地方自治体職員の約70万人が非正規労働者であることが分かりました。その比率は職員の33%に当たり4年前に比べて5.5%アップしました。
年収が相対的にトップレベルにある正規職員と、年収200万円以下の非正規職員が同じ役所で机を並べているという現実の中で、自治体は人件費を削減するために非正規労働者を増やしてきたわけです。
民間企業の経費節減の発想がそのまま自治体にも取り入れられて、自らワーキングプアを生み出すことに加担していて良いのでしょうか。自治労には、こうした「官製ワーキングプア」をなくすためにも、彼らの待遇改善にもっともっと真剣に取り組んで欲しいものです。
以下に熊本日日新聞の記事を紹介します。
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【射程】 官がつくるワーキングプア
熊本日日新聞2012年11月15日
自治労の調査で、都道府県や市町村など地方自治体の職員のうち、非正規職員が33・1%を占めていることが分かった。
調査は6月1日付で、自治労の加盟労組がある1349時治体のうち845時治体が回答した。非正規の割合は2008年の前回調査から5・5ポイント上昇。人件費削減のため、正規から非正規への職員置き換えが進む現状が浮き彫りになった。
熊本県内は30・78%。県は13・30%だが、熊本市は32・46%。町村では39・02%に達し、「今や非正規職員なしでは行政サービスは成り立たない状況」と自治労県本部。
33%という割合は、教員や消防、警察などを除く全国の自治体で約70万人が非正規で働いている計算。08年調査をもとにした分析によると、学童保育の指導員や消費生活相談員、保育士といった女性が多い職場や住民サービスを直接担う出先での非正規化が顕著だった。各種相談窓口など新しい行政ニーズに対応した業務では、専門職員を育成・配置する予算を確保せず、当初から非正規職員で対応していた。自治労は「行政が専門職の安価な労働市場をつくりだしている」と批判している。
正規職員と変わらぬ業務や労働時間を求められる一方、ほとんどは1年以内の有期契約で、賃金も年収換算200万円以下と低い。「官製ワーキングプア」と呼ばれるゆえんだ。昇給はおろか、半数以上は通勤手当も支給されていないという。
こうした非正規職員によって維持される行政の姿が健全と言えるだろうか。ずるずると進む非正規化に歯止めをかけ、できるところから待遇改善に取り組んでいくべきだ。(清田幸子)