2012年11月22日木曜日

自民党が改憲の政権公約を発表


自民党が衆院選(124日公示)の政権公約を発表しました。
それによると争点の原発再稼働の可否については「3年以内の結論を目指す」とあいまいな表現にする一方で、集団的自衛権は必要最低限度で「行使する」とし、自衛隊の海外派遣については、その都度定める特措法ではなく、自衛隊の海外派遣が迅速に対応可能となる「国際平和協力法」を制定するとしました。

そして5月に自民党が発表した憲法改正案の骨子を掲げて、憲法の改正を訴え国防軍の創設を明確にしました。ついにここまで来たのかという思いです。
 
以下に産経新聞と、9条の改正賛成世論の増加に注目している朝鮮日報の記事を紹介します。
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集団的自衛権で踏み込む、自民党公約
産経新聞 20121121

 自民党は21日、集団的自衛権の行使を可能とすることや憲法改正、デフレ脱却などを盛り込んだ衆院選の政権公約を発表した。経済立て直しに比重を置きながらも、外交や安全保障、国家観などで「安倍カラー」を出したのが特徴だ。
 タイトルは「日本を、取り戻す。」。安倍晋三総裁は公約発表会見で「新しい自民党だからこそできる政策を掲げた。政治に関する国民の信頼を取り戻すための公約だ」と語った。 

 集団的自衛権について8月の原案の「一部を行使可能」を「行使を可能」と強めた。憲法を改正し自衛隊を国防軍とするとした。自衛隊や海上保安庁の人員や予算の拡充、領海警備に関する新法の制定も掲げた。
 北朝鮮による拉致問題では「国家の威信をかけて被害者全員の帰国を実現する」と表明。日米同盟の絆の強化を強調した。 

 安倍氏が重視する教育では、教科書検定で中国や韓国など周辺国に配慮する「近隣諸国条項」の見直しや教育委員会制度の改革、6・3・3・4制を改める「平成の学制大改革」を打ち出した。
 経済分野では経済財政運営の司令塔「日本経済再生本部」を設置。2%の物価上昇率の達成を目標に掲げ「日銀法の改正も視野に政府・日銀の連携強化の仕組みを作る」と書き込んだ。

 安倍氏は日銀による建設国債の買い入れなど金融緩和策に関する自身の発言について「日銀が市場から買うということであり、直接日銀が買うということではない」と修正した。
 

【社説】 憲法9条の改正賛成派増、日本の世論を注視せよ
朝鮮日報 2012/11/20 

 戦争の放棄や戦力の不保持を定めた日本の憲法9条をめぐり、東京新聞が先の世論調査で改正の是非を尋ねたところ、改正賛成が46.2%で反対の35.1%を上回った。20105月の朝日新聞の調査では賛成が24%、反対が67%だった。 

 憲法9条の改正に対する日本の世論が急変した理由として、20年にわたり不況が続く中、最近では尖閣諸島(中国名:釣魚島)をめぐり中国との関係が悪化し、日本の国民が挫折感を感じていることが挙げられる。日本の極右政治家たちはこうした国民感情を利用してナショナリズムをあおり、憲法を改正して本格的に「再武装」の道に足を踏み入れようとしている。石原慎太郎・前東京都知事と橋下徹・大阪市長は、そうした流れを代表する極右のポピュリズム(大衆主義)政治家だ。石原氏が結党した「太陽の党」は先ごろ、橋下氏率いる「日本維新の会」に合流した。石原氏は、野党・自民党が次期衆院選で単独過半数に至らない第1党になった場合、連立と引き換えに首相の座を要求する計画だ。 

 自民党の安倍晋三総裁は、憲法改正の発議要件を衆参両院の「総議員の3分の2以上」から「2分の1以上」に緩和するため、憲法を改正する考えを示している。日本の憲法改正には、国会の発議を経て国民投票を行い、過半数の賛成を得る必要がある。安倍総裁は「平和憲法」の中核を変えることに対する政界や国民の反対を考慮し、まずは憲法改正を容易にした上で、時機を見て9条を削除または改正する腹づもりのようだ。 

 与党・民主党は現在のところ憲法改正に反対しているため、自民党と石原・橋下連合が手を組んでも、すぐには憲法改正の発議に必要な議員数を確保するのは難しいだろう。しかし、民主党の野田政権も新聞広告で独島(日本名:竹島)の領有権を主張し、旧日本軍従軍慰安婦の強制動員を否定するなど、「右傾化の風」に便乗する様子を見せてきた。中国との領土問題が限度を超えれば、民主党まで含めた大連立構想が本格化する可能性があり、そうなると発議に必要な議員数を容易に確保できるだろう。 

 日本は国内総生産(GDP)規模が中国に抜かれたとはいえ、依然として世界第3位の経済大国だ。日本は中国との国力競争にこだわるあまり、北東アジアの平和と繁栄に向けた積極的・肯定的な役割を忘れることがあってはならない。それは将来的には日本の国益にも役立たない。日本が石原・橋下両氏の極右連合などの退行的な行動に振り回されることは、日本にとって不幸であり、北東アジアにとっても不安要因となる。