海外の記事を紹介する「耕助のブログ」に掲題の記事が載りました。
中東の戦争は、ガザとレバノンとイエメンに留まらず、イランにまで延びかねない勢いです。米英は盛んにイスラエルに加勢しイエメンを攻撃していますが、最終的にはイランを潰したいというのが本音で、米国がイスラエルを手駒にしている所以です。
米国は世論が許すならば何時でもそうしたいのでしょうが、さすがにそうはなりません。何よりもイランが極めて抑制的であるからです。
いずれにしても米国が望むような展開にはならないということです。
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新しい中東の「産みの苦しみ」は、米国が望むようにはならない
耕助のブログNo. 2302 2024年10月17日
The ‘Birth Pangs’ of the New Middle East …
… May Not Be the Ones the US Has Wished For
by b
FTのエドワード・ルース記者:
いかにしてネタニヤフがバイデンの「上を行っているか」(アーカイブ){1}
米国大統領は中東から手を引くことを望んでいた。しかし、同地域での混乱は選挙
に影響を及ぼし、彼の政治的業績を決める可能性がある。
「ネタニヤフは、ワシントンゲームをうまくやる方法を米国の政治家たちよりもよく
知っている」と、元イスラエル外交官で、現在はHaaretz紙のコラムニストのアロ
ン・ピンカスは言う。「そしてネタニヤフはバイデンの上を行っている」
この1年間に数え切れないほど、ネタニヤフはワシントンとある点では合意したように見せかけて、実際にはその反対のことを行ってきた。ガザ停戦と人質解放の条件をめぐる駆け引きにせよ、あるいは最近ではヒズボラとの21日間の停戦を試みたことにせよ、そのたびにバイデンは無力をさらした。「バイデン政権は『私たちは秋湿で苦しんでいる』と言っているように見える。いや、これは季節的な湿気ではない。ネタニヤフがあなたたちに小便を浴びせているのだ」とピンカスはいう。
「ネタニヤフはバイデンにごり押ししている。かわいそうなバイデンはどうすることもできない」というのが、しばらくの間メディアキャンペーンの一般的なテーマであった。
私はそうは思わない。ホワイトハウスからペンタゴンに電話一本かければ、米国からイスラエルへの補給飛行機を差し止められる。絶え間なく補給が続けられなければ、イスラエル空軍は数時間以内にせよ、数日以内にせよ、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、レバノン、シリア、イエメンへの爆撃作戦を中止せざるを得なくなるだろう。
しかし、ペンタゴンに電話する代わりに、バイデン、アントニー・ブリンケン、ブレット・マクガーク、イスラエル国防軍(IDF)の兵士アモス・ホックスタインを中心とする中東チームはイスラエルに空爆作戦の延長を強く求めてきた。{2}
彼らは、2006年のブッシュ政権下におけるネオコンたちと同様に、「新しい中東の誕生」{3}を期待している。それによって現地の戦略的状況は永遠に変わることになるだろう{4}。
舞台裏では、ホックスタイン、マクガーク、そして他の米国の国家安全保障のトップ
高官たちが、イスラエルのレバノン作戦を歴史を左右する瞬間であると表現している。
それは、今後何年にもわたって中東をより良い方向に変えていくものだ。
その考えはこうである:イスラエルはレバノンにおけるヒズボラの最高司令構造を壊
滅させ、ヒズボラの能力を大幅に低下させ、ヒズボラを代理勢力および軍事力として利
用していたイランを弱体化させた。
ここ数日、国内の行政部門はいくらか消極的になっているようで、米国高官らは月曜日、
ホワイトハウスでジョー・バイデン大統領と現地の状況について協議した。ほとんどの
参加者は、この紛争は脆弱ではあるがレバノンおよび中東地域におけるイランの影響力
を弱める機会になりうるとの意見で一致した。
これから導かれる結論は、ネタニヤフはバイデン政権が望むことをほぼ正確に行っているということだ。
戦略的状況は変化する可能性がある。しかし、それはバイデンとネタニヤフが望むような形にはならないだろう。
2日前にイランがイスラエルに発射した200発のミサイルのほとんどは、イスラエルの防空システムをすり抜け、正確に標的に命中した。{5} 高価な航空機がいくつか損傷したが、死者は出ていない。同様の攻撃がイスラエルのエネルギー施設に対して行われれば、今後数ヶ月から数年間、同国を機能不全に陥れる可能性がある。イスラエル国防軍の兵舎やイスラエル国内の人口密集地に対する攻撃は、多数の死傷者が出る可能性が高い。
空爆の直後、マスード・ペゼシュキアン大統領はカタールのドーハでサウジアラビアのファイサル・ビン・ファハド・アル=サウード外相と会談した:
サウジアラビア外相は、イランとの関係を発展させるという同国の決意を表明したと、
新華社通信が伝えた。
「我々は、両国の相違のページを永遠に閉じ、友好的な兄弟国として、問題の解決と関
係の拡大に向けて取り組む」と彼は述べた。
同氏は、イスラエルのガザ地区とレバノンに対する「侵略」および同地域での紛争拡大
の試みにより、西アジアが「非常に敏感かつ重大な」状況にあると強調した。また、サ
ウジアラビアは、この状況を管理し、同地域に平穏と平和を取り戻すために貢献するイ
ランの知恵と識見を信頼していると述べた。{6}
昨日、イランの最高指導者であるアヤトラ・アリ・ハメネイは、テヘランで金曜礼拝を行った。{7} 西洋のメディアではほとんど報道されていないが、彼の説教は主にアラビア語で行われ、その様子はアルジャジーラを通じてアラビア語の生中継テレビで全世界に放映された。
これはすでに新しい中東であり、湾岸諸国はもはやイランに対して敵対的ではなく、スンニ派とシーア派の宗教的分裂もその力をほぼ失っている。
では、かつての米国の同盟国は誰が残っているのだろうか?イランを攻撃しようとする際に、その地域で誰に支援を求めることができるのだろうか?
この米国とイスラエルの戦闘は、本当に「レバノンおよびその地域におけるイランの影響力を弱める」のに役立ったのだろうか? それを継続すれば、本当にそうなるのだろうか?
私の印象では、イスラエルに対する包囲網と中東内外におけるイランの立場を強化しただけだ。
Links:
{1} https://www.ft.com/content/547c2d73-18f8-4af7-b49c-c916b7a9e12c
{2}https://www.politico.com/news/2024/09/30/us-israel-military-hezbollah-00181797
{3} https://www.eschatonblog.com/2024/10/birth-pangs.html
{4}https://www.politico.com/news/2024/09/30/us-israel-military-hezbollah-00181797
{5}https://horsdoeuvresofbattle.blog/2024/10/04/imint-irans-strike-on-nevatim-airbase/
{6}https://indiatribune.com/iran-saudi-arabia-vow-to-resolve-differences-boost-ties
{7}https://www.msn.com/en-us/news/world/irans-khamenei-urges-allies-to-step-up-struggle-against-israel/ar-AA1rIkyB
https://www.moonofalabama.org/2024/10/the-birth-pangs-of-the-new-middle-east-may-not-be-the-ones-the-us-has-wished-for.html
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。