一般紙やTVメディアは何故か「維新の会=太陽の党」を第3極としてもてはやしていますが、外国メディアからは「右翼」や「極右」などと指摘されていることは報道しません。「維新の会=太陽の党」に有力な位置を与えようという共通の意思でもあるのでしょうか。
その点地方紙は、常識的な視点からそれぞれ自由なもの言いをしています。
信濃毎日新聞は今回の総選挙を憲法の岐路に立つものと位置付け、平和の在り方が問われているとしています。
以下にその記事を紹介します。
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【社説】 憲法の岐路 平和の在り方が問われる
信濃毎日新聞 2012年11月24日
総選挙に向けて、政党が乱立するなかで次第に戦いの構図が見えてきた。
世論調査によると、自民党、民主党に次いで日本維新の会が支持を集めている。どういう社会にしていくか、3党の理念・政策の重みが増しつつある。
気になるのは、自民、維新の会の政策や党首の発言から、憲法改正への意欲が伝わってくることだ。選挙結果によっては、9条を中心に戦後の日本社会の骨組みが変わることも考えられる。
暮らしの立て直しだけでなく、平和の在り方を問う選択と位置付けたい。
<第三極の動きに注目>
新政党が次々と誕生している。背景の一つは、野田佳彦政権の消費税増税や環太平洋連携協定(TPP)路線への反発である。
典型は、消費税増税に反対してできた国民の生活が第一。いわば野田民主党という総合デパートが間口を狭めたことから、看板政策を持って独立した―。そんな見方もできるだろう。
もう一つの動きは、民主、自民の二大政党に対抗する第三極づくりである。東京都の石原慎太郎前知事と大阪市の橋下徹市長が主導し、新たな日本維新の会が誕生している。国民の生活が第一や、以前に自民党から出た渡辺喜美氏が率いるみんなの党なども第三極づくりを探る。
どこが第三極の核を担うのか。比例代表の投票先について共同通信が行った直近の世論調査によると、自民党が23%でトップを占め、2番手の民主党10・8%を引き離した。維新の会は合流した太陽の党と合わせると7・8%で、3番手につけている。まだ流動的だが、いまのところ維新が自民、民主に次ぐ支持率を得ている。
<タカ派色の濃い公約>
問題は、この3党の政策である。とくに憲法改正と集団的自衛権に注目したい。
自民党は政権公約に、自衛隊の人員、装備、予算を拡充し、憲法を改正して国防軍と位置付けると明記した。集団的自衛権についても、行使を可能とする「国家安全保障基本法」の制定を掲げる。憲法改正では緊急事態条項の新設や改正発議要件の緩和などを盛り込んでいる。タカ派色の濃い公約といえる。
安倍晋三総裁は首相時代に憲法改正を掲げて2007年の参院選に臨んで大敗し、「ねじれ国会」を招いた経緯がある。
今回は民主党に逆風が吹き、自民党が政権を奪還する可能性がある。加えて尖閣諸島をめぐり、中国とかつてない緊迫した関係である。公約への追い風との読みがあるのだろう。
自民党は自主憲法の制定を党是に掲げ、集団的自衛権の行使についても、たびたび論議を重ねてきた。ただ、かつての自民党はタカ派からハト派まで幅広い人材を抱え、懐の深さが有権者に安心感を与える要因にもなっていた。
今回の公約は、党内のハト派勢力がやせ細っていることを物語る。老舗の総合デパートである自民党も、安倍カラーの強い党へと変質した感が否めない。
そこに維新の会の台頭である。太陽の党と合流した後の方針ははっきりしないが、橋下氏の政策の原点ともいえる「維新八策」は憲法改正を打ち出し、9条も変えるかどうかを国民投票にかけるとしていた。一方の石原氏は憲法廃棄を訴えていた。
手法に違いがあるとはいえ、改正という点で両者が一致していた事実は見過ごせない。ことしの夏、維新側から安倍氏に参加要請があったことを重ねると、総選挙後に自民党と維新の会が連携する選択肢も考えられる。憲法改正が現実味を帯びる情勢だ。
<中道の対抗軸が鍵に>
鍵を握るのが、民主党である。野田首相は所信表明演説で「極論の先に真の解決はない」とし、「中庸」を強調した。岡田克也副総理も民主党を「中道リベラルから穏健な保守の幅に規定される」と述べている。
自民党や維新の会に対し、中道路線で対抗軸を示す姿勢と受け取れる。憲法を守る姿勢を鮮明にすることを求めたい。
自民党と連立を組んでいた公明党の対応も重要だ。山口那津男代表は「国防軍」明記を盛りこんだ自民党の公約に対して、「自衛隊の名称を変える必要はない」と批判した。集団的自衛権行使についても、「認めることはできないという政府の見解は妥当だ」との見解を表明している。
憲法は国家の根幹であり、考え方の違いは軽視できない。溝を残したまま、公明党が自民党と連携するのは難しいのではないか。有権者に分かりやすく説明してもらいたい。
一貫して護憲を訴える共産、社民両党の存在感が増す可能性もある。憲法の岐路ととらえ、改正の是非を考える機会としたい。