2012年11月29日木曜日

大飯原発運転差し止め訴訟を30日に提訴


大飯原発(34号機)は、夏場の電力需要ピークを凌ぐために必要だとして、野田首相の意味不明な安全保障のもとに再稼働しました。
しかし需要ピークが過ぎたいまも、敷地内に活断層があるという疑いを背負ったままで稼働しています。活断層の追加調査を正確に行うためにも、原子力規制委は大飯原発を停止させるべきだという声は、各所で上がっています。 

そうしたところ、大飯原発の運転差し止めを求める訴訟が、30日に福井地裁に出されることが分かりました。
①専門家同士で評価が分かれているF-6断層を、これから運転しながら調査するのではなく、直ちに運転を停止して行うべきだ ②大飯原発の稼働がないままでも夏場のピーク電力が賄えた ③大地震の際には制御棒の挿入が遅れるので危険だ (原子炉の核反応が直ぐに停止できない) 等を運転差し止め理由の骨子として、人格権と環境権を差し止め請求の法的根拠としているということです。 

これに関連する以下の3つの記事を紹介します。
福井新聞「原告団、訴状で活断層可能性主張 大飯原発運転差し止め、30日提訴」
毎日新聞「社説 大飯原発の断層 運転止めて調査が筋だ」
福井新聞「『専門家いない活断層調査は問題』 原子力規制委調査団の渡辺教授」
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原告団、訴状で活断層可能性主張 大飯原発運転差し止め、30日提訴
福井新聞 20121128

 30日に福井地裁に提訴する関西電力大飯原発34号機(福井県おおい町)の運転差し止め訴訟で、原告団は27日、訴状の内容を明らかにした。同原発敷地内を走る「F-6断層(破砕帯)」が活断層の可能性があると主張。大飯原発を再稼働させなくても電力は足りるとし、運転すべきではないと訴えている。 

 訴状でF-6断層は、原子力規制委員会が活断層かどうかを調査している段階とし「専門家同士で評価が分かれている。運転しながら調査するのではなく、直ちに運転を停止すべきだ」と指摘している。
 国の「安全審査の手引き」は、原子炉建屋など重要施設を活断層上に設置することを認めていないことから「活断層が疑われる場所に原発を建設することは許されない」と強調した。 

 電力需給の観点では、今夏で最も需要が多かった83日の最大需要は2682万キロワットで、ピーク時供給量の2999万キロワットを大きく下回ったことに着目。その差の317万キロワットは34号機の合計出力236万キロワットを上回っていたことや、関西電力と同じ60ヘルツで電力を融通しやすい中部電力以西の電力5社の供給余力は合計約670万キロワットあったことなどから、再稼働させる必要はないとした。 

 核分裂反応を抑えるための制御棒の挿入にかかる時間も問題視した。同原発では、周辺にある3つの断層が連動する地震の危険性を考慮しなければならないと指摘。この場合、振動が激しくなり制御棒の挿入にかかる時間は評価基準値を大幅に超えることが明らかで、重大事故につながると主張している。 

 訴訟では県内を中心に約120人が原告団に加わり、人格権と環境権を差し止め請求権の法的根拠としている。
 原発差し止め訴訟の福井地裁への提訴は、1985年の高速増殖炉「もんじゅ」差し止め訴訟以来となる。
 

【社説】 大飯原発の断層 運転止めて調査が筋だ
毎日新聞 20121125

 敷地内に活断層はあるのか、ないのか。白黒の決着がつかないまま、関西電力大飯原発34号機(福井県)の稼働が続いている。
 原子力規制委員会は、関電に追加調査を指示し、その結果を踏まえて稼働の是非を判断する方針だが、活断層が動くことがあれば重大な事故につながりかねない。追加調査を進めるとしても、運転を止めてから行うのが筋だろう。規制委は稼働停止を関電に要請すべきだ。 

 島崎邦彦・委員長代理と関係学会から推薦された専門家4人で作る規制委の調査団は今月上旬、現地調査を行い、2度の評価会合を開いた。
 現地調査では、敷地北端の調査溝(トレンチ)から地層のずれが見つかった。関電は地滑りが原因だと主張した。調査団も、活断層なのか地滑りなのかで意見が分かれたが、活断層の可能性を否定する専門家はいなかった。現行の原発耐震設計審査指針が「活断層」とする「12万13万年前以降」に動いた点については意見が一致した。現時点では「ずれ」が活断層である疑いは否定できないことになる。 

 だが、規制委の田中俊一委員長は「何の根拠もなしにこういったものを簡単に判断できるほど世の中は甘くはない」と語り、全国で唯一稼働中の大飯原発の停止を、直ちに求めることを否定した。調査前に田中委員長は「濃いグレーの場合もそれなりの判断をする」と話していたが、どの段階から濃いグレーになるのかもはっきりしない。規制委との意見交換会に出席した有識者から、停止を求める声が出たのは当然だ。 

 そもそも大飯原発3、4号機は、政府が暫定的にまとめた安全基準に従って7月に再稼働された。事故時の対策拠点となる免震棟建設など時間がかかる対策は後回しで、地域防災計画の見直しもできていない。活断層の現地調査も、本来なら再稼働前に実施すべきだった。 

 東日本大震災をきっかけとした原発周辺の断層再評価作業の過程で、活断層が見逃されていた可能性のある原発が相次いで浮上している。規制委は福井県の日本原子力発電敦賀原発など5施設も現地調査する。見逃しの背景に、電力会社と規制当局のもたれ合いがなかったかも、あわせて検証を進める必要がある。 

 島崎委員長代理は大飯原発の追加調査について「データがきちんとそろえば一致した結論に至る」と言うが、他の原発の調査を含め、活断層の存在が否定できないケースも出て来るはずだ。その際に、最優先されなければならないのが、国民の安全だ。規制委は、「グレー」判定にとどまる原発に対しても、稼働停止や廃炉を求めていくべきである。
 

「専門家いない活断層調査は問題」 原子力規制委調査団の渡辺教授
福井新聞 20121125

 関西電力大飯原発(福井県おおい町)の敷地内断層(破砕帯)に関する原子力規制委員会調査団メンバーの渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)が24日、福井県敦賀市福祉総合センターで講演した。敦賀半島の活断層と原発敷地内断層の関連などについて話した。
 市民団体が中心となって組織した実行委員会が開催。市民ら約200人が参加した。 

 渡辺教授は「若狭湾の原子力発電所と活断層」と題して講演。過去の原発敷地内の活断層調査に変動地形学の専門家が加わっていなかったことが大きな問題とし「事業者の調査方法、国の審査は不適切だ」と述べた。

 渡辺教授は、1212日に日本原電敦賀原発敷地内で行われる破砕帯の現地調査団メンバーではないが、専門家による詳細な調査の必要性を訴えた。