2012年11月1日木曜日

国歌斉唱不起立で教職員の停職や減給は不当 +


国歌斉唱時に起立しなかったことなどを理由に懲戒処分された東京都立高校などの教職員たちが、処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審で、31日、東京高裁は地裁の判決を変更し、21人の停職や減給の処分を取り消しました。
これは国家斉唱時の不起立等を理由に、東京都教育委員会が行った懲戒処分に対して、最高裁が今年1月に示した「減給以上の処分の選択には慎重な考慮が必要」との判断を踏襲したものです。 

大阪府では最高裁判決があった後の3月に、『国家斉唱時不起立3回で分限免職』とする職員基本条例を成立させましたが、それが最高裁の判断に反していることは明らかです。 

産経新聞及びしんぶん赤旗の記事を紹介します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
国歌斉唱不起立で教職員21人の停職、減給取り消し 東京高裁
産経新聞 2012.10.31 

 入学式や卒業式で国歌斉唱時に起立しなかったことなどを理由に懲戒処分としたのは違法として、東京都立高校などの教職員ら64人が取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁で開かれ、井上繁規裁判長は、請求を棄却した1審東京地裁判決を変更、21人の停職や減給の処分を取り消した。 

 同種訴訟の判決で最高裁が1月に示した「減給以上の処分の選択には慎重な考慮が必要」との判断を高裁の井上裁判長も踏襲。減給や停職は「懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を超え、違法」とした。戒告処分は適法とした。 

 判決によると、64人は平成17年と18年、校長の職務命令に従わず、起立しなかったなどとして処分を受けた。

以下を追加
君が代控訴審 「全処分取り消しを」 判決受け原告団会見
     しんぶん赤旗 2012111 

 都立学校教員への「日の丸・君が代」強制をめぐる高裁判決を受けて原告団は31日、都内で記者会見を行いました。減給以上の処分が取り消されたことに「石原知事のもとでの教育破壊に歯止めをかけた」と喜びを見せつつ、「日の丸・君が代」強制が憲法違反であることが認められなかったことを批判。最高裁で違憲判決をかちとりたいとの決意を語りました。 

 停職処分が取り消された原告の福嶋常光さん(63)は「卒業式は3年間頑張ってきた生徒の努力をたたえるとともに、生徒たちを育ててきた先生をねぎらう一番喜ばしい日だった。それが一番重苦しい日になってしまった。これからもこの重苦しい日が続くのかと思うと心を痛めます」と、「日の丸・君が代」強制によってもたらされた現場の苦労を明らかにしました。 

 「学校現場は非常に息苦しいものになってしまった。生徒を育てていくことが中心ではなくなってしまった」と語った原告の現職教員の今田和歌子さん(56)は、減給は取り消されたものの、戒告処分は残されました。「うれしさ半分。全ての処分が取り消される日が来てほしい」 

 澤藤統一郎弁護士は、「判決は憲法判断に弱点を持っている」と指摘。平松真二郎弁護士は「都が違法な処分を重ねてきたことに対する判決」と一部勝訴を評価しつつも、「われわれは懲戒処分そのものが、思想・良心の自由を保障する憲法19条を侵害するものだと主張してきた」と戒告処分が取り消されていないことを批判しました。