2012年11月28日水曜日

福島の健康調査は「不十分」、問題がある と指摘

 26日、国連人権理事会の助言者アナンド・グローバー氏が都内で記者会見し、福島県民の健康調査について、対象範囲が不十分であり放射能汚染区域全体で実施すべきこと、健康診断・アンケートの内容が不足していること、検査結果の開示方法に問題があること、子どもの症状について別の医師の見解を聞いたり、検査を受けたりする権利が守られていないこと、などを指摘しました。 

 検査結果の開示が不十分であり、別の医師による再診断が福島県内では事実上受けられないことについては、当初から、そして繰り返し市民団体や人権団体から改善を要求されていました。 

 以下に二つの記事を紹介します。
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福島の健康調査「不十分」 国連人権理事会の助言者が指摘
朝日新聞 20121126

 東京電力福島第一原発事故の影響を調べるため、来日した国連人権理事会の助言者、アナンド・グローバー氏が26日、都内で記者会見した。福島県民への健康調査について「不十分」と指摘。さらに「除染のあり方などを決める場に住民が参加していないのは問題」と述べた。  

 インド人弁護士のグローバー氏は、福島県民らの「健康を享受する権利」が守られているか調べるため、政府や東電関係者、県民らから事情を聞いた。この結果は来年6月の国連人権理事会(前身・人権委員会)に報告され、日本政府に勧告すべきか議論される。 

 福島県などが行っている子どもの甲状腺検査や一般的な健康診断、アンケートについて「内容が不足している。チェルノブイリの教訓や、100ミリシーベルト以下でもがんなどの健康影響があるとする疫学研究を無視したものだ」と批判した。具体的な提案、改善策にはふれなかった。 

 また、甲状腺検査を受けた子どもの保護者が検査記録を入手するには、県の複雑な情報公開請求手続きが必要なことについても言及。「別の専門家の意見を聞いたり、検査を受けたりできる権利が守られていない」と懸念を示した。

 さらに、健康調査だけでなく、避難区域の解除や除染の枠組み決定のプロセスについて、グローバー氏は「住民が参加していない。健康に影響が及ぶ意思決定やモニタリングなど、すべての過程に住民が参加すべきだ」と指摘しました。(大岩ゆり)
 

原発事故、健康調査の拡大求める 国連報告者
東京新聞20121126 

 東京電力福島第1原発事故後の日本政府による健康対策などの調査のため来日している国連人権理事会の特別報告者アナンド・グローバー氏は26日、福島県が実施している健康管理調査について「対象が(福島)県民などに限られ範囲が狭い」と述べ、政府に対し、より広範囲での調査実施を求める考えを示した。東京都内で記者会見した。 

 グローバー氏は15日から来日し「健康を享受する権利」の保護を目的に宮城、福島両県の被災者や政府関係者らからヒアリングを実施。来年6月、人権理事会に最終報告書を提出する。

 健康調査の拡大について、具体的な範囲は明示しなかったが「放射能汚染区域全体での実施」を要請した。