植草一秀氏が掲題の2つの記事を出しました。
石破新体制発足の瞬間から激しい石破氏攻撃が展開されていますが、攻撃している第一の勢力は日本支配者の米国で日本の首相に完全服従を求めているが、石破氏はその姿勢を示さないからで、第二は旧安倍派勢力で、総裁選でも旧安倍派は最後まで石破氏を支援せず、石破氏と最も距離がありました。
そして第三は財政緩和・金融緩和を求める勢力で、それを主張する高市氏が石破氏批判を展開しています。
植草氏は、日本円暴落は外国資本による日本乗っ取りを助長する亡国の施策であり、金融政策を正常化して日本円を防衛することが必要不可欠であるとして、石破攻撃の出所を正確に把握し、石破新体制破壊を目指す情報工作に警戒する必要があると警告しています。
併せてもう一つの記事:「メディアが石破内閣叩く理由」を紹介します。
こちらでは石破首相が村上誠一郎氏を総務大臣に起用したことをアベノミクス信奉者、右翼勢力が批判しているのと メディアが足並みを揃えて激しい石破内閣攻撃を展開していることについて、この攻撃を主導しているのは米国支配勢力と対米隷属右翼勢力なので、メディアの石破内閣攻撃を安易に受け入れることには慎重であるべきだとしています。
そして金融政策の正常化は必要不可欠であるが、財政の健全性を判定する際には、資産と負債のバランス=貸借対照表を踏まえて評価しなければならないとして、日本政府は債務をはるかに超過する資産を保有していて、差引100兆円を超える資産超過なので財政破綻リスクは存在しないと述べています。
そして問題は「貴重な財政資金の無駄遣い=利権支出のバラマキの突出」をしていることで、「単に緊縮財政を主導するのではなく、利権支出を切り、広くあまねく国民生活を支える財政支出を拡充する」方向に政策を転換することが重要になると述べています。
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石破内閣を冷静に評価する視点
植草一秀の「知られざる真実」 2024年10月12日
衆議院総選挙が10月15日に公示される。投開票日は10月27日。自民に逆風が吹いての総選挙。
逆風の主因は二つ。第一は自民党と統一協会の癒着が明らかにされたこと。
2022年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺された。実行犯は統一協会信者の家族とされている。ただし、事件経過に不審な点が多く、実行犯は逮捕・起訴された山上徹也被告ではないとの説も存在する。
この事件をきっかけに自民党と統一協会との関りがクローズアップされた。
岸田元首相は自民党と統一協会の関係を断ち切るとしたが両者の関係についての調査を拒絶した。
いまなお、地方議員を含めて多くの自民党議員が統一協会との関係を断ち切れていないとする見方が根強い。この問題に対する疑念が渦巻いている。
第二は政治とカネ。
政治資金規正法は政治資金収支を公開し、政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われ、もって民主主義の健全な発展に資することを目的に制定された。
政治資金収支公開が法律の根幹である。
多数の自民党議員が政治資金収支を公開せず裏金化していた。
自民党による巨大組織犯罪である。裏金犯罪行為を実行した議員が85名。
1000万円を超える違法行為を実行した議員が21名存在した。
警察・検察が厳正に摘発するべきだが日本の警察・検察は権力犯罪を適正に取り締まらない。
刑事事件として立件された議員は3名にとどまった。
二つの重大問題の中核に位置したのが自民党安倍派。
岸田元首相は9月総裁選での再選見通しが立たず、首相を辞任した。
選挙の顔を変えてイメージを変え、支持率が上昇したタイミングで総選挙を挙行するシナリオが描かれて9月総裁選が実施された。
総裁選1回目投票で高市早苗氏が1位に躍り出たが決選投票で敗北。
新首相に就任したのは石破茂氏だった。
その石破新体制発足の瞬間から激しい石破氏攻撃が展開されている。攻撃しているのは三勢力。
第一は日本支配者の米国。米国は完全服従の日本首相を求める。小泉純一郎氏、安倍晋三氏、岸田文雄氏はこの系譜に属するが、石破氏は完全服従の姿勢を示さない。
第二は旧安倍派勢力。自民党総裁選でも旧安倍派は最後まで石破氏を支援しなかった。
石破氏と最も距離があるのが旧安倍派である。
裏金議員の処遇について、当初は全員公認との情報が流布されたが、これに対する世論の反発がすさまじく、石破新総裁は12名に対して公認しない判断を示した。
また、裏金議員に対して比例代表での重複立候補を認めない方針も示した。
この措置に対して世論は「不十分」、旧安倍派議員は「厳しすぎる」との声を上げている。
どのように行動しても必ず批判が生じる。中庸な選択を示したと言える。
