2024年10月21日月曜日

イ軍 ガザ難民空爆で 120人 死亡又は行方不明・西岸では殺害や破壊/なぜ大量虐殺が出来るのか

 20日付のしんぶん赤旗は、ガザ北部ジャバリヤでは18日、難民キャンプが空を受け少なくとも33人が死亡したと伝えましたNHKの21日5時35分付WEB記事は、イスラエル軍は19日夜もガザ北部ベイトラヒヤで住宅地を空爆し、死者と行方不明者があわせて87人に達した(ガザ保健省)報じました。ベイトラヒヤでは19日、インドネシア病院やカマルアドワン病院など三つの病院が包囲され、電気が遮断された上で砲撃を受けています。

 パレスチナのヨルダン川西岸地区では、イスラエル軍やユダヤ人入植者によるパレスチナ人への暴力や迫害行為が強まり、国連人道問題調整事務所は、イスラエルが「好戦的な戦術」をとっていると非難しました。同事務所に寄せられた報告によれば、入植者によるパレスチナ人やその資産ヘの攻撃は10月に入ってから既に32件あり、17日には、ジェニン近郊でオリーブの実を収穫していた女性がイスラエル軍の攻撃で殺害されました。
 同事務所の報道官は「西岸の数万のパレスチナ人世帯にとってオリーブの実の収穫は経済的な生命線となっている」とし、イスラエル側がオリープ農園を攻撃の標的としていることは「非常に懸念すべきだ」と語りました。
 今年のオリーブの収穫期が始って以降、入植者によって焼かれたり、破壊されたりしたオリーブの木は約600本にています(以上しんぶん赤旗)

 併せてケイトリン・ジョンストンの記事「パレスチナ人の体系的非人間化によって可能になっている大量虐殺」を紹介します。
 なぜ常識では到底理解不能の大虐殺が行われ、なぜ西側諸国がそれを容認しているのかについての深く且つシニカルな考察です。
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難民キャンプ空爆33人死亡 スラエル軍ガザ北部で病院包囲
                       しんぶん赤旗 2024年10月20日
【イスタンブール=時事」イスラエル軍は19日、パレスナ自治区ガザでスラム組織ハマス掃討に向けた軍事作戦を継続しました。パレスチナ通信によれば、ガザ中部マガジでは19日に住宅地が空爆されて11人が死亡。ガザ北部ベイトラヒヤでは複数の病院が包囲され、イスラエル車の砲撃が続いているといいます。イスラエルはハマス最高指導者シンワル氏を殺害した後も、攻撃の手を緩めていません。
 ガザ北部ジャバリヤでは18日、難民キャンプが空を受け、ロイター通信によると少なくとも33人が死亡しました。イスラエル軍によると、ジャバリヤには17日夜から18日未明にかけて追加部隊が投入されました。軍はハマスが立て直しを図っているとして、6日から難民キャンプの包囲作戦を行っています。
 中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、ベイトラヒヤでは19日、インドネシア病院やカマルアドワン病院など三つの病院が包囲され、電気が遮断された上でイスラエル軍の砲撃を受けていると報じました。院内には患者や医療従事者らが大勢残されています。カマルアドワン院では、イスラエル軍が建物の一部を攻撃して死傷者が出ているといいます。


