2024年10月7日月曜日

戦争を自分のために利用 ネタニヤフ首相(しんぶん赤旗)

 元イスラエル外務省政策企画部長で、国家安全保障会議の元副議長でもあるエラン・エツィオン氏が、「ネタニヤフ首相は戦争を国益のためではなく自身の政治的利益のために利用している」と述べました。しんぶん赤旗が電話で聞きました。

 イスラエルでは今回の戦争が始まる前からネタニヤフ氏の退陣を求める運動が起きていました。それは収賄、詐欺、背任の罪で起訴されて裁判にかけられていて、有罪になれば投獄される可能性もあるからです。なんとか戦争を継続することで首相の座にとどまり必死に裁判から逃れようとしているわけです
 彼は「2国家解決策には絶対反対の立場で、いまはイランと米国を地域戦争に引きずり込み、直接争わせようとしています。

 自らの利益のために、既に4万数千人(実際はこの数倍と言われる)のパレスチナ人を殺害した上に、さらにレバノンやイランにも戦線を拡大するとは、良心と正常な判断力を持つ人間のやることではありません。米国や西側の首脳たちは何故 制止しようとしないのでしょうか。

 併せてしんぶん赤旗の関連記事を紹介します。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
戦争を自分のために利用 (シリーズ ガザ 世界と1年)
                       しんぶん赤旗 2024年10月6日
 イスラエルのネタニヤフ政権はイスラム組織ハマスとの停戦合意を拒否し続け、人質の解放も実現できず、ガザでは人道的大惨事を引き起こしています。元イスラエル外務省政策企画部長で、国家安全保障会議の元副議長でもあるエラン・エツィオン氏は、ネタニヤフ首相は戦争を自身の政治的利益のために利用していると指摘します。電話で聞ました。
                               (カイロ=秋山豊)

元イスラエル外務省政策企画部長 エラン・エツィオン氏
 イスラエルでは人質解放の実現と停戦を求めて多くの人がデモを行ってきました。ネタニヤフ首相はこの声を聞かず、軍事作戦を続けてきました。彼が停戦を拒否しなければ人質の解放は可能だったはずです。
 ネタニヤフ氏は国益のために行動していません。ガザとレバノンでの軍事作戦を自分の政治的利益のために利用しています

国民は選挙望む
 世論調査によると国民の多数が早期選挙を望んでいます。ネタニヤフ氏は多くの人に退陣を求められながら、極右や入植者を取り巻きにし、イスラエル史上最も過激な政府を率い、統治を続けようとしています
 イスラエルでは今回の戦争が始まる前からネタニヤフ氏の退陣を求める運動が起きていました。彼は収賄、詐欺、背任の罪で起訴されて裁判にかけられています。有罪になれば投獄さ
れる可能性もあります。
 ネタニヤフ氏はこれを阻止するために民主主義を破壊し、最高裁の権限を弱める法改定も行いました。今も首相の座にとどまり、必死に裁判から逃れようとしています

調査委設置拒否
 ネタニヤフ氏が恐れていることがもう一つあります。ハマスは昨年10月7日にイスラエル国民を虐殺しましたが、この事態が起きた原因や、政府のその後の対応なとを調査し、責任の所在を明らかにすることです。
 この1年、ネタニヤフ氏は調査委員会の設置を拒んでいます。自分の責任が追及されて政治キャリアに大きな傷がつく代償を払うことになるからです。
 ネタニヤフ氏は戦争を拡大し、レバノンで(イランが支える武装組織)ヒズボラの指導者ナスララを殺害しました。その戦果にイスラエル政府は有頂天になったと思います。それは悲劇をもたらす危険な幻想です。
 イランは報復としてイスラエルにミサイルを発射しました。ネタニヤフ氏はイランと米国を地域戦争に引きずり込み、直接争わせようとしているのだと思います。
 ネタニヤフ氏は11月の米大統領選でトランプ氏が選ぱれた方が好都合たと考えているはずです。彼はバイデン米政権が仲介に加わる停戦交渉を否定することで、トランプ氏からの支持を再び得ようとしています。
 私はより困難な状況になったとはいえ、イスラエルとパレスチナ双方に紛争の平和的解決を求める人が大勢いると信じています。
 しかしネタニヤフ氏は2国家解決策には絶対反対の立場です。彼はパレスチナ国家の樹立を阻むことを目的にし、和平を妨げてきました。この点もネタニヤフ氏が退陣させられるべき理由の一つです。


