトハウス前で多くの市民が、怒りのシュプレヒコールを繰り返しました。
参加者は「兵器支援はやめろ」「ジェノサイドはやめろ」「ガザやレバノンでの即時停戦を」などと書かれたプラカードを高く掲げました。イスラエルヘの支援に税金を使うのではなく、米国民の生活やハリケーン被害に充てるべきだと訴える手書きのプラカードも見られました。
ホワイトハウス前の集会後にはワシントン市内を行進。ユダヤ人団体「平和を求めるユダヤ人の声」のメンバーらも参加しました。
パレスチナやレバノンでイスラエルの攻撃を受けている一般市民への連帯を示すために参加したエリン・マクドーマットさん(50)は「ー刻も早く停戦してほしい。米政府はイスラエルのジェノサイドの手助けとなる支援をやめるべきだ」と訴えました。
米大統領選では与党民主党候補のハリス副大統領を支持していますが、「大統領候補としてイスラエルヘの支援停止を掲げてほしい」と語りました。
父親(故人)がパレスチナ人だというサム・リサスさん(65)は、現在の中東情勢の緊迫化を解決するためにも、各国は「軍事行動ではなく、(パレスチナ国家樹立による)2国家共存の実現に向けて真剣な外交に取り組んでほしい」と力を込めました。
抗議行動は、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボストンなどでも取り組まれました。