西岸 オリーブ農園標的 国連機関 イスラエルを非難
                       しんぶん赤旗 2024年10月20日
【ロイター通信】 国連人道問題調整事務所(OCHA)は18日、イスラエルが占領するパレスチナのヨルダン川西岸地区でイスラエル軍やユダヤ人入植によるパレスチナへの暴力や迫害行為の強まりを「好戦的な戦術」をとっているとして非難しました。ロイター通信が報じました。
 OCHAに寄せられた報告によれば、入植によるパレスチナ人やその資産ヘの攻撃は10月に入り32件。17日には、ジェニン近郊でオリーブの実を収穫していた女性がイスラエル軍の攻撃で殺害されました
 OCHAのイェンス・レルケ報道官はジュネーブでの記者会見で、「西岸の数万のパレスチナ人世帯にとってオリーブの実の収穫は経済的な生命線となっている」と指摘。イスラエル側がオリープ農園を攻撃の標的としていることは「非常に懸念すべきだ」と語りました。
 OCHAによれば、今年のオリーブの収穫期が始って以降、入植者によって焼かれたり、破壊されたりしたオリーブの木は約600本にします。レルケ氏は「イスラエル軍は西岸で危険で好戦的な戦術を採用している。それによって、過度の武力行使への懸念が高まっている」と述ぺました。
 パレスチナ占領地での食の報但書を準備してきた専門家らは16日、ジュネーブでの会見で、イスラエルが占領する西岸地区のパレスチナ人農民は「これまでで最も危険なオリーブ収穫期に直面している」との認識を示しました。
 専門家らは、国際司法裁判所が7月に、イスラエルによる西岸地区などの占領を国際法違反と断じ、撤退が義務だと指摘する勧告的意見を出したことにふれ、「イスラエルはまずパレスチナ人の土地の占拠をやめる国際法上の義務がある」と指摘。パレスチナ農民オリーブ収穫を妨害する行為の中止を求めました。


パレスチナ人の体系的非人間化によって可能になっている大量虐殺
               マスコミに載らない海外記事 2024年10月20日
ガザ援助活動家として自分の座標をイスラエル国防軍に伝える唯一の利点は、彼らがその座標を使ってあなたを殺害した時、何をしているのか彼らが正確にわかっていたことを歴史的記録に残せることだ。        ケイトリン・ジョンストン 2024年10月20日
 ガザ地区の水道インフラを修復途中の水道技術者と作業員4人をイスラエル軍が殺害したとオックスファムは報じている
 「イスラエル当局との事前調整にもかかわらず、彼らの明確にマークされた車両が爆撃された」とオックスファムは言う。
 ガザ援助活動家として自分の座標をイスラエル国防軍に伝える唯一の利点は、彼らがその座標を使って、あなたを殺害した時に、彼らが何をしていたのか正確にわかっていたことを歴史的記録に残せることだ。
 ガザ地区の一部を無作為に破壊していたところ、イスラエル軍は偶然ハマス指導者ヤヒヤ・シンワルを発見し殺害し、その後、計画的に水道技術者4人を標的にし、故意に殺害した。この二つの事実だけでも、イスラエルがガザ地区で実際に何をしているのか知るべきことは全てわかる。
 「イスラエル兵はなぜこのような残虐な行為を行えるのか?」という質問に対する答えは「なぜイスラエル国防軍は、死亡した、あるいは避難したパレスチナ人女性の下着を身につける自分たちの姿を撮影し続けるのか?」という質問に対する答えと同じだ。その答えは、イスラエルにおけるパレスチナ人の体系的非人間化のためだ。
 イスラエルは根本的に不公平な原則に基づいて建国された根本的に不公平な国家であるため、国民は根本的に不公平な世界観を生まれた時から吹き込まれる必要がある。宗教や民族の違いだけで、ある集団は、ある形で扱われ、別の集団は、別の形で扱われる社会が存在することが理解されるには、イスラエル人はパレスチナ人を人間以下と見なすように育てられなければならない。動物以下と見なすのだ。害虫以下と見なす必要があるのだ。彼らは猛烈な勢いで憎まれる必要があるのだ。

