27日、マスコミ労組会議主催のシンポジウム「外国特派員が見る今の日本」が開かれ、3人の外国特派員から問題提起の報告があり、日本メディアの“大本営発表”体質などが批判されました。
現在の大手メディアは各官庁の広報担当が行うブリーフィング(報道機関に対して行う説明)を殆どそのまま報道します。その結果全社がほぼ同じ報道のし方になるので、戦時中になぞらえて「大本営発表」といわれています。
日本には他国では見られない「記者クラブ」(大手メディアを中心に組織)と呼ばれる独特の制度があって、官庁内に控え室を持ちフリージャーナリストはできるだけ排除するなどの自己規制をして、役人に対して迎合的に対応してきました。
また官僚も、官庁の意向に反する批判的な記事を掲載するメディアに対しては、ブリーフィング記者会見への出席を長期間禁止するなどして報道陣を制御してきました。
これでは国の政策や官僚の特権構造などを批判する報道を期待するのはとても無理です。
以下にしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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日本メディアの“大本営発表”に批判 米英韓の特派員
しんぶん赤旗 2013年4月28日
日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)は27日、東京都内でシンポジウム「外国特派員が見る今の日本」を開催し、市民やマスコミ関係者ら140人をこえる参加者で、会場は熱気にあふれました。
3人の外国特派員は流ちょうな日本語で問題提起。安倍首相を「ラディカルな国家主義」と評したデイビット・マクニールさんはフリーでイギリスの『エコノミスト』誌などに執筆しています。日本での13年の取材を振り返りながら、「安倍さんや自民党はさほど変化していないと思う。以前と違うのは右に対するブレーキが日本社会で弱くなっていること。かなり危険」と指摘しました。
昨年、『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』を著したマーティン・ファクラーさん(ニューヨーク・タイムズ東京支局長)は「大本営発表みたいな日本の報道に3・11以降、国民は距離を感じているのでは」と指摘。
韓国の京郷新聞の記者、徐義東(ソ・ウィドン)さんは、自国での米韓FTAの報道に比べ、「日本の大手マスコミがTPPに総じて賛成というのは理解に苦しむ」と発言。「日本のマスコミはアメリカが絡むと聖域になる」と述べました。
3人は、日本の記者クラブの弊害や市民の役割などを縦横に語り、「日本の新聞記者はサラリーマンになる前に一人のジャーナリストになって」(ファクラーさん)などと語りました。