2024年10月7日月曜日

07- 着眼点と調査力 本領発揮 JCJ賞贈賞式 「赤旗」日曜版に大賞

 5日、しんぶん赤旗日曜版に対して67回日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞が贈呈されました。日曜版のJCJ大賞受賞は20年に続き2回目です。

 受賞の対象は、日曜版が23年から24にかけて行った「自民党派閥パーティー資金の『政治資金報告書不記載』報道と、引き続く政治資金、裏金問題に関する一連のキャンペーン」であり、公開されている膨大な政治資金報告書から、しんぶん赤旗日曜版の記者や神戸学院大学の上脇博之教授一つ一つを地道に積み上げ検察の捜査にまでつなげ、『大政治犯罪であることを明らかにしたものです。
 上脇教授は記念講演を行い、山本豊彦日曜版編集長が授賞への感謝のスピーチを行いました。
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着眼点と調査力 本領発揮 JCJ賞贈賞式 「赤旗」日曜版に大賞
                       しんぶん赤旗 2024年10月6日
 すぐれた報道を表彰する第67回日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の贈賞式が5日、東京都内で開かれました。

 神戸学院大学の上脇博之教授が記念講演。「国民が報道を知ることで新たなアクションを起こしたり、問題を起こした政党・政治家の評価を変えることができる。ジャーナリズムの精神をもって報道機関が仕事を果たすことは、民主主義になくてはならない」と強調しました。
 「自民党派閥パーティー資金の『政治資金報告書不記載』報道と、引き続く政治資金、裏金問題に関する一連のキャンペーン」で2024年度の大賞を受賞した「しんぶん赤旗」日曜版編集部に賞状とトロフィーが贈られました。日曜版のJCJ大賞受賞は20年に続き2回目です。
 JCJは大賞の選考理由として「『しんぶん赤旗日曜版』の報道は、2023年から24年にかけての日本の政治を揺り動かした」と指摘。「公開されている膨大な政治資金報告書から、一つ一つを地道に積み上げ、検察の捜査にまでつなげ、それが大政治犯罪であることを明らかにした」と評価しています。
 選考委員の上西充子さん(法政大学教授)は「政治資金パーティーに違和感を持ったその着眼点と、一つ一つのPDFファイルを丹念に調べ上げた地道な調査力はジャーナリズムの本領を発揮したものと評価できる」と表彰理由を紹介しました。
 そのうえで「裏金議員を公認するかが問題となるなかで“ルールを守る自民党”をウリにしようとしている。しかし、どういうふうにルールを守っていなかったかを思い出しながら自民党の言葉を聞いていかなきゃいけない。そういうタイミングでJCJ大賞を表彰できたのはいいことだし、『しんぶん赤旗』日曜版の報道に注目してほしい」と話しました。
 日曜版の山本豊彦編集長は「裏金問題が自民党の組織的犯罪、『大政治犯罪』であることを、これからも粘り強く追及していきます」とスピーチしました。(スピーチ要旨下掲


JCJ賞贈賞式 着眼点と強い意思で 山本・「赤旗」日曜版編集長スピーチ(要旨)
                       しんぶん赤旗 2024年10月6日
 第67回日本ジャーナリスト会議(JCJ)賞の贈賞式(5日)で、JCJ大賞を受賞した「しんぶん赤旗」日曜版の山本豊彦編集長のスピーチ(要旨)は以下の通りです。

 2024年度のJCJ大賞に、「赤旗」日曜版の「自民党派閥パーティー資金の『政治資金報告書不記載』報道と、引き続く政治資金、裏金問題に関する一連のキャンペーン」を選んでいただいたことに、心から感謝いたします。
 JCJによる授賞理由についてのコメントは裏金問題の核心を突くものです。「『しんぶん赤旗日曜版』の報道は、2023年から24年にかけての日本の政治を揺り動かした」「公開されている膨大な政治資金報告書から、一つ一つを地道に積み上げ、検察の捜査にまでつなげ、それが大政治犯罪であることを明らかにした」と、裏金問題が「大政治犯罪」であることをズバリ指摘しています。
 裏金問題で、岸田政権は倒れました。石破政権が誕生しましたが、裏金問題が「大政治犯罪」であるとの認識を持っているのでしょうか。
 日曜版(10月6日号)では、石破派も「裏金」疑惑があるとのスクープを打ちました。ただちに神戸学院大学教授の上脇(博之)さんが告発してくれました
 裏金問題は、一部の議員の問題ではありません。自民党の組織的犯罪、「大政治犯罪」であることをこれからも粘り強く、追及していきます。

本質見極め
 メディアの取材で「裏金取材は何人のチームでしたのですか」とよく聞かれます。基本的には、この会場に来ている山田健介デスクと笹川神由(かみゆ)記者の2人です。
 日曜版編集部は4年前、「安倍晋三首相の『桜を見る会』私物化スクープと一連の報道」でJCJ大賞をいただきました。今日、選考委員としてお話をしていただいた、上西充子さん(法政大学教授)が、「桜を見る会」報道でのJCJ大賞受賞について談話をくださいました。「『赤旗』日曜版が違ったのは、この問題を安倍政権による『私物化』の問題だととらえ、報じるべきだと考えたことです。漫然と取材をしているだけでは、こうした問題意識を持つことはできません。『私物化は安倍政権の本質』と見極めたその着眼点が、JCJ大賞として評価されたのだと思います」
 ここで上西さんが言われた着眼点、問題意識の問題は、今回の裏金報道でも同じです。

 私たちは、長年、政治資金パーティーを追っていました。なぜなら、政治資金パーティーは企業・団体献金の大きな「抜け穴」となっていたからです。なぜ、企業・団体献金にこだわるのか。企業・団体献金は、政治をカネでゆがめる、民主主義にとって重大な問題だと思っているからです。

市民と連携
 ではどのようにして、裏金事件の端緒となった「自民党5派閥が、大口購入者2500万円分を不記載にしていた」というスクープにたどりついたのか。
 派閥の政治資金を調べる場合、ふつうは、派閥の政治資金収支報告書を調べます。しかしそこを調べても、不記載にした分は当然、載っていません。そのため、支出した側の政治団体を調べることにしました。しかし、政治団体の数は全国で約6万あります。
 上脇さんが「気が遠くなるような地道な作業」と言うほどです。
 政治資金パーティーは企業・団体献金の大きな「抜け穴」という視点、政治をカネでゆがめる企業・団体献金を禁止させるという、強い意思があったからできました。
 ジャーナリストの田原総一朗さんは「『赤旗』が裏金問題を追及できるのは、日本共産党が党員の活動によって支えられていて、裏金に無縁でいられるからだ」と語ってくれました。企業・団体献金も政党助成金ももらわず、歯を食いしばって自前で財政をつくっている日本共産党の機関紙だからできたと思っています。
 裏金事件の報道では、上脇さんをはじめとする専門家や市民のみなさんとの連携の大切さを痛感しています。上脇さんのしつこいほどの刑事告発があってはじめて東京地検特捜部が動き、裏金事件として立件したと思っています
 これからも私たちは市民のみなさんと連携し、権力監視をつづけていくことをお約束し、受賞のあいさつといたします