レバノンで軍事作戦継続 イスラエル軍
                       しんぶん赤旗 2024年10月6日
【エルサレム=時事】イスラエル軍は5日もレバノンでの軍事作戦を続け、首都ベイルート南郊では爆発音が響きました。イスラム教シーア派組織ヒズボラも5日、南部の町に侵入しようとしているイスラエル軍と交戦していると明らかにしました。ロイター通信が伝えました。
 イスラエル軍は4日の声明で、地上侵攻開始後、ヒズボラの戦闘員やテロ関連施設など2000以上の標的を攻撃し、司令官ら約250人を殺害たと発表。イスラエルのメディアは、同国の治安高官が激しい戦闘は2~3週間で終わるとの見通しを示したと伝えました。
 攻勢を強めるイスラエルに対し、ヒズボラは4日もイスラエル領内へ向けて220発以上の飛翔(ひしょう)体を撃ち込むなど徹底抗戦の構えを崩していません。
 ロイターによれば、レバノン政府はイスラエルとの戦闘の死者が過去1年間で2000人を超えたと発表。大半が戦闘が激化したこの2週間の死者といいます。
 一方、イスラエル軍は4日、同国北部での戦闘で兵士2人が死亡したと発表。イスラエルのメディアによると、3日にイラクから発射されたドローンによってイスラエル占領地ゴラン高原にある軍の基地が攻撃を受け、他に24人が負傷しました。イラクの親イラン武装組織の連合体「イラクのイスラム抵抗運動」が攻撃したと主張しており、イスラエルが反発してイラク領内へ報復する可能性もあります。


対イラン報復容認 バイデントランプ両氏
                       しんぶん赤旗 2024年10月6日
国際社会の努力に逆行
 バイデン米大統領とトランプ前大統領は、イスラエルが検討するイランヘの報復攻撃を容認する発言を行っています。外交を通じたに逆行する動きです。
 バイデン氏は4日の記者会見で「イスラエルは攻撃に対抗するあらゆる権利を持つ」「私なら油田を攻撃する以外の選択肢を検討する」と述べ、油田以外が対象なら報復しても構わないという認識を示しました。バイデン氏は2日には核施設を狙った報復への反対を表明しましたが、この時もイスラエルには反撃の権利があると強調しました。
 方、「力による平和」を公約にして11月の大統領選に臨む野党共和党のトランプ氏は4日、イランの核施設を「攻撃するべきだ」と主張しました。核施設攻撃に反対したバイデン氏「間違っている」と批判し、報復をけしかけました。
 連安保理の非常任理事国10カ国は4日、中東での暴力の連鎖を非難し、外交的解決が唯一の適切な道であると強調した共同声明を出しました。グテレス国連事務総長も2日の安保理会合で「一つのエスカレーションが次のエスカレーツョンの口実となる」と懸念を示し、各国に自制と緊張緩和を要請しています。


イスラエル攻撃を正当化 イラン最高指導者
                       しんぶん赤旗 2024年10月6日
【イスタンブール=時事】イランの最高指導者ハメネイ師は4日、首都テヘランで演説し、イスラエルに加えた大規模なミサイル攻撃を「シオニスト(イスラエル)に対する最小限の懲罰だ」と正当化しました。イスラエルが明言している報復攻撃には「義務を果たすため、ためらわず、急ぎもしない」と述べ。再反撃する可能性を示唆しました。
 ハメネイ師は、イスラエルが「暗殺や破薯、爆撃を勝利の証しだと考えている」と非難。ヒズボラなどには「連携を強め、侵略者に抵抗せよ」と訴えました。
 イランのアラグチ外相は4日、空爆にさらされるレバノンの首都ベイルートを訪れ、ミカティ首相らと会談。イラン外務省報退官によると、人道支援恕環として食料や医薬品10トン分を引き渡すといいます。