しかし、旧安倍派勢力が石破氏攻撃を激化させていることは間違いない。
第三は財政緩和・金融緩和を求める勢力が石破氏批判を展開している。
これも実は高市支持派と重なる部分が大きい。高市氏が財政緩和・金融緩和を主張している。
しかし、異常な金融緩和が異常な日本円暴落をもたらした。
日本円暴落は外国資本による日本乗っ取りを助長する亡国の施策。
金融政策を正常化して日本円を防衛することが必要不可欠。
石破攻撃の出所を正確に把握し、石破新体制破壊を目指す情報工作に警戒する必要がある。
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メディアが石破内閣叩く理由
植草一秀の「知られざる真実」 2024年10月10日
『月刊日本』なる言論誌がある。 https://x.gd/X3FBn
創刊は1997年4月。創刊27年を超えた。
「独立自尊の日本を目指し、権力と闘う言論誌」とある。
私も多くの寄稿をしたのちに連載を担当している。
連載記事「植草一秀の『月刊・経済時評』」は154回を重ねた。
直近号である2024年10月号のメインテーマは「総裁選」。
石破内閣で総務大臣に就任した村上誠一郎氏がインタビュー記事を寄稿している。
タイトルは「総裁選の使命は「安倍政治からの脱却」」
この主張を掲げる村上氏を石破氏が重要閣僚として起用。
村上氏はかねてより安倍晋三氏を厳しく批判してきた論客である。
安倍内閣の財政・金融政策、外交を厳しく批判する。
また、森友事件で官僚機構を破壊したことも非難。
統一協会に選挙を手伝わせたことも批判している。
石破首相が村上誠一郎氏を総務大臣に起用したことをアベノミクス信奉者、対中国・対韓国敵対指向の右翼勢力が批判している。
これと足並みを揃えてメディアが石破内閣発足直後から激しい石破内閣攻撃を展開している。
この攻撃を主導しているのは日本支配者である米国支配勢力と対アジア敵対外交を主導する対米隷属右翼勢力だ。
したがって、メディアの石破内閣攻撃を安易に受け入れることには慎重であるべきだ。
メディアの情報誘導、メディアコントロールが際立つ。
自民党総裁選でアベノミクスをいまなお継承すると唱えたのが高市早苗氏。
しかし、アベノミクスの中核を占める金融超緩和政策は重大な問題を引き起こしてきた。
日本における4%を超えるインフレと日本円暴落。
高市氏は経済安保担当相でありながら日本円暴落を一度も問題視しなかった。
信じがたい失態である。
日本円暴落によって何が起きているのか。
日本の優良不動産、水資源、観光資源、企業所有権が激しい勢いで海外流出している。
高市氏が毛嫌いする中国資本が日本の優良資産の所有権を根こそぎ獲得しつつある。
この状態に対して無防備どころか、金融緩和拡大でさらなる円暴落を誘導し、外国資本による日本乗っ取りを助長しているのだから開いた口が塞がらない。
また、4%を超えるインフレは労働者実質賃金を大幅減少させる。
労働者実質賃金を増大させる最重要の施策はインフレ抑止である。
この意味で金融政策の正常化は必要不可欠だ。
石破首相も村上総務相も金融政策正常化を肯定している。
ただし、日銀政策変更に対する思惑で、行き過ぎた株価暴落が生じる場合には、これを回避しなければならない。
自民党総裁選で石破氏が勝利した後に円高と株安が生じたことを、高市氏支援勢力が「政争の具」にして「石破内閣で株価暴落」を激しくアピールしたことに対し、石破首相が金融政策の慎重な運営を求めるメッセージを発信して対抗した。
結果として株価は自民党総裁選時の高値水準を更新し、高市氏支持勢力の思惑は封殺された。
他方、財政政策運営については石破氏も村上氏も重要な視点を欠いている側面がある。
財政運営の健全性確保は重要だが、財務省が喧伝する日本が財政危機に直面しているとのアピールは虚偽である。
財政の健全性を判定する際に債務の規模だけを見るのは間違いだ。
資産と負債のバランス=貸借対照表を踏まえて評価しなければならない。
日本政府は巨額の債務を抱えているが、債務をはるかに超過する資産を保有している。
負債から資産を差し引いた「純債務」は100兆円を超えるマイナス。
100兆円を超える資産超過である。したがって財政破綻リスクは存在しない。
問題は貴重な財政資金の無駄遣いが大きすぎる点にある。
利権支出のバラマキが突出している。
石破内閣が安倍政治からの脱却を目指すことは正しい。
その際、財政政策については、単に緊縮財政を主導するのではなく、利権支出を切り、広くあまねく国民生活を支える財政支出を拡充する方向に政策を転換することが重要になる。
機会があれば石破氏に直接この点を伝達したい。
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(後 略)
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。