2012年11月10日土曜日

ウクライナでの放射線被害は極めて深刻


 チェルノブイリに隣接するウクライナは原発事故当時はソ連領でしたが、ソ連邦の崩壊後に国家として独立しました。
本ブログでは102日にも「チェルノブイリ原発事故による健康被害の現状」と題した記事で、ウクライナの被害の深刻さを紹介しましたが、今度は「日刊ゲンダイ」に、最近ウクライナを訪問したNPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏の極めて深刻な内容の談話が載りました。 

 それによるとウクライナでは、被爆者から生まれた子供たちのうち慢性疾患をもつ子供たちの割合が、2008年(事故後22年経過)の時点で78%にも達しているということです。
同氏は、原因は食品経由の内部被曝しか考えられないと語り、ウクライナの食品の平均的汚染度は1キログラム当たり10ベクレルと推定しています。因みに日本の食品の許容値は1キログラム当たり100ベクレルで、これを下回ると数値を公表しないケースが少なくありません。 

東日本の広い範囲で食品が汚染されているというニュースは、最近もあとを絶ちません。ウクライナの深刻な事例を踏まえて、国にはもっともっと真剣に対策を考えて欲しいものです。 

 日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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さいたま市と同じ線量 ウクライナで健康な子どもは6%
日刊ゲンダイ 2012118 

食品摂取で内部被曝!?

健康な子どもは6%――。
昨年4月にウクライナ政府が発表した衝撃の事実。

被曝者から生まれた子どものうち、健康なのは、チェルノブイリ事故から6年後の92年で22%だった。それが08年には6%に激減。一方で、慢性疾患のある子どもが20%から、78%に急増したという。
恐ろしい結果だが、他人事ではない。ウクライナの放射能汚染レベルは、さいたま市と同じなのだ。

924日~104日にかけてウクライナで現地調査を行ったNPO法人「食品と暮らしの安全基金」代表の小若順一氏がこう言う。
3地域の学校を調査したところ、一番線量の低かったコバリン村学校は00301マイクロシーベルト。さいたま市と同じ水準なのです。残りの2つ、ピシャニッツァ村学校は009、モジャリ村学校は012でした」 

小若氏らが子どもたちの調査を進めると、新たな問題も発覚したという。コバリン村学校の生徒の7割が足の痛み、2割が頭痛を訴えた。ピシャニッツァ村学校では足の痛みが6割、頭痛は5割に。モジャリ村学校では7割が足の痛みを、8割が頭痛があると答えている。小若氏は、「これらの健康障害は、食品摂取による内部被曝しか考えられない」と言う。

「食品の検査で、モジャリ村のキノコは1キロあたり200400ベクレルでした。ウクライナの田舎では、森でキノコやベリー類をとって食べる。キノコは肉の代わりとして使われ、食事の5%を占めるのです。どれぐらいで健康被害を起こしているのか調べると、彼らは平均して10ベクレルの食品を摂取していた。10ベクレルは日本の基準の10分の1。訪れた地域の線量はうちの事務室とだいたい同じでしたが、その地域でとれたライ麦を検査に出したら昨年の埼玉の小麦より低い線量でした。さいたま市でとれる食物が、どのくらい汚染しているか分かりませんが、汚染度が高い地域ほど危ないのは間違いない。政府は責任を持って調査すべきです」 

放射線量が落ち着いているからといっても安心はできない。放っておけば、子どもたちは内部被曝でじわじわとやられてしまう。国は真剣に対策を急ぐべきだ。