2024年10月4日金曜日

04- イスラエル、レバノンに侵攻/米国、中東での戦乱拡大を狙う

 イスラエルは18年前にレバノンに侵攻しましたが、ヒズボラによって撃退されました。それまで中東での戦争で連戦連勝だったイスラエルは、思いもしなかったことでしょう。
 今回は事前にヒズボラの基地や弾薬庫などを入念に爆撃し、さらにビルの屋上から地下室まで貫入する地中貫通爆弾「バンカーバスター」等を用いてヒズボラの最高指導者ほかの要人を殺害するなどの準備をしてからの地上侵攻なので、十分な勝算があるのかも知れません。
 また機会があれば中東の大国イランを殲滅したいと思っている米国にとっては、中東で戦乱が広がるのは願ってもないことと思われます。
 Moon of Alabama(アラバマの月)の記事「ユダヤ人至上主義戦争を長期化・拡大するためイスラエル、レバノンに侵攻」と櫻井ジャーナルの記事「ウクライナを使ったロシアとの戦争に失敗した米国政府は中東での戦乱拡大を狙う」を紹介します。
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ユダヤ人至上主義戦争を長期化・拡大するためイスラエル、レバノンに侵攻
                マスコミに載らない海外記事 2024年10月 2日
                    Moon of Alabama 2024年10月1日
    罠なのだろうか?
    それはシオニストが自らに問うべき質問だ。私にとって答えは「イエス」である
   ように思われる。
 再びレバノンに侵攻しているこれまでの同様の侵攻は全て失敗に終わった。シオニスト軍は砲火を浴びて撤退を余儀なくされた。今回の侵攻がより良い結末を迎える可能性は低い。
 ズボラとそのアメリカのスポンサーは、ヒズボラ指導者サイード・ハッサン・ナスララを含むヒズボラ幹部数名を殺害することに成功したと錯乱状態にある。
 ヒズボラは明らかに、このような損失に耐えられるよう構築されているのを彼らは理解していないのだろうか? 殺害された幹部は全員既に別人に置き換わっている。もし新幹部が殺害されたら、代わりの幹部の準備ができている。
 先週まで、抵抗勢力の戦争は(不平等な)ミサイル応酬に限定されていた。イスラエルは抵抗勢力より多く発射したが、効果はそれほどではなかった。ゆっくり進行する消耗戦の性質は今や変わるだろう

 イスラエルによる地上侵攻は、まさにヒズボラが準備してきたものだ。彼らは待ち伏せ地点を準備している。武器とそれを発射するのに必要な人員は良く準備された掩蔽壕に鎮座している。
 侵攻軍はあらゆる種類の不意打ちに遭うだろう。地上部隊は、激しい事前爆撃の後でのみ進撃すると予想される。だが、山岳地帯のため、防衛軍は爆撃を生き延び、最も警戒されていない時と場所で攻撃できるだろう。軍事的犠牲者が多く出ると私は予想しているが、そのほとんどは攻撃側だ。
 この戦争はおそらく数か月続くだろう。数年に及ぶ遙かに大規模な紛争にまで容易に拡大しかねない。
 この侵攻をバイデン政権は全面的に支持している。ネタニヤフ首相に侵攻を進めるよう促した可能性さえある

 アメリカとイスラエル当局者によると、ここ数週間、攻撃を縮小するようバイデン政権
は公式にイスラエル政府に要請していたが、ヒズボラに対する軍事圧力を強化するイスラ
エルの決定をアメリカは支持するとホワイトハウス高官が非公式にイスラエルに伝えたと
いう。

 アモス・ホッホシュタイン特使とホワイトハウス中東担当調整官ブレット・マクガーク
は、ここ数週間、イスラエル高官に対し、紛争終結に向けた外交交渉に応じるよう説得す
るため、イスラエルの軍事的焦点を北部のヒズボラに移行するイスラエルのベンヤミン・
ネタニヤフ首相の広汎な戦略にアメリカは同意すると伝えたと当局者はポリティコに語っ
た。

