イラク戦争での体験を語り、「戦争の愚かさと平和の尊さを伝える」ために沖縄に来た二人の元米兵が、軍隊では銃を撃つことを体に覚えさせる、模型の人型が目に入ると反射的に銃が撃てるようにひたすら訓練される、米国の憲法や人権については一切学ばないなどと、兵士を殺人機械に仕立てて行くやり方について語りました。
そして「兵士は地元の人間をまともに扱わない」、「これまで米軍が沖縄の人を人間として扱ったことはない。過去にないということは未来にも起きない」と、頻発している米兵による乱暴狼藉の背景について述べました。
以下に琉球新報の記事を紹介します。
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学ぶのは人殺す方法だけ 軍の暴力性訴え イラク帰還兵に聞く
琉球新報 2012年11月24日
「軍隊では米国の憲法や人権については一切学ばない。学ぶのは人を殺す方法だけだ」。イラク戦争での体験について講演するため来県していた、イラク戦争への従軍経験を持つ元米兵のアーロン・ヒューズさん(30)とアッシュ・キリエ・ウールソンさん(31)は21日夜、人間の尊厳を軽んじる訓練や任務を兵士らに強いる米国の軍国主義について語った。後を絶たない米兵による事件事故に「米軍による沖縄占領の歴史の中で、沖縄の人を人間として扱ったことがあるか。過去にないということは未来にも起きないということだ」と指摘した。
2人は共に18歳の時、学費や経済的自立のため、州兵として軍に所属。「外国の戦地に派遣されることはない」などと言われ、契約書にサインした。
大学に通いながら月に約1週間、正規兵も受ける基礎訓練を受けた。訓練は「頭に覚えさせるんじゃない。銃を撃つことを筋肉に覚えさせるんだ」とヒューズさんは振り返る。人型の模型が視界に入ると、体が条件反射で銃を撃てるよう「バスケットボール選手がフリースローを何度も練習するみたいに」(ヒューズさん)ひたすら訓練した。
2人にイラクへの派遣命令が届いたのは2003年。戦地で感じたのは、末端の兵士を「消耗品」としか見ていない軍上層部の姿勢だ。ウールソンさんらの元に防弾チョッキが届いたのは、派遣から8カ月後。基地外の任務に14人で当たったが、用意された防弾チョッキはわずか10着。毎回その10着をめぐりストローでくじ引きをしたという。
無事に帰還した今、2人は「軍は人を傷つける」と断言する。県内で米兵による事件事故が相次ぐ現状に「兵士は地元の人間をまともに扱わない。軍の外にいる人を暴力的に支配するように訓練されているのが兵士だ」と、指摘した。2人はイラクでの経験を語り継ぐことで「戦争の愚かさと平和の尊さを伝えたい」と強調した。