2013年4月22日月曜日

総会記念講演の概要

 
 「平和の輪」総会終了後、記念講演会として新潟県9条の会事務局長の工藤和雄弁護士を講師にお迎えして、「憲法をめぐる新たな情勢と9条の会の活動について」のお話をしていただきました。
 約1時間と時間が短かったのが残念でしたが、昨年12月以降の情勢について豊富なデータを示しながら非常に濃密に語っていただきました。
 当日会場で配布された講演資料はB4判で8枚にも渡り、非常に貴重なものでした。そのうちの「講演レジメ」を以下に紹介します。
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「湯の町湯沢平和の輪」2013年度総会
記念講演 2013年4月21
  憲法をめぐる新たな情勢と9条の会の活動について

             新潟県9条の会事務局長 工 藤 和 雄
1 改勢力の台頭
 12月総選挙/「戦争ができる憲法に変えよう」という勢力の急拡大⇒資料No.1
 小選挙区制/死票過半数/作られた多数派  ⇒資料No.1
 7月の参院選が大きな曲がり角
 □20046月「九の会」アピール

2 自民改憲公約・改憲地ならし
 ▽自民党/昨年末選挙公約「集団的自衛権に取り組み‥国家安全保障基本法を制定」
 ▽昨年4月 「国防軍の保持」を盛り込んだ「憲法改正草案」公表
 ▽12月17日 安部自民党総裁記者会見「最初に行うことは(憲法)96条の改正」
 ▽12月25日 自民・公明「連立合意
  憲法審査会の審議を促進し、憲法改正に向けた基本的議論を深める
 ▽ガイドライン再改定協議(日経2013年1月4日)
  日本政府/自衛隊の海外派遣を随時可能にする、米軍との協力を拡大する検討入り
  その後、日本政府は根拠となる恒久法整備に着手する段取り
 ▽2013年1月25日 閣議決定「防衛計画の大綱」の見直し、「中期防衛力整備計画」の廃止
 ▽13年1月20日/安倍首相/防衛省訓示
  日米同盟を一層強化、価値観や安全保障上の利益を共する国との連携を強化する
 ▽2013年度予算案 防衛費前年比400億円増
 ▽政府、邦人救出を理由とする「自衛隊法改悪」方針
 ▽13年4月16日衆院予算委員会/安倍首相/秘密保法の早期法制化に意欲

 □日本維新の会
   「自主憲法の制定」「日米同盟の深化」「海防力の強化」「集団的自衛権の行使」「国家安全保障 基本法の整備」など/石原代表核武装のシミュレーション」
 □みんなの党
   憲法改正決議要件の緩和、道州制の導入、一院制(定数200人)

3 覇権国家アメリカの国際戦略と日米同盟(外交・防衛の米隷属化深まる)
 ▽日安保条約の略年表 ⇒資料 No.2
 ▽「日米同盟の新たな高み」をうたった日米首脳会談
   共同声明「未来に向けた共通のビジョン」(2012年5月1日)
  日米軍事同盟を地規模に拡大する
  日本の動的防衛力構築
  地域の多様な緊急事態(有事)に日米同盟が対応する能力をさらに高める
 ▽安全保障協議会(2プラス2)の共同文書
   「効果的な共同訓練、共同の警戒監視・偵察活動及び施設の共同使用を含む二国間の動的防衛協力が抑止力を強化する」 ⇒拠点「点」から「網状」へ
   ⇒米軍と自衛隊が「肩を並べて武力行使する」
 ▽2012年54日米議会報告書
   「日本の憲法は、より緊密な米日防衛協力に対する障害となっている」
   「憲法9条の現行解釈が、第三国に対して米国と戦闘協力する“集団的自衛権”行使を禁じているためである」
 ▽2012.8「米日同盟:アジアの安定を支える」(2000、2007に続く第三次アーミテージ提言)
  「集団的自衛権の禁止は米日同盟の妨害物となっている」
  「両国の部隊が、平時、緊急時、危機、そして戦時という安全保障の全段階を通じて全面協力で対応できるようにすることは重要な権限付与だ」
  ▽2012年11月 ヘリテージ財団報告書
   安倍氏の保守的な外交政策の考え方と中国に対する日本の民衆の増大しつつある懸念はワシントンが米日同盟にきわめて重要ないくつかの政治的目的を達成する絶好の機会である」「米国は日本の政治的変化を利用して同盟を進化させるべきである」
  ① 日本により大きな国際的役務をうけさせる
  ② 同盟(米国)の安全保障上の必要に見合うよう防衛費支出の増大を促す
  ③ 集団的自衛権により柔軟な解釈をさせる
  ④ 普天間代替施設の建設で明確な前進をするよう圧力をかける
  ⑤ 米日韓軍事協力を増加させる
 ▽ガイドライン再改定協議
  ① 日本周辺に限定されている米軍への補給支援を地規模で可能とすること
  ② 戦闘地域とは線を画した「後方地域」に限定された支援の制約を払うこと
 