 それは邪悪だが、イスラエルを機能させる唯一の方法でもある。そうでなければ非ユダヤ人の既存文明上に「ユダヤ人国家」を築こうという発想は意味をなさず、国民の同意も得られないだろう。アパルトヘイトの虐待や果てしない暴力のない公正で温厚なイスラエルという欧米リベラル派の幻想は、まさに幻想だ。それは存在したことがなく、これからも存在せず、存在することもできない。その考え方が本質的に自己矛盾しているからだ。
 公平で公正なイスラエルという考え方を想像するのは、奴隷制度下のアメリカ南部に住み、綿花農園の所有者が労働者に賃金を払う必要がないため依然莫大な利益を得ることができる自由主義のユートピアで、奴隷がいつの日か親切で公正に扱われる可能性を想像するようなものだ。それは言葉の矛盾であり、起こり得ない。農園の所有者が得るものは、必然的に他人の人権を犠牲にして得られるのだ。

 だからこそ、奴隷所有者は皆、アフリカ系の人々に対して非人間的な考えを抱き、その考えを子どもに教えたのだ。肌の黒い人と肌の白い人が根本的に違うと信じていなければ、社会で彼らが受ける扱いが全く違う事実を、論理的かつ道徳的に納得できる形で受け入れることはできない。骨相学やその他の疑似科学は、人々の心の中のこうした誤解を解消することを狙っていた。
 パレスチナ人に対してイスラエル人が抱く憎悪が渦巻く様子を見ていると、まさにそれがわかる。死んだパレスチナ人の子どものおもちゃでイスラエル兵が遊んだり、死んだパレスチナ人女性の下着を着て大喜びで嘲笑ったりするのも、そのためだ。ガザで虐殺されているパレスチナ人を揶揄するTikTok動画をイスラエル人が作るのも、そのためだ。ヘブライ語で書かれたソーシャルメディア投稿で「翻訳」をクリックすると、まるで『我が闘争』のページを読んでいるような気分になるのも、そのためだ。根本的に不公平な原則に基づいて社会を構築すると、まさにこのような姿になる

 そして本当に不気味なのは、同じような非人間化が欧米でも見られることだ。イスラエルの犯罪への欧米の関与がそれほど密接ではないため、その程度は小さいが、イスラエル人の死とパレスチナ人の死を欧米政治メディア支配階級が全く異なる扱いをしているため、パレスチナ人の非人間化を我々は身近に目にしている。パレスチナ人の死は統計上の数字だが、イスラエル人の死は個人的なものだ。パレスチナ人は数字で死ぬが、イスラエル人は名前で死ぬ。パレスチナ人は詳細不明の恐ろしい人道的災害で死ぬが、イスラエル人は加虐的なテロ行為で虐殺される。パレスチナ人はイスラエル自衛戦争で死ぬが、イスラエル人はユダヤ人を憎む怪物に殺される。
 そして、欧米でパレスチナ人が非人間化される理由は、パレスチナでパレスチナ人が非人間化される理由と同じだ。そうでなければ社会は筋が通らないからだ。パレスチナ人が我々と同じ人間なら、我々の近隣では決して受け入れられない大量虐殺を我々の政府が支持するのは筋が通らない。ここで、それ以下の何かが必要だ。無価値のない何かが。

 欧米帝国による虐待は、こうした非人間化を軸に構築されている。なぜなら帝国は、グローバルサウスの住民に加えられる大規模軍事暴力と虐待によって維持されているためだ。こうした戦争、軍国主義、帝国主義的搾取がなければ、ワシントンを中心に世界中に広がる巨大権力構造は存続できない。だから、こうした殺人、虐待、搾取がなぜ実際には問題なく、当然なのか説明するため非常に洗練されたプロパガンダ機構が構築された。これは奴隷制度廃止前のアメリカで、骨相学が奴隷制度を正当化するために使われたのと同じで、アパルトヘイト時代のイスラエルでシオニスト教化が使われているのと同じだ。
 不正義を前提とする文明は不正義な世界観に依存する。それはイスラエルで真実で、欧米帝国全体で真実だ。それが情報生態系が今のような形になっている理由だ。
(後 略)
記事原文のurl:https://caitlinjohnstone.com.au/2024/10/20/this-mass-atrocity-is-made-possible-by-the-systematic-dehumanization-of-palestinians/