 だが国防総省はこの作戦が成功すると確信してはいない。ある時点で、イスラエルを大敗から救うため、アメリカ軍を派遣することになるのではないかと懸念している。
 戦争をシリアに拡大し、更にはイランとの全面戦争に持ち込もうとネタニヤフ政権は全力を尽くすだろう。そのためにはアメリカの全面的軍事支援が必要になる。アメリカに対する政治駆け引きは、アメリカを更に戦争に引きずり込む狙いで行われることになる。
 アメリカの全面的支援がなければ、イスラエルは目指す地域超大国になれない。
 アメリカの全面的支援があれば、今回イスラエルが勝利する可能性は僅かながらあるかもしれない
 ヨーロッパ十字軍がレバント地方を植民地化しようとした時、彼らは獲得した土地を守るために約37の大きな城を建設した。約150年後、十字軍は去った。しかし城は今も残っている。これらの城は、これらの土地を奪取するのは容易ではなく、更に維持するのも容易ではないことを想起させてくれる。
記事原文のurl:https://www.moonofalabama.org/2024/10/israel-invading-lebanon-to-prolong-and-expand-its-supremacists-war.html#more


ウクライナを使ったロシアとの戦争に失敗した米国政府は中東での戦乱拡大を狙う
                         櫻井ジャーナル 2024.10.04
 イランが10月1日に発射した数百機の弾道ミサイルがターゲットにしていたのは、F-35戦闘機を配備するネバティム基地、ハッサン・ナスララをはじめとするヒズボラの指導者を殺害したネツァリム基地、弾道ミサイルのあるテル・ノフ基地、モサドの本部など。イランのミサイルはイスラエルが誇る防空システム「アイアン・ドーム」を突破、大半が命中したことは撮影された多くの映像で確認されている。「被害は軽微」というイスラエル政府の発表は逆効果だ。
 そのイスラエル政府は数日以内に大規模な報復を開始すると主張している。イランの石油精製施設や核関連施設を攻撃するのではないかとも言われているが、そうなった場合、イランは中東の親米国にある石油施設を破壊する可能性がある。その前にイスラエルを破壊するかもしれない。またイラクやシリアの反シオニスト勢力は中東全域のアメリカ軍基地を攻撃すると見られている。

 バラク・オバマ政権当時からジョー・バイデンやジェイク・サリバンはアメリカを戦争へと導いてきた。退任したビクトリア・ヌランドも背後では蠢いているだろう。現政権ではトニー・ブリンケン国務長官も好戦派のひとりだ。バイデンに判断能力があるとは思えないので、ホワイトハウスでロシアやイランとの戦争を率いているのは国家安全保障担当大統領補佐官のサリバンだろう。
 本ブログでは繰り返し書いてきたが、パレスチナに「ユダヤ人の国」を作り上げたのはイギリスを支配していたアングロ・サクソンとユダヤの富豪たちだ。
 シオニズムを出現したのはエリザベス1世が統治していた16世紀後半のこと。この時期にイギリスではアングロ-サクソン-ケルト⇒欧州先住民族が「イスラエルの失われた十支族」であり、自分たちこそがダビデ王の末裔だとする信仰が現れたのである。ブリティッシュ・イスラエル主義とも呼ばれている。
 ちなみに、旧約聖書の記述によると、イスラエル民族の始祖はヤコブだとされている。彼には12人の息子があり、それぞれ支族を形成、そのうちユダ族とベニヤミン族の後裔とされる人びとが「ユダヤ人」と呼ばれている。残りは行方不明で、旧約聖書を信じる人びとから「失われた十支族」と呼ばれている。

 ところで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は修正主義シオニズムの直系。父親のベンシオンはゼエヴ・ウラジミル・ジャボチンスキーの秘書だった。ネタニヤフ政権には狂信的なユダヤ至上主義者も少なくない。
 ネタニヤフ自身、昨年10月にガザで戦闘が始まった直後、パレスチナ人虐殺を正当化するために「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)と語っている
 旧約聖書には、「アマレク人」を家畜ともども殺し、その後に「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたと記述されている。
 アマレク人は歴史の上で存在が確認されていないが、この民族をイスラエルが敵視している勢力に重ねて見せた。パレスチナ人が生活していた歴史を破壊で消し去るということだろう。
 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザやレバノンでイスラエルで行われていることであり、イランやロシアも殲滅する対象だと考える勢力がアングロ・サクソンとユダヤのエリートには存在している。こうした勢力はロシアも「ゴグ⇒神によって亡ぼされた旧約聖書の王」とみなしているのだ。

 ウクライナでは西側に支援されたネオ・ナチ体制がロシアに敗北しつつあるが、欧米はロシアの勝利を容認できない。そこでウクライナ人に「総玉砕」を命じている

 ウクライナにおけるロシアの勝利を容認できないアメリカ政府はイスラエル政府にガザでの虐殺やレバノンへの軍事侵攻、さらにイランに対する挑発を容認した。これはロシアを中東へ引き出すことが目的ではないかと推測する人もいるが、そこで戦乱が広がれば世界経済の崩壊は避けられない。