4 解釈改憲、立法改憲の策動
  武器輸出三原緩和/資料No.2、外国軍への技術援助、F35戦闘幾問題
  国家安全保障基本法案(概要) ⇒別紙
  機密保全法制定
 ④ 自衛隊法改正、安全保障会議設置法改正、集団自衛事態法、国際平和協力法(自衛隊海外派兵恒久法案)
  「殴り込み」能力強化のためのオスプレイ配備 ⇒資料No.2
    日本全土での低空飛行訓練・戦地を想定した訓練 ⇒違反飛行の常態化
 ⑥ グアム・テニアン上陸訓練/日本版「海兵隊」
  ▽石破自民党幹事長(Voice 2012年12月)
   今後は日本も海兵隊をもち、撃力の一端を担う。自衛隊がそれを担うべき
  ペルシャ湾の掃海や南シナ海の日米共同監視
  2013年度予簿案 防衛費前年比400億増
 ⑨ 2013年1月25日閣議決定「防衛計画大綱」見直し、「中期防衛力整備計画」廃止
    北朝鮮による「ロケット」発射、中国の領海、領空侵犯などの活動拡大
 ⑩ 日米防衛協力指針(ガイドライン)再改定協議

5 民主党野田政権、そして安倍自公政権は、これまでみてきた動きをしているのですが、日本の国民は軍事国家をめざすことを望んでいるのでしょうか。 ⇒朝日新聞世論調査
 ▽憲法9条をもち、自衛隊の海外派兵はあっても戦闘行動に従事しない日本に対し、世界の人々はどのような目で見ているのでしょうか
  ⇒イギリスBBCの調査 資料No.4
  ⇒「9条の会」アピール
   軍事介入や武力の行使、非現実的、無力さ、残酷さ/テロの温床、拡大
   紛争を外交と話し合いによって解決する地域的組みの広がり

6 憲法9条を外交の基本にすえることの重要性と現実性
 ① アジアを始めとする諸匡民との友好と協力関係を発展させること
 ② アメリカとの軍事同盟だけを優先する外交を転換すること
 ③ 世界の歴史の流れに、自主を発揮して現実的に関わっていくこと
 が求められていると提起しています。

7 これからの「九条の会」の取り組みについて
(レジュメはここまで)
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(当日いただいた添付資料のうちから「国家安全保障基本法(概要)」に関する部分を以下に紹介します)
国家安全保障基本法(概要)

国家安全保障基本法(概要) (議員立法動き)
1 坊衛政策を規定する国内法制の上位法という位置づけ
   5条/必要な法制上及び財政上の措置を講じる
   法制上の措置/安全保障会議設置法改正、自衛隊法改正、集団自衛事態法、国際平和協力法、自衛隊毎外派兵恒久法案
   財政上の措置/軍事予算が聖域となり、軍拡につながる恐れ
2 概要が示す脅威(第2条)
   直接又は間接その他のあらゆる脅威 ⇒脅威が特定なし
   軍事的対応が中心/9条、前文と相反するもの
3 国、地方公共団体の責務(第3条)
   教育、科学技術、建設、運輸、通信その他内政上の各分野において、安全保障上必要な配慮を払わなければならない
  ⇒あらゆる施策において安全保障」がすべてに優先
  ⇒先取り「国の安全保障に資する」条頃
      宇宙航空研究機関開発機構設置法改正(20126月20日)
      原子力規制委員会設置法(2012年620日)
4 国民の責務(第4条)
   安全保障政策協力責務、安全保障の確保寄与責務
 ⇒自民党改憲案第12条「国民の責務」
   基本的人権の行使につき「責任と義務カ劈うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」
  公益及び公の秩序/国家の安全と社会秩序維持を含む概念
 ⇒第4条は、改憲案第12条の先取り
 秘密保護法制定(第5条)
 自衛隊の行動(第8条)~憲法9条の死文化
   自衛隊は国際の法規及び確立された国際慣例に則り‥・行動する
 ⇒改憲を待たず、自衛隊はあらゆる軍事行動 (戦時臨検、他国の占領行政、他国領域内での武力行使)が可能となる
7 集団的自衛権の行使(第10条)~憲法9条死文化
8 国際平和協力活動(第11条
   自衛隊海外派兵恒久法案 2010年5月衆議院へ自民党から議員提案(継続審議扱い)
9 武器輸出入規定(第12条)
   国際共同開発と国際平和協力活動という限定なし