2012年11月9日金曜日

低線量放射能でも白血病の発症が明らかに


チェルノブイリ原発事故で被曝した除染作業員約11万人を20年間にわたって追跡調査した結果、積算で100ミリシーベルト以下の場合でも、血液がんの一種である白血病の発症リスクが高まることが確かめられました。

これまで公式には、「100ミリシーベルトを超えて被曝すると健康被害が生じる」ことは明らかとされる一方で、「100ミリシーベルト以下の場合の健康被害については不明」とされていました。
そのため一部の人たち(福島医大副学長の山下俊一氏や原子力規制委員の中村佳代子氏など)は、これまで「100ミリシーベルト以下であれば健康に影響しない」と主張して来ましたが、これでその論拠は失われたことになります。「影響は明確でない」ということを「影響はない」と言い換えるのは、もともと誤った主張でした。
そういう点で極め付きのビッグニュースであると言えます。 

なお低線量被曝の危険性は、当初から、医学者の肥田舜太郎氏1、児玉龍彦氏2、崎山比早子氏3をはじめとして多くの人たちから指摘されていました。
                   ※1  自身が広島の被爆者で広島の被爆者を診察した 
             2 、放射線のDNAに与える影響に詳しい

以下に日経新聞の記事を紹介します。
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チェルノブイリ  除染で被曝、低線量でも白血病リスク
日経新聞 2012118 

【ワシントン=共同】 チェルノブイリ原発事故の除染などに関わって低線量の放射線を浴びた作業員約11万人を20年間にわたって追跡調査した結果、血液がんの一種である白血病の発症リスクが高まることを確かめたと、米国立がん研究所や米カリフォルニア大サンフランシスコ校の研究チームが米専門誌に8日発表した。 

 実際の発症者の多くは進行が緩やかな慢性リンパ性白血病だったが、中には急性白血病の人もいた。調査対象者の被曝(ひばく)線量は積算で100ミリシーベルト未満の人がほとんど。高い放射線量で急性白血病のリスクが高まることは知られていたが、低線量による影響が無視できないことを示した形だ。

 チームは1986年に起きたチェルノブイリ事故で作業した約11万人の健康状態を2006年まで追跡調査。被曝線量は積算で200ミリシーベルト未満の人が9割で、大半は100ミリシーベルトに達していなかった。
 137人が白血病になり、うち79人が慢性リンパ性白血病だった。統計的手法で遺伝などほかの発症要因を除外した結果、チームは白血病の発症は16%が被曝による影響と考えられると結論付けた。 

 これまでに広島や長崎に投下された原爆の被爆者の追跡研究でも、低線量被曝による健康影響が報告されており、線量が低ければ健康影響は無視できるとの主張を否定する結果。チームはコンピューター断層撮影装置(CT)など、医療機器による被曝影響を評価するのにも今回の研究が役立